自分の手でバラバラ分解&パーツ交換可能な「Fairphone 4」の海外レビューが登場
近年のスマートフォンは技術の進歩と共に個人の手で修理することが非常に難しくなっているため、ユーザーは公式のサポートや修理業者を頼らざるを得なくなっています。そんな現状を変えるべくオランダのスマートフォンメーカー「Fairphone」がリリースしたのが、個人でも簡単にバラバラに分解して故障したパーツだけを交換したり修理したりできる「Fairphone 4」です。このFairphone 4のレビューを、海外テクノロジーメディアのThe Vergeが公開しています。
Fairphone 4 review: the price of sustainability - The Verge
https://www.theverge.com/22716194/fairphone-4-review
「Fairphone 4」の詳細なスペックや機能は以下の記事にまとめられています。
簡単に修理可能で環境に配慮したモジュール式スマホ「Fairphone 4」が登場 - GIGAZINE
Fairphone 4について、The Vergeは「Fairphone 3と比べると同じメーカーによって製造された端末とは思えません。Fairphone 3の分厚いベゼルはなくなり、ディスプレイガラスはGorilla Glass 5を採用しています。スマートフォンの進化速度が鈍化したことで、Fairphoneが他のスマートフォンに追いついたかのようです」と記し、ディスプレイ周りの進化が他のスマートフォンに追いつきつつあることを歓迎しています。それでもベゼルは他のスマートフォンと比べると大きく、6.3インチのディスプレイも有機EL(OLED)ディスプレイではなく液晶ディスプレイ(LCD)である点には注意が必要です。それでも、「設定アプリで過剰なオプションをオフにし、色温度を微調整することでディスプレイの見た目には満足することができました」とThe Verge。
Fairphone 4は詳細なスぺックよりも、ユーザー自身の手でバラバラに分解し、パーツを交換できるという点が他の端末との大きな違いとなっています。端末にはフェアトレード金、倫理的に調達されたアルミニウムとタングステン、リサイクルされたスズ、希土類鉱物、プラスチックなどが利用されています。
Fairphone 4の背面には100%再生プラスチックが使用されており、ツールなしで簡単に取り外すことが可能。これにより、ほとんどのスマートフォンで不可能な「バッテリーの交換」がユーザーの手で簡単にできるようになっています。さらに、背面カバーを取り外したあとにアクセスできるネジを外せば、背面にあるメインカメラや充電用のUSB-Cポート、スピーカーに至るまであらゆるパーツを取り外し可能です。
デジタル機器の修理しやすさを10段階評価でスコア付けするiFixitは、Fairphone 4の評価をまだ下していませんが、Fairphone 4の前モデルとなるFairphone 3とFairphone 2はスマートフォンとしては唯一の10段階中10(最も修理しやすい)の評価を得ています。そのため、Fairphone 4も高いスコアを得るであろうことをThe Vergeは期待しています。
加えて、Fairphone 4は5年間の製品保証を有しているため、2027年までは交換用のパーツなどを入手することが可能です。実際、約6年前にリリースされたFairphone 2の交換用パーツが記事作成時点でもFairphoneの公式サイトから入手することができます。これにより、Fairphone 4の端末としての寿命や修理コストは「格段に抑えられるはず」とThe Verge。加えて、ソフトウェア面ではFairphone 4はAndroid 11を搭載しており、少なくとも2つのメジャーアップデートが保証されています。
Fairphone 4には充電アダプタやイヤホン、充電ケーブルなどは付属していません。さらに、背面のネジを回すためのドライバーも付属していないため、ユーザーは端末を分解するために工具を取りそろえる必要があります。
Fairphone 4の右側面には電源ボタンがあり、これには指紋認証センサーが統合されています。この指紋認証センサーについて、The Vergeは「ディスプレイ埋め込み型の指紋認証センサーほど便利ではないものの、背面につけられた指紋認証センサーよりは便利」と記しました。
Fairphone 4は充電用にUSB-Cポートを採用しており、イヤホンジャックはありません。2021年に発売されたスマートフォンであると考えると、イヤホンジャックがないことはそれほど驚くことではないかもしれません。しかし、The Vergeは「消費者に優しいことを重視しているFairphoneからすると少し残念なポイント」と指摘。なお、Fairphoneによると防塵・防水性能とトレードオフでイヤホンジャックがなくなったとのことです。
Fairphone 4は心臓部にQualcommのSnapdragon 750Gを採用していますが、Fairphone 3ではSnapdragonの6シリーズを採用していたため、「より高性能なプロセッサを採用している点は素晴らしい」とThe Verge。しかし、Fairphone 4でも一部のアプリの動作が「完璧ではない」そうです。また、全体的なパフォーマンスとしても、4Gを受信する地域で3Gネットワークに接続してしまうといった「クセ」があるようです。
バッテリーは1日問題なくもち、1日の終わりに10~50%ほど残っているバッテリーを充電することになるとのこと。ディスプレイも問題ないそうですが、唯一大失敗になる可能性がある点として「カメラ」をThe Vergeは挙げています。Fairphone 4のメインカメラは48メガピクセルのセンサーを有していますが、昼間以外では「がっかりするような出来栄え」の写真が撮れてしまうとのこと。
以下の写真は実際にFairphone 4のメインカメラで撮影した写真。屋内や天気の悪い日に撮影した写真は暗所でノイズが発生するなどの問題が散見できるそうで、The Vergeは「これまで休暇に写真のレビューを行ったスマートフォンで、使用を後悔したのはFairphone 4だけです」と記しています。
The Vergeは「長年にわたり、Fairphoneの端末は持続可能という点を除き、同程度の価格帯のスマートフォンとの競争に苦労していました。具体的には、Fairphoneは最新のスマートフォンにある機能を欠いており、時代遅れのデザインを採用していました」「それに対して、Fairphone 4は大きな前進を見せています。Fairphone 4は5年間の製品保証を提供しているモジュール式の修理可能な設計を有しており、あらゆる面から見て持続可能です。さらに重要なのは、現代のスマートフォンのように感じる点です。Fairphone 3の巨大なベゼルはなくなっており、防塵・防水に対応したIP54規格を有する最新のスマートフォン同等の使いやすさも有しています」と記し、Fairphone 4はこれまでの端末よりも最新のスマートフォンに近いものに仕上がっていながら、バラバラに分解して手軽に修理できる点を評価しています。
なお、Fairphone 4は6GBメモリ・128GBストレージモデルが579ユーロ(約7万6000円)で販売されています。
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