犬を飼い始めると飼い主の孤独感が解消されることが研究で確かめられる

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人間は数万年前から犬と共に生きており、犬を飼っている多くの人々が「犬によって孤独感が和らげられ、幸せを感じている」と主張しています。シドニー大学の研究チームは「犬が本当に人の精神的健康を向上させるのか？」という点を確かめるため、「新しく犬を飼い始めた人々と犬を飼っていない人々」を比較する研究を行いました。

Companion dog acquisition and mental well-being: a community-based three-arm controlled study | BMC Public Health | Full Text
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-019-7770-5

Dogs really can chase away loneliness
https://theconversation.com/dogs-really-can-chase-away-loneliness-125495

オーストラリアでは実に40％の世帯が犬を飼っているといわれており、ほとんどの飼い主は犬によって幸福になっていると感じているそうです。その一方で、この主張には科学的証拠が欠けていると、シドニー大学の博士課程に在籍するLauren Powell氏らは述べています。

Powell氏によると、犬が人間の精神的健康に与える影響を調べた過去の研究は、ほとんどが「特定の時点における犬の飼い主と犬を飼っていない人」の精神的健康状態を評価していました。ところが、この方法では本当に犬を飼い始めることで孤独感が和らげられ、幸福になるのかどうかを判断できないとPowell氏は指摘。また、そもそも「犬を飼おうとする人は精神的に健康である」という可能性も排除できず、必ずしも過去の研究を取り上げて、「犬は人間の孤独感を和らげて精神的健康を向上させる」とはいえないとのこと。

そこでPowell氏らの研究チームは、「犬を飼う前」「犬を飼い始めてから3カ月が経過した時」「犬を飼い始めてから8カ月が経過した時」という3つのタイミングで、被験者の精神的健康を測定するという実験を行いました。

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研究チームはシドニーに住む71人の成人を、「犬を飼いたいと思っており、実験開始から1カ月以内に犬を飼い始めるグループ」「犬を飼いたいと思っているが、実験期間終了まで犬を飼わないことに同意したグループ」「犬を飼うことに興味がないグループ」の3つに分けました。そして、まだ全員が犬を飼っていない実験開始時と、犬を飼うグループだけが犬を飼っている実験開始から3カ月後、そして実験開始から8カ月後のタイミングで、気分や孤独感、心理的苦痛などについての評価を行いました。

それぞれの時点における精神的健康状態を比較した結果、新しく犬を飼い始めたグループは他の2つのグループと比較して、犬を飼い始めた後に孤独感が減少することが判明。この効果は犬を飼い始めてから3カ月以内に現れ、実験が終了する8カ月後まで持続したとのこと。

一方、犬を飼い始めたグループでは緊張や苦痛といったネガティブな感情が少なくなる傾向がみられたものの、この点についてはそれほど有意な差はありませんでした。また、うつ病や不安障害などの症状については改善がみられなかったそうですが、Powell氏は「私たちの実験では、犬を飼うグループの人々は犬を飼い始める前からすでに心理的苦痛のレベルが低かった」と述べており、この点が結果に影響を与えた可能性もあります。

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今回の実験では犬を飼うことが孤独感を和らげると示唆されており、過去の研究でも、犬と寄り添うことが短期的に気分を向上させることが判明しています。また、犬の飼い主は散歩中などに犬を介して見知らぬ人と話す確率が上がるため、孤独感が減少する可能性もあるとPowell氏は指摘。実際に今回の実験で犬を飼った被験者らも、犬のおかげでこれまで知らなかった近所の人々と話したと述べたとのこと。

なお、今回の実験では確かに犬を飼うことで孤独感が減少することが確認されたものの、偶然にも実験で犬を飼い始めた被験者らは女性ばかりだったそうです。そのため、女性とは異なる方法で犬が男性の精神的健康に影響を与える可能性もあるとPowell氏は認めています。今後のステップでは、今回の発見を確認するためにより多い被験者を対象にして、犬を飼い始めることが人に与える影響について調査したいとPowell氏は述べました。

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