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Samsungのオンラインセールス担当者が「無料でクレーム処理の仕事をさせられている」との告発


Samsungのスマートフォンの販売を担当する派遣労働者が、「スマートフォンの売り上げにつながらない技術的な問い合わせ」への対応を強いられているとの実態が、IT系ニュースサイト・The Vergeの取材により判明しました。

Disconnected: Samsung.com sales reps say the system makes them work for free - The Verge
https://www.theverge.com/2022/4/14/23001790/samsung-online-sales-labor-customer-service-contractors-ibbu

今回、The Vergeの取材に応えたSamsungのオンラインセールス担当者であるジェニファー・ラーソン氏が、本格的にこの仕事を始めたのは新型コロナウイルスのパンデミックがきっかけです。もともと教育助手の仕事をする合間に、かけもちでibbüという人材派遣会社が作成したオンラインセールスアプリでの仕事をしていたラーソン氏は、パンデミックで本業が立ちゆかなくなったのをきっかけにオンラインセールスでの仕事一本に切り替えることにしました。

Samsungのウェブサイトからオンラインチャットで問い合わせてくる顧客に、Samsungのスマートフォンを販売するラーソン氏の仕事は、はじめは順調で報酬にも満足していました。Samsungとは別のスマートフォンメーカーの場合、スマートフォンの情報提供などはせずibbüに投げっぱなしでしたが、Samsungの販売員になるとSamsungの幹部がセールストークのトレーニングに参加してくれたので、ラーソン氏は「ああ、私はSamsungの一員になったんだ。Samsungは私の成功を願って鍛えてくれているんだ」と実感できたとのこと。


しかし、時間が経過するにつれて、ラーソン氏の元には「技術的な助けは求めているがスマートフォンを新しく買う気はない顧客」からの問い合わせが増えるようになりました。ibbü経由でSamsungのスマートフォン販売を請け負う「エキスパート」と呼ばれる販売員は、AppleのGenius Barとは異なり技術的なサポートをする人ではなく、給料も歩合制で時間給はありません。従って、サポートセンター代わりに顧客の対応をしても、まったく報酬は得られません。

ibbü側は、技術的なサポートを求める顧客には対応しないようエキスパートらに指示していると説明していますが、ラーソン氏を含む12人のエキスパートはThe Vergeに「ibbüもSamsungも、明らかに私たちに技術的なサポートに対応するよう仕向けています」と話しています。しかも、顧客からの問い合わせにうまく対処できないと、給料が下がったり最悪の場合には解雇されたりすることもあるとのこと。

エキスパートには、顧客からの評価の平均値から求められた顧客満足度(CSAT)が5点満点中4.3点以上であることが求められています。しかし、Samsungのウェブサイトから技術的なサポートを求めて問い合わせてきた顧客がエキスパートにつながってしまうことがある上に、もし顧客の問題が解消できなかった場合、顧客からは「不満足」という評価が与えられることもあります。つまり、ラーソン氏たちは正式には対応しないことになっているはずの、お金につながらない仕事をせざるを得ない上に、それによって解雇されるリスクにもさらされていることになります。


ibbüとSamsung両社が作成した、エキスパート用のトレーニング資料には「ibbüチャットはお買い物に関心があるオンラインユーザーのためのものです。製品サポート、注文サポート、保証などについてチャットしている場合は、応答しないでください」と明記されています。

しかし、The Vergeが入手したSamsungの社員とエキスパートのビデオ通話の記録には、Samsungの社員がエキスパートが使っているセールスチャット用のシステムを「セールスとカスタマーサービスのハイブリッド」と呼んでいる様子が収められていたほか、エキスパートの中には「技術的なサポートの問い合わせをセールストークにつなげるようアドバイスされた」と言う人もいました。

また、あるエキスパートがカスタマーサービスへの対応について質問した際には、「対応し続けることを奨励したいと思います。優れた顧客サービスを提供することは、顧客の維持につながり、エキスパートのCSATスコアにも役立つでしょう」と話したとのことです。


The Vergeの再三の要請にもかかわらず、Samsungはこの問題へのコメントを拒否し、ibbüに問い合わせるよう案内しました。そして、ibbüは「Samsungのウェブサイトからの問い合わせは、チャットボットによって事前に選別され、カスタマーサービスなどが除外された上で、購入に関する問い合わせがエキスパートに転送されます。しかし、チャットボットのフィルターをくぐり抜けてカスタマーサービス関連の問い合わせが送られるケースもまれに発生します。しかし、そうした問い合わせはibbüのエキスパートが応答するチャット全体の2.5%未満しかありません」と説明しました。

しかし、ラーソン氏を含む複数のエキスパートは、2.5%は間違いなく低すぎると話しています。実際、ラーソン氏自身の集計によると、全体の25%がサポートセンターの問い合わせだったとのこと。また、ここ数カ月間は、サポートセンターの仕事しかこない時間帯すらあるそうです。

ラーソン氏は、技術的なサポートの問い合わせへの対応を余儀なくされる現状について、「私たちはお客様を守る第一線のようなものなのに、お客様への対応や質問への答え方は教育されていないんです。私は一体どうして、お客様の時間を無駄にしなくてはならないんでしょうか?」と吐露しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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