メモ

Wikipedia編集者が運営に「仮想通貨の寄付の受け付け停止」を要求する投票が賛成多数で決議される


インターネット百科事典・Wikipediaを運営するウィキメディア財団に対し、仮想通貨による寄付の受け入れ停止を求める案についての投票が行われ、232対94の賛成多数で決議されました。Wikipediaのコミュニティは、仮想通貨のマイニングにエネルギーがかかりすぎることを、主な問題点として挙げています。

Requests for comment/Stop accepting cryptocurrency donations - Meta
https://meta.wikimedia.org/wiki/Requests_for_comment/Stop_accepting_cryptocurrency_donations

Wikipedia community votes to stop accepting cryptocurrency donations [Updated] | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/04/wikipedia-community-votes-to-stop-accepting-cryptocurrency-donations/

広告収入に頼らず、主に寄付を財源として運営されているWikipediaに対し、インターネット上からは仮想通貨で寄付をしたいという声が上がっていました。これを受けて、Wikipediaは2014年8月に、ビットコインでの寄付に対応したことを発表しました。

度々寄付を募っているWikipediaが仮想通貨Bitcoinでの寄付に対応 - GIGAZINE


しかし、Wikipedia編集者らのコミュニティの中には、Wikipediaが仮想通貨による寄付を受け付けることで、Wikipediaが仮想通貨を支持していると見なされたり、Wikipediaの評判が傷ついたりすることを懸念する人が多くいたとのこと。

そこで、Wikipedia編集者のGorillaWarfare氏は、意見募集用ページの「Request for Comments(コメント依頼)」で2022年1月10日から4月12日まで意見を募り、ウィキメディア財団に対して仮想通貨による寄付の受け付け停止を求める提案についての議論を行いました。

議論の中ではさまざま意見が交わされましたが、最も目立ったのは環境負荷への懸念です。ビットコインがどれくらいエネルギーを消費しているかの見積もりであるビットコインエネルギー消費指数によると、ビットコインのネットワークは年間約200TWhのエネルギーを消費しているとのこと。これは、7000万人の人口を擁するタイの総消費エネルギーとほぼ同等です。


この点について、議題を提起したGorillaWarfare氏は、「仮想通貨は非常にリスクの高い資産であり、個人投資家の間で人気が高まっているだけに過ぎません。また、最もよく使われるビットコインとイーサリアムは、いずれも膨大なエネルギーを使用するプルーフ・オブ・ワークというアルゴリズムで運用されています」と述べました。

一方、仮想通貨の受け入れを擁護するユーザーからは、「ビットコインのエネルギー使用量は取引の数にほぼ無関係なマイニングによるものが大半なので、ビットコインの受け入れをやめても炭素排出量の削減になるとは限りらない」といった意見が出たほか、「銀行サービスにアクセスできない地域や、インターネット上での言論の自由が保障されていない地域に住んでいる人もいます」として、仮想通貨にはそうした人々が自由なインターネットを支持するのを助ける働きがあるとの意見もありました。


最終的に、ディスカッションと投票には約400人のWikipediaユーザーが参加。未登録ユーザーや新規アカウントによる投票を除外した結果、232対94と全体の71.17%が原案に賛成、つまりWikipediaが仮想通貨での寄付を受け入れることに反対しているとの結果が出ました。

ただし、この決議はあくまでWikipediaユーザーの提言であるため、ウィキメディア財団には仮想通貨での募金を停止する義務はありません。ウィキメディア財団は、IT系ニュースサイトのArs Technicaへの声明の中で、「私たちは、仮想通貨による寄付の受け入れの終了を検討して欲しいというコミュニティからの要望を承知しています。私たちの資金調達チームは、この要請と関連する議論の検討に入っており、検討が終わり次第、追加の情報を発表します」とコメントしました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
国家レベルの電力を消費するビットコインマイニングの消費電力量をケンブリッジ大学が分かりやすく解説 - GIGAZINE

頻繁に寄付をお願いしてくるWikipediaの運営組織はかなり潤沢な資産を持っているとの指摘 - GIGAZINE

Wikipediaの編集者に金を払って記事を掲載してもらう隠された世界の実態とは - GIGAZINE

Wikipediaで金を受け取り記事を編集した300以上のステマアカウントが一斉削除される - GIGAZINE

Wikipediaのジミー・ウェールズがNFTのオークションを宣伝して編集者の怒りを買う - GIGAZINE

度々寄付を募っているWikipediaが仮想通貨Bitcoinでの寄付に対応 - GIGAZINE

Wikipedia創始者の元に仮想通貨BitcoinがWikipediaへの寄付として続々と集まる - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.