「犬と遊ぶことは痛みを和らげてくれる」という研究結果
犬は世界中で人気のペットですが、単に愛くるしいというほかにも、犬を飼っている人は孤独感が解消されるだけでなく心臓発作や脳卒中のリスクも下がるといった「犬を飼う実利」を示す研究結果が存在しています。こうした犬の実利について、カナダの研究チームが「犬との交流は痛みを和らげてくれる」という研究結果を発表しました。
Outcomes of a controlled trial with visiting therapy dog teams on pain in adults in an emergency department
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0262599
Affection from a dog really is medicinal, according to a new study - CNN
https://edition.cnn.com/2022/03/09/health/therapy-dogs-hospitals-wellness/index.html
犬は人類と強く結びついた生き物で、犬と人類の関係は少なくとも1万年以上にわたるという考古学的資料のほか、犬が人間に飼われた結果「愛らしい見た目」や「子犬のような目」を身につけたという説まで存在します。
犬は人間の心を動かす「子犬のような目」を進化で身に付けた - GIGAZINE
このように人類が犬に影響を与えたという研究がさまざま存在するわけですが、犬も人類に影響を与えているというのが今回の研究。カナダ・サスカチュワン大学のコリーン・デル教授が行った研究は、セラピードッグが生み出す鎮痛効果に関するもの。デル教授らは、痛み・不安・うつを抱えて救急外来を訪れた患者101人を対象に、「セラピードッグと10分間遊んでもらう」という実験を実施。セラピードッグとの交流の前後で実施した「痛み・不安・うつ・幸福をそれぞれどの程度感じているか」を10段階評価してもらうというアンケートの結果を記録しました。
「セラピードッグとの交流なし」という対照群の結果と比較を行ったところ、セラピードッグと交流した患者は特に「痛みが軽減された」と回答する傾向が高かったと判明。不安については「男性には高い効果があるが、女性にはほぼ効果がない」、うつについては「わずかな効果がある」、幸福については「中程度の効果がある」という結果となりました。
この結果について、デル教授は「ペットが私たちの健康に重要な役割を果たしていると立証する研究結果は複数報告されています。ペットは私たちにやる気を出させ、いつも通りの気持ちに戻してくれます」とコメント。今回の研究はセラピードッグの有効性を疑問視する声を否定し、医療チームにセラピードッグを統合するという道を考えるべきだと主張しました。
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