警察がボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」の採用を検討している
By Boston Dynamics
アメリカのマサチューセッツ州警察の爆弾処理班が、ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」の試験運用を開始していると報じられました。
Boston Dynamics Spot Memorandum of Agreement
https://www.documentcloud.org/documents/6556640-Boston-Dynamics-Spot-Memorandum-of-Agreement.html
Mass. State Police Tested Out Boston Dynamics’ Spot The Robot Dog. Civil Liberties Advocates Want To Know More | WBUR News
https://www.wbur.org/news/2019/11/25/boston-dynamics-robot-dog-massachusetts-state-police
Exclusive: Boston Dynamics says robots won't harm, in wake of police lease | Inverse
https://www.inverse.com/article/61205-boston-dynamics-bomb-squad-robot-dogs
ボストン・ダイナミクスが提供する「Spot」は、カメラで映像を確認しながらの遠隔操作や、ロボットアームで「ドアを開ける」などの動作も可能な四足歩行ロボットです。Spotはその能力もさることながら、見た目や動きが「キモイ」ということで話題を呼んできました。
キモイと話題の四足歩行ロボット「Spot」の商用販売がついにスタート、不気味なプロモーションムービーも公開中 - GIGAZINE
マサチューセッツ州警察の爆弾処理班は2019年8月から2019年11月までこのSpotをリース契約で借り受け、さまざまな試験を行いました。試験に関する詳細は明かされていませんが、マサチューセッツ州警察の広報担当官は「人間にとって危険な可能性のあるデバイスや武装した容疑者が潜伏している可能性のある場所の映像を取得することに用いました」と述べ、すでに2件の事件でSpotを用いたと発表しました。
警察がSpotを運用することに関して、警官5名を射殺した後も立てこもりを続けた狙撃犯に、テキサス州ダラスの警察が爆発物を持たせた非軍事用ロボットを送り込んで爆殺したという事例などから、「ロボットの武器化」に関する議論が紛糾しています。SpotはオープンソースのAPIを備えており、利用者自身でカスタマイズできます。それゆえ、「Spotを武装させて殺傷能力を持たせるのでは」という疑念が生じているわけです。
ボストン・ダイナミクスのビジネス開発部門のヴァイスプレジデントであるマイケル・ペリー氏は、「警察は化学物質の流出や爆弾の設置などの懸念がある場所にSpotを送り込もうとしています」と述べ、「Spotが武器化されないように、警察との契約はリースに限っています」と説明しました。ペリー氏によると、リース契約には「人間を物理的に傷つけたり脅したりする形で運用しない」という条項が盛り込まれており、この条項に違反した場合はSpotの貸し出しを止めるとのこと。マサチューセッツ州警察は、「Spotを含めてロボットを武器化した事実はない」とコメントしています。
By Arseny Togulev
一方で、「リース契約の条項だけでは不十分」という声もあがっています。アメリカ自由人権協会(ACLU)のリバティープログラムで科学技術部門のディレクターを務めるケイド・クロックフォード氏は「警察当局はロボットの運用方法に関するポリシーを発表するべき」と主張し、「ロボットの武器化を規制する法律を制定するべきです」と述べています。
・関連記事
銃を撃ちながら戦場を走り回って自爆する軍用ロボットをイラン陸軍が開発 - GIGAZINE
チープな「手作りのドローン」がなぜ各国の軍隊の脅威となっているのか? - GIGAZINE
ロボットによる第三次世界大戦を防ぐためイーロン・マスクらが自律型殺人兵器の使用禁止を求める - GIGAZINE
「自律的殺人兵器」へのAI活用を禁じる誓約書にイーロン・マスクやDeepMind創業者、著名なAI研究者など2500人以上が署名 - GIGAZINE
コンテナがドローン型無人兵器に変形して基地や航空母艦を殲滅する驚愕のコンセプトムービー - GIGAZINE
・関連コンテンツ