あのボストン・ダイナミクスが商用物流ロボット「Stretch」を発表、吸盤付きロボットアームで物流を進化させる運搬ロボ
人型ロボットの「Atlas」や四つ足自律歩行ロボット「Spot」を開発するロボット開発企業のボストン・ダイナミクスが、倉庫や配送センターで作業をするためのロボット「Stretch」を市販する予定だと発表しました。Stretchは、2020年に販売開始した「Spot」に続く2機目のボストン・ダイナミクス製商用ロボットとなります。
Stretch | Boston Dynamics
https://www.bostondynamics.com/stretch
Meet Boston Dynamics’ next commercial robot, Stretch | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/03/meet-boston-dynamics-next-commercial-robot-stretch/
Stretchがどんなロボなのかは以下のムービーを見ると一発でわかります。
Introducing Stretch - YouTube
画面中央で段ボール箱を持ち上げているのが、ボストン・ダイナミクスが発表した「Stretch」です。
Stretchが箱の中に吸引型のロボットハンドを突っ込んで……
持ち上げたのは「SpotMini」でした。
Stretchの全身はこんな感じ。足元のモバイルベースは任意の方向に動くことが可能で、障害物や傾斜路をナビゲート可能。Stretchはバッテリーを内蔵していますが、電源ケーブルをつなぐことで継続的に動作させることもできます。総重量はおよそ1200kgです。
ロボットアームは動作の自由度が人間の腕と同じ「7自由度」で、トラックやコンテナの奥にもアームが届くように長いリーチと広い作業領域が確保されています。
ロボットアームの自由度をアピールするように、軽やかに踊る2体のStretch。Stretchは2020年3月に公開された試験型の物流ロボット「Handle」を製品化したモデルですが、オートバランサーと2輪で動いていたHandleと違って、Stretchは下半身が箱状のモバイルベースになっています。ボストン・ダイナミクスの製品エンジニアリング担当バイスプレジデントのケビン・ブランケスプア氏によれば、Handleは狭いスペースでの操縦が難しいことが判明したため、アメリカで一般的な1016mm×1219mmのパレット規格に合わせた箱型のモバイルベースに変更されたとのこと。
Stretchがローラーコンベアを自分で運びながら、コンテナの中へ入っていきます。
ロボットアームの横にあるセンサーで、コンテナ内の障害物や荷物の位置をすべてスキャン済み。Stretchのベースは拡張性が確保されており、センサーを含むさまざまなアクセサリを取り付け可能なモジュラーインターフェイスが取り付けられています。例えば、追加のセンサーをベースに取り付けることで、荷物のバーコードを読み取ることも可能になるそうです。
ローラーコンベアの上をどんどん流れていく荷物。Stretchは1時間に最大800箱移動できるとのこと。
吸盤がいくつもついたロボットアームの先端。Handleにも同様の吸盤型アームがとりつけられていました。
吸盤ががっちりと段ボール箱にくっつきます。Stretchの最大積載量は50ポンド(約23kg)で、33ポンド(約15kg)だったHandleよりも強力になりました。
ボストン・ダイナミクスによれば、Stretchは2022年に市販を開始する予定だとのこと。ブランケスプア氏は「Stretchはこのような見た目ですが、実際はコスト削減や信頼性、高性能、製造可能性を考えて一から再設計をします。最初のユニットを2021年夏に完成させ、2022年に販売する予定です」と語りました。
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