ネットサービス

Facebookが規制する危険な団体や個人をまとめた「秘密のブラックリスト」がリークされる、白人の極右団体に有利との非難も

by www.shopcatalog.com

Facebookはプラットフォームを健全に保つため、危険な団体や個人をリストアップした「秘密のブラックリスト(Dangerous Individuals and Organizations List/DIOリスト)」を作成し、関連する投稿やアカウントの削除を行っています。これまで、Facebookは法学者や市民グループによる「DIOリストを公開するべきだ」との要請を拒否してきましたが、ついに海外メディアのThe InterceptがDIOリストを入手して公開しました。

Facebook’s Secret Blacklist of “Dangerous” Groups and People
https://theintercept.com/2021/10/12/facebook-secret-blacklist-dangerous/


The Secret Blacklist Compiled By Facebook Is Blasted As Biased
https://www.dailydot.com/debug/facebook-blacklist-blasted-racial-religious-bias/

FacebookはDIOリストの公開について、従業員を危険にさらしたり、ブラックリストに掲載された組織がポリシーを回避したりする恐れがあるとして拒否してきました。一方、Facebookのモデレーションに関する判断・決定を行うFacebook監督委員会は、DIOリストの公開は公益に資するものだとして、たびたび公開を推奨してきたとのこと。

そんな中、完全なDIOリストを入手したThe Interceptは、見やすさを向上させるためのわずかな編集のみを行い、資料全体のコピーをオンラインで公開しました。DIOリストには4000を超える危険な団体や個人がリストアップされており、テロ・ヘイト・犯罪・軍事化された社会運動・暴力的な非国家主体にカテゴリ分けされた上で、Tier1・Tier2・Tier3の階層分けが行われています。

階層に関係なくDIOリストに掲載された団体や個人がFacebookアカウントを持つことはできず、ユーザーが組織の一員であると表明することもできません。3つの階層は「その他のFacebookユーザーがその団体や個人について何を話すことができるのか」を示しています。


Tier1はテロ組織・ヘイト団体・犯罪組織や犯罪者で構成されており、Facebookユーザーは非暴力的な活動を含めて、Tier1の組織や個人に対する称賛・支持を表明できません。テロ組織として認定されているものの半分以上は南アジアや中東で活動しており、犯罪に関する組織や人物は主にアメリカのストリートギャングや中南米の麻薬カルテルだそうです。ヘイト団体の中には白人至上主義を掲げるものも含まれているものの、Tier1の70%はテロ組織のカテゴリーで占められているとのこと。The Interceptは、FacebookがDIOリストに掲載しているテロ組織の名前は、アメリカ政府が管理する特別指定国際テロリスト(SDGT)などに基づいたものだと指摘しています。

Tier2は暴力的な非国家主体で構成されており、Facebookユーザーは対象団体の非暴力的な活動を称賛することは可能なものの、団体に対する「実質的なサポート」を表明することはできません。暴力的な非国家主体は、民間人ではなく政府を標的とした暴力的活動に従事する反政府武装勢力が主であり、シリア内戦などで戦う多くの派閥が含まれているとのこと。


Tier3は暴力的ではないが悪意のある表現を繰り返し行うグループ、暴力の準備を行っているとみられるグループなどで構成されており、FacebookユーザーはTier3のグループについて自由に話し合うことができます。Tier3にはTier1に分類されるヘイト団体との類似点が多い極右民兵グループも含まれており、そのほとんどが白人です。

The Interceptは、DIOリストに掲載される存在の多くが「アメリカやその同盟国」にとって脅威とみなされる存在であるため、イランのトラクター製造企業やテロ組織への資金提供が疑われるパレスチナ人支援団体のInterpalなどが、テロ組織と同列のTier1に位置づけられていると指摘。その一方で、白人主体の極右グループを比較的制限が緩いTier3に配置するなど、FacebookのDIOリストには人種的・宗教的な偏りが見られると非難しています。


ブレナン司法センターの自由・国家安全プログラムの共同ディレクターを務めるFaiza Patel氏は、「Facebookはアメリカ政府のように、イスラム教徒が最も危険であると考えています。対照的に、南部貧困法律センターによって反ムスリムのヘイト団体として認定された団体の多くは、Facebookのリストに含まれていません」とコメントしています。

また、Patel氏はFacebookのDIOリストでTier1に指定されてしまった団体は、プラットフォーム上における政治的議論や自由な表現が難しくなると指摘。アメリカにとっては「テロに関連する危険な組織」であっても、現地の人々からすれば社会構造の一部として存在している場合があるとのこと。電子フロンティア財団で表現の国際的自由部門のディレクターを務めるJillian York氏は、「テロ組織とされるグループが統治の一部を担う場所に住んでいる人々は、これらのグループにおいて繊細な話し合いができる必要がありますが、Facebookのポリシーはそれを許可していません」と述べました。

Facebookの広報担当者は声明で、アメリカの過激派右翼グループを特別扱いしているとの指摘を否定し、「テロ組織」「ヘイト団体」「暴力的ではないが悪意のある表現を繰り返し行うグループ」といった区分は、あくまで当該組織の行動によって決定されているとしています。白人至上主義者に対するアプローチは、国連・EU・アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・フランスなどよりも強力である上に、テロ組織に関する定義は外部の専門家らの意見がベースとなっており、宗教・地域・政治的見解・イデオロギーに左右されていないと主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Facebookが暴動を扇動する白人至上主義者のアカウントを削除 - GIGAZINE

Facebookが陰謀論者グループ「QAnon」の利用を全面的に禁止 - GIGAZINE

Facebookがミャンマー軍のアカウントを削除 - GIGAZINE

ホロコーストを否定するコンテンツをFacebookが全面禁止 - GIGAZINE

Facebookが「紛争地から略奪した文化的遺産の闇市」と化してテロ組織の資金源になっている - GIGAZINE

「Facebook上の極右コミュニティはニュースへの反応が高く誤情報が拡散しやすい」という研究結果 - GIGAZINE

SNSで情報発信を試みるタリバンに対し各サービスはどのように対処しているのか? - GIGAZINE

Facebookが「盗みをやめろ」という言葉が入った投稿を削除し始めている - GIGAZINE

in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.