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ビットコインの採掘難易度が大幅に低下、「マイニング事業者の収益は35%上昇する」との予想も


中国はコンピューターリソースを提供して仮想通貨(暗号資産)を手に入れるマイニング(採掘)の一大拠点でしたが、2021年6月に政府による規制が強化されたことで、多くのマイニング業者が操業停止に追い込まれました。そんな中、2021年7月3日にビットコインの採掘難易度(ディフィカルティ)が大幅にマイナス調整され、「マイニング事業者の収益性が35%上昇する」と予想する専門家も登場しています。

Bitcoin mining difficulty drops after hashrate collapse in China
https://www.cnbc.com/2021/07/03/bitcoin-mining-difficulty-drops-after-hashrate-collapse-in-china-.html

Bitcoin Mining Profitability to Rise 35% While Ousted Chinese Miners Face Delays Relocating – Mining Bitcoin News
https://news.bitcoin.com/bitcoin-mining-profitability-to-rise-35-while-ousted-chinese-miners-face-delays-relocating/

仮想通貨のマイニングには大量の電力が必要となるため、電気料金が安い中国には多くのマイニング業者が集まり、世界全体のビットコイン採掘の7割近くが中国で行われていました。ところが、2021年6月に中国は暗号資産の取り締まりを急速に強化し、採掘事業に対する電力供給の停止などを実施。規制強化によってビットコインの価格が大幅に下落したほか、採掘に不可欠なグラフィックカードの価格低下といった影響も生じています。

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アメリカのマイニング事業者であるBlockcapCore Scientificの創設者・Darin Feinstein氏は、「ビットコインネットワークの歴史上で初めて、ネットワークの50%以上に影響を与える地域でのマイニングが完全にシャットダウンされました」とコメントしました。

中国でのマイニングが停止された影響で、全世界におけるビットコインの総ハッシュレート(1秒当たりの演算能力)は大幅に下落しています。PC Watchによると、5月14日に180.666EH/sという統計以来最大のハッシュレートが記録されたものの、わずか1カ月半後の7月1日時点のハッシュレートは89.036EH/sとなっており、実に50%以上もビットコインの採掘速度が落ちていることになります。

ビットコインは、10分に1回の頻度で新たなブロックが生成されるように設定されており、総ハッシュレートの変動に伴うブロック生成時間の変動を抑えるため、定期的にディフィカルティの調整を行っています。7月3日に行われた調整では、総ハッシュレートの大幅下落に対応するためにディフィカルティが約28%もマイナス調整され、史上最大の軟化となりました。

ブロックチェーン企業に専門知識や資本の提供を行うFoundryでCEOを務めるMike Colyer氏は、ビットコインのディフィカルティ調整について、「これは自主規制の市場であり、外部委員会によるどんな決定も必要ありません。これは非常に強力なコンセプトです」と述べました。


中国でビットコインのマイニングが規制される一方でマイニングの難易度自体が減少するという事態は、既存のマイニング事業者にとって大きなメリットとなります。アメリカの発電所兼マイニング企業のGreenridge Generationでマイニング責任者を務めるKevin Zhang氏は、「全てのマイニング事業者(マイナー)は同じ経済を共有し、同じネットワークでマイニングを行っているため、マイナーは企業・個人ともに収益の増加を見るでしょう」との見解を表明しています。

Zhang氏によると、最新世代のマイニング機器を使用している場合、ディフィカルティの調整前は1日当たり22ドル(約2440円)の収益でしたが、調整後は29ドル(約3220円)の収益になる見込みだとのこと。マイニング事業者・Compasの創設者兼CEOであるWhit Gibbs氏は、「マイナーの収益性は35%向上すると予想しています」と述べた他、Feinstein氏も「当面の間は収益と利益の増加を見込んでいます」と述べました。

なお、Feinstein氏によると中国でマイニングに使用されていたコンピューターのほとんどは旧世代のものであり、非効率的で利益率も低いものだったとのこと。マイニングの一大拠点だった中国のマイニング事業者が操業を停止したことは、マイニングネットワーク全体における電力消費量を低下させると共に、マイニングネットワークの分散化を促すとFeinstein氏は主張しています。


今後、ハッシュレートの低下がどれほど続くのかを予想することは困難です。しかし、中国で操業停止に追い込まれたマイニング事業者が海外に拠点を移すのは簡単ではないため、中国政府がこれまでの方針を転換しない場合、数カ月はハッシュレートの低下が続く可能性もあります。

マイニングの拠点に使用できる有望な土地は限られていますが、アメリカは特にベンチャーキャピタルによるマイニング事業への投資が活発であり、中国から撤退した事業者を受け入れる余地があるとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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