マッチングアプリのTinderがGoogleを提訴、「Googleの課金システムを使わないとストアから削除すると脅迫された」との訴え
マッチングアプリであるTinderなどを運営するMatch Groupが2022年5月9日に、Googleを提訴したと発表しました。Match Groupは、Googleの課金システムを通さなければアプリからの課金が行えなくなるとしたGoogleの決定が、支配的な地位の乱用を禁じた反トラスト法などに違反しているとしています。
Press Release
https://www.endthegoogletax.com/pressrelease
Tinder owner Match Group sues Google alleging antitrust violations | Engadget
https://www.engadget.com/match-group-sues-google-225719753.html
Match Group is suing Google over Android’s in-app payment monopoly - The Verge
https://www.theverge.com/2022/5/9/23064305/match-group-suing-google-over-in-app-payment-policy
Match Groupが今回の訴訟で問題視しているのは、Googleが2020年に「Google Playの支払いに関するポリシーを変更し、Googleの課金システムの使用を必須にする」と発表したことです。変更後のポリシーは2022年6月1日から施行され、これに対応していないアプリはGoogle Playから削除されると、Googleは案内しています。
Google Playで配信するアプリはGoogleの決済システムを使うことが必須に - GIGAZINE
Match Groupは裁判所に提出された訴状の中で、「Googleは以前、アプリ独自のサービスや支払い方法を提供できるようにすると保証していた」と主張。Tinderユーザーの大半がTinderの課金オプションを選択しているにもかかわらず、Googleの課金システムしか使えないようにするのは、反トラスト法の1つであるシャーマン法などに抵触しているとの見方を示しました。
Match GroupのCEOであるShar Dubey氏は、発表の中で「Googleの課金システムしか使えないのに、どんな方法でもAndroidユーザーにアプローチできるかのように装っているのは、『エレベーターが使えなくても外壁をよじ登れば高層ビルの60階に行けます』と言っているようなものです。この訴訟は最後の手段です。私たちは誠意をもってこの問題を解決しようとGoogleと協議しましたが、6月1日までにGoogle Playから私たちのアプリを削除するとGoogleが脅迫したので、法的措置をとるほかなくなりました」と述べています。
一方、Googleの広報担当者であるダン・ジャクソン氏は、「今回の訴訟は、Match Groupが自分たちがビジネスを築いてきたモバイルプラットフォームへの対価の支払いを回避するための、利己的な努力の一環に過ぎません。私たちはサービスに課金するとともに、他の責任あるプラットフォームと同様に、アプリによける詐欺や不正行為からユーザーを保護します。Match Groupは目下、利用者を欺く行為などで規制当局ににらまれており、今回の訴訟でもユーザー保護より金銭を優先していることがうかがえます」とコメントしました。
同氏はまた、Match GroupがGoogle Playに支払っている15%の手数料は、主要なアプリ配信プラットフォームの中で最も低い水準であると主張しているほか、他のAndroidアプリストアの利用やウェブサイト経由での直接のサービス提供など、Googleの課金システムを経由しない方法も存在すると指摘しています。
GoogleやAppleのアプリ配信プラットフォームに対しては、以前から支払い方法が限られていると批判する声が上がっており、これを受けてアメリカ議会は「大手アプリストアがアプリ開発者に自社の決済システムの使用を強制することを禁止する」ことなどを柱とした「アプリストア規制法」の制定に向けて動いています。
またアメリカ以外では、韓国でもGoogleやAppleのアプリストアを規制する法律が制定され、Googleはこれに対応するため同国でサードパーティの決済システムを有効化することを発表しました。
こうした流れを受けて、Googleは2022年3月にAndroidアプリが独自の決済手段を選べるようにする方針を示すなど、態度を徐々に軟化させています。
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