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優れた物語を生みたいなら「脚本を書いてみるべき」というアドバイス


面白い作品を作りたいと思った時には、たくさん読書や映画鑑賞をして刺激を受けたり、とにかく作品を作りまくったりするのも大事ですが、普段とは違うスタイルで書いてみるのも役に立ちます。本来作りたい作品は小説やマンガだとしても、脚本形式を想定して書いてみることで、さまざまなメリットがあるというアドバイスを、ニューヨーク大学でジャーナリズムの修士号を取得しノンフィクションを中心としつつも小説も出版している作家のクリスタル・スミス・ポール氏が語っています。

How Screenwriting Can Help You Write Stronger Fiction ‹ Literary Hub
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ポール氏はスペルマン大学に在学中、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の演劇・映画・テレビ学校に通い、ニューヨーク大学でジャーナリズムの博士号を取得したのちに、主にノンフィクション分野の執筆を仕事としています。ポール氏は2023年5月に初のフィクション作品となる「Did You Hear About Kitty Karr?」を出版しており、その執筆の際には、演劇・映画・テレビ学校時代に学んだことと、劇作家・脚本家のコリー・マンデル氏に師事して脚本の教育を受けたことが、物語制作に生きていたと語っています。


ポール氏は、物語制作のために脚本を書いてみることの大きな利点の一つとして、「プロット・ポイント、もしくはシーン・リストを明らかにしやすい」ということを挙げています。物語に取り組むとき、創造性の高い要素や素晴らしいシーンが空想上にあるにもかかわらず、ストーリーの「伝統的な構造」を意識するあまり、重要で魅力的な点が剥がれ落ちてしまうことがあります。その点、脚本はシーンに含まれる優れた点やアクションをリスト化してロードマップとして組み立てるため、物語の魅力が落ちない構成や、プロットづくりにも役立つとポール氏は述べています。

また、脚本によりストーリーを「シーンの連続」と分解して考えやすくなることで、どの情報を物語の要点にするか、そのためには何を示す必要があるのか、と考えていくために役立つ場合もあるとのこと。キャラクターの発言や会話を考える際にも、ストーリーの主要なポイントが抜き出してあると、誰が何についてどの順序で話すのが理にかなっているのか、というポイントが明確になります。


さらに、脚本づくりはプロットの作成にも役立ちます。スタンフォード大学医学部の教授でありベストセラー小説の著者でもあるアブラハム・ベルギーズ氏は、自身の経験から「プロットを最初にかなり時間をかけて作成しても、執筆するとそこから逸脱していくことが多いです。それでも、それに合わせてプロットを変化させ、後から全体の構造を確認しやすくすると、よりよい物語を分析できます」と指摘しています。ポール氏によると、執筆しながらプロットを変更していく場合でも、ストーリーをシーンの観点から考える事で、重要度の高いシーンに新しいシーンが適合するかどうかを考えることで、プロットを柔軟に変化させやすいとのこと。

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ポール氏が脚本執筆の利点として次に挙げているのは、「プロットとシーンの区別ができる」というポイント。どちらも物語の設計図になるものですが、プロットは物語を要約しているのみであるのに対し、シーンはたとえ重要ではない短いものであっても、キャラクターが何かを求め、何かを手に入れるための行動が描かれています。これをポール氏は「脚本のシーンは最終的に鑑賞されるため、見る人の視点が必要になります。この見る人の視点こそ、説得力のあるフィクションを生み出すのに役立ちます」と説明しています。

「最終的に鑑賞される」という意識について、ポール氏はさらにアドバイスを述べています。クリエイティブな人は誰もが自分のビジョンを元に作品を制作しますが、そのビジョンに縛られてしまうと、脚本や小説が「最終的には誰かに読まれる」という意識が薄れてしまいます。脚本によって物語をシーンで考える事で、客観性を保ちやすくなり、自分のビジョンにこだわらず読者の視点で物語を見やすくなるとのこと。

ポール氏は最後に、「脚本も小説も書くためには練習が必要になりますが、繰り返しによって開発できるスキルのため、自分に自信を失うことなく、続けていくことが重要です」と語っています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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