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ワクチン接種に関する誤情報の拡散は「緊急の公衆衛生上の脅威」、医務総監がメディアに対策を求める


アメリカでは2020年12月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が行われていますが、2021年7月16日の時点で2回のワクチン接種を完了した割合は47.88%にとどまっており接種ペースの鈍化が指摘されています。そんな中、アメリカ公衆衛生局士官部隊の長であるビベック・マーシー医務総監が、「ワクチン接種に関する誤情報と戦うための大きな措置を講ずるように」と、ソーシャルメディアやニュース組織に呼びかけました。

We all have the power and responsibility to confront health misinformation. That’s why we included recommendations for individuals, educators, researchers, health professionals, tech companies, and more. Learn how you can act at https://t.co/cYY0swuclZ. pic.twitter.com/zPXYkg382H

— Dr. Vivek Murthy, U.S. Surgeon General (@Surgeon_General)


U.S. Surgeon General Issues Advisory During COVID-19 Vaccination Push Warning American Public About Threat of Health Misinformation | HHS.gov
https://www.hhs.gov/about/news/2021/07/15/us-surgeon-general-issues-advisory-during-covid-19-vaccination-push-warning-american.html

Surgeon General Calls On Tech To Take Steps To Combat Covid Misinformation – Deadline
https://deadline.com/2021/07/covid-19-vaccine-misinformation-facebook-fox-news-1234793846/

ワクチン接種率が伸び悩んでいるアメリカでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株である「デルタ株」の症例数が急増しています。7日間平均の感染者数は7月14日の時点で2万1420人となり、前週と比べて43%も増加しました

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は7月8日、「アメリカにおける新規死亡者の99.5%がワクチン未接種者である」と報告しており、ワクチン接種率を高めることが感染者や死者を減らす上で急務となっています。

新型コロナ新規感染者の99.6%&新規死亡者の99.5%が「ワクチン未接種者」 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20210712-almost-all-covid-19-vaccinated-people/

マーシー氏は7月15日、ワクチン接種に関する誤情報の拡散は「緊急の公衆衛生上の脅威」だとして、誤情報の拡散防止を訴える(PDFファイル)アドバイザリーを公開しました。ホワイトハウスのブリーフィングルームに現れたマーシー氏は、「私たちは今日、誤情報が切迫して油断ならない脅威をもたらす世界に住んでいます」と述べ、誤情報の拡散がワクチン接種率の鈍化を引き起こす原因の1つだと指摘。「簡単に言えば、健康に関する誤情報は私たちの命を犠牲にしました」と述べました。

アドバイザリーはニュースメディアに対し、報道機関のジャーナリストと編集者が誤情報の増幅を回避するように訓練することを求めています。また、メディアの務めとして国民の疑問に積極的に対処し、読者や視聴者を引きつけるための「衝撃的で挑発的な見出し」を再考することもアドバイザリーは訴えています。


さらにマーシー氏はメディアの報道について、「たとえば、ある問題について相反する見解について議論する時には、どちらの側に科学界が立っているのか、異なる見解について入手可能な証拠がどれほど強力なのかという点の感覚を読者に与えましょう」「『専門家の間でどれほどの反対がありますか?』『ありそうになくても、与えられた説明は妥当ですか?』と自問自答してください」と呼びかけ、読者が論争の文脈をしっかり把握できるようにすることを重視しました。

ワクチン接種については保守派のメディアや言論人による懸念が投げかけられており、たとえばFOXニュースの保守派政治コメンテーターであるタッカー・カールソン氏は、「政府はワクチン接種を強制するべきではない」と主張したほか、ニュースレポーターのロブ・シュミット氏は、「ワクチンは自然に逆らうものだ」との見解を述べました。

一方で、保守派の中からも「反ワクチン的な主張は危険だ」とする声は挙がっています。保守派コラムニストのマイケル・ガーソン氏は、「Foxニュースの有名人は、リスクを誇張したり、証明されていない代替療法を強調したり、反ワクチンの声を常態化させたりしてワクチン接種の意欲を失わせることは、結果的に死ななくてもよかった死者を増やすことになると知っているはずです。これらの人々が反ワクチンの主張をするのは、私の頭では理解しがたいことです」と、ワシントン・ポストのコラムで述べました


また、マーシー氏は誤情報を拡散するプラットフォームとして、ソーシャルメディアが果たした役割にも注目しています。「現代のテクノロジー企業は、『誤情報がユーザーへの説明責任をほとんど持たないまま、情報の環境を害すること』を可能にしています」と非難し、ワクチン接種に関する誤情報の拡散を取り締まるように訴えています。

以前の研究から、わずか12人の反ワクチン主義者がSNS上にある反ワクチンコンテンツの大部分を生み出していることが知られていますが、これらの人々が持つアカウントの全てが閉鎖されたわけではありません。

わずか12人の反ワクチン主義者が81万件以上あるSNSの反ワクチンコンテンツの3分の2を生み出している - GIGAZINE


Facebookの広報担当者は声明で、「私たちは公衆衛生を守るために政府の専門家や保健当局、研究者と協力して、COVID-19やワクチンに対する誤情報に積極的な対策を取りました。これまでに1800万を超えるCOVID-19の誤情報を削除し、これらのルールに繰り返し違反するアカウントを削除し、20億人の人々をCOVID-19およびワクチンに関する信頼できる情報に結びつけました」と主張しています。

カーネギーメロン大学と協力して行われている調査によると、Facebookユーザーがワクチンを受け入れる割合は、2021年1月と比較して10~15パーセントポイントも増えているとのことで、人種間の差も縮まっているそうです。また、2021年第2四半期に閲覧されたCOVID-19関連の情報は、大部分がユニセフやWHOといった権威ある機関のものだったと述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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