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政府が仮想通貨を規制する前から中国のマイニングシェアは大幅に低下していたことが明らかに


中国は長らく、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)のマイニング工場の集積地として知られてきましたが、2021年5月に中国政府が打ち出した暗号資産の規制強化によって、多くのマイニング工場が閉鎖を余儀なくされたと報じられていました。しかし新たに、イギリスのケンブリッジ大学が「政府の規制強化より前に中国のマイニングシェアは大幅に低下していた」と指摘しています。

New data reveals timeline of China’s bitcoin mining exodus - News & insight - Cambridge Judge Business School
https://www.jbs.cam.ac.uk/insight/2021/new-data-reveals-timeline-of-chinas-bitcoin-mining-exodus/

University of Cambridge Bitcoin Mining Map Shows China's Hashrate Dropped to 46% – Mining Bitcoin News
https://news.bitcoin.com/university-of-cambridge-bitcoin-mining-map-shows-chinas-hashrate-dropped-to-46/

暗号資産のマイニングには多くの電力が必要なため、石炭火力発電や水力発電による安価な電力が入手できる中国はマイニング工場の集積地であり、全世界の暗号資産マイニングに占めるシェアは60%を超えていました。


ところが、5月に中国政府が暗号資産の規制を強化する方針を明らかにし、実際に金融機関による暗号資産の受け入れ停止やマイニングの禁止が行われた結果、中国におけるマイニング事業者は廃業せざるを得ない状態となりました。その結果、ビットコインの価格が大幅に下落する事態になったほか、ビットコインの採掘難易度(ディフィカルティ)が大幅にマイナス調整され、既存のビットコイン事業者の収益が上がるといった影響が出ています。

ビットコインの採掘難易度が大幅に低下、「マイニング事業者の収益は35%上昇する」との予想も - GIGAZINE


そんな中、ケンブリッジ大学が公開している「ケンブリッジビットコイン消費電力量指数(CBECI)」が更新され、政府の規制強化より前に中国のマイニングシェアが大幅に低下していたことが話題を呼んでいます。CBECIは、ビットコインマイニングの持続可能性や環境への影響に対する懸念の高まりを背景にして、マイニングによる電力消費に関する情報や洞察を提供する独立したプラットフォームです。

以下の画像が、CBECIが算出した2019年9月~2021年4月頃における各国のハッシュレート割合を色で示したもの。2019年9月の時点では、中国(黄色)が世界の総ハッシュレートのうち75.5%を占めていましたが、2020年に入ってから徐々にその割合が減少を始め、2020年の10月からは60%を下回るようになり、2021年4月21日の時点ですでに46%にまで低下しています。これは、中国政府による規制が本格化する前に、マイニングのシェアが低下していたことを示しています。また、同じ期間にアメリカ(青色)のシェアは4.1%から16.8%へ上昇して世界2位になり、燃料資源が豊富なカザフスタン(水色)は1.4%から8.2%に増加して世界3位となりました。2021年4月の時点では、4位にロシア(茶色)の6.8%、5位にイラン(緑色)の4.6%が続きます。


また、CBECIは新たに、複数の事業者が協力してマイニングを行うマイニングプールのBTC.com・Poolin・ViaBTC・Foundryと提携し、データ提供を受けることになりました。4つのマイニングプールが提供するデータセットは、ビットコインネットワークにおける総コンピューティングパワーの37%を占めており、マイニングに関するより地理的な詳細を明らかにできるとしています。

上記のマイニングプールと提携したCBECIが公開した、2019年9月~2021年4月における中国国内のマイニングシェアの推移を示したグラフがこれ。特に中国南部に位置するSichuan(四川省)(黄色)と、中央アジアに近い北西部に位置しているXinjiang(新疆ウイグル自治区)(茶色)の変動が大きいことがわかりますが、これは「雨期と乾期に合わせてマイニング事業者が移動した」ことを示しているとCBECIは指摘。四川省が乾期である10月~4月頃、マイニング事業者は石炭火力発電で作られた安価な電力を使うため、新疆ウイグル自治区に移動します。一方、四川省が雨期になる5月~9月になると、水力発電で作られるより安価な電力を求めて四川省へ移動するとのこと。


中国国内におけるマイニング事業者の季節的な移動パターンは、一種の逸話としては知られていたものの、実際にデータとして確認されたのは今回が初めてです。しかし、中国政府の規制強化によって新疆ウイグル自治区や四川省を含む主要な地域でマイニングが禁止されたため、今回確認されたパターンも今後消滅するとみられています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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