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スマートフォンメーカーに「7年間のソフトウェアアップデートおよび修理サポート」をドイツ政府は求めている


年々スマートフォンの寿命は長くなってきており、「2年で機種変更」がスタンダードだった日本でも、3年、4年と長期にわたり同じ端末を使用する人が多くなっています。しかし、同じ端末を長期にわたって使用する際に問題になるのが、ソフトウェアのアップデート問題と、修理サービスが提供されているか否かです。長く使いたくてもソフトウェアアップデートが2年で切れてしまえば、最新アプリやセキュリティを受けられなくなり、そもそも修理サービスが切れてしまっていれば修理する方法がなく、端末を新しいものに変えざるを得なくなります。スマートフォンメーカーはそれぞれことなるソフトウェアアップデートの対応期間や修理サービスを提供していますが、ドイツ政府はスマートフォンメーカーに対して「7年間のiPhoneアップデートおよび修理」を求めていることが明らかになっています。

Bundesregierung: Smartphones sollen sieben Jahre lang Updates erhalten | heise online
https://www.heise.de/news/Bundesregierung-Smartphones-sollen-sieben-Jahre-lang-Updates-erhalten-6179995.html


Germany wants Apple to offer iPhone updates and parts for 7 years | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/09/04/germany-wants-apple-to-offer-iphone-updates-and-parts-for-7-years

欧州連合(EU)における政策執行機関である欧州委員会(EC)は、消費者の「修理する権利」を支持するための規則案を採択しており、スマートフォンについては「修理用の部品およびソフトウェアアップデートの対応を最低5年間提供すること」を、タブレットについては「修理用の部品およびソフトウェアアップデートの対応を最低6年間提供すること」をメーカー側に求める予定です。

しかし、ドイツ政府は修理・ソフトウェアアップデートの対応期間を最低7年間にすべきとECに主張していることが、ドイツメディアheise onlineの報道から明らかになっています。


これに加えて、ドイツ政府は修理用のスペアパーツがメーカーからサードパーティーの修理業者に「リーズナブルな価格」で提供されることも望んでいます。この要求にはスマートフォンメーカー側にスペアパーツの価格を公表するよう要請することも含まれており、スペアパーツの価格が公表されれば発売から時間が経過した端末の修理代金が異様に高くなるような事態を防ぐことにつながるそうです。

また、ECは修理用のスペアパーツの配達を「最大5営業日以内」にするよう求めていますが、ドイツ政府はより迅速なパーツの配達を求めています。さらに、ドイツ政府はECの「スマートフォンを自主的に修理することがどの程度難しいかを示す修理可能性指数を導入する」という計画を支持していることも明らかになっています。


ドイツ政府はECが定義する「修理する権利」をより強力なものにすることを望んでいるわけですが、スマートフォンメーカー側はその反対を望んでいます。GoogleやSamsung、Appleといった大手メーカーは、61の主要なテクノロジー企業と共に業界団体のDigitalEuropeを組織し、「3年間のセキュリティアップデートおよび2年間のソフトウェアアップデート」を業界スタンダードとするべく推進しています。また、DigitalEuropeはカメラやマイクといったコンポーネントが故障することはめったにないとして、バッテリーやディスプレイなどの故障頻度の高い部品を積極的に提供していく必要があると主張しています。

ECとメーカー側の対立は想像以上に深く、両者の議論は長期にわたって行われている最中です。そのため、EUはスマートフォンを修理する権利の具体的な案を、2023年までに発表する予定となっています。


なお、国レベルでは2021年4月にスペインがスマートフォンメーカーに対して「3年間の修理保証が付いた製品の販売」を義務付け、修理用パーツの提供期間を5年から10年に引き延ばしているほか、2021年7月にはイギリスで「修理する権利」を保証する法律が施行されていますが、スマートフォンは対象外となっています。

「修理する権利」を保証する法律をイギリスが施行、ただしスマホやノートPCは対象外 - GIGAZINE

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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