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就活でAIを使って退学になった元大学生がAIチートツール企業「Cluely」を起業し7億4000万円の資金を調達


AIを使って就職のコーディング試験を突破し、AmazonやMeta、TikTokなどの大企業から採用通知を受け取ったコロンビア大学の学生が、それをSNSで言いふらして退学になった後、AIで「なんでもチートする」ことを謳ったスタートアップを創業し、530万ドル(約7億4000万円)の資金調達に成功しました。



Columbia student suspended over interview cheating tool raises $5.3M to 'cheat on everything' | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/04/21/columbia-student-suspended-over-interview-cheating-tool-raises-5-3m-to-cheat-on-everything/

Finally, AI That Helps Dishonest Morons Look Smart - Decrypt
https://decrypt.co/315687/finally-an-ai-that-helps-dishonest-morons-look-smart

21歳の元コロンビア大学生であるチュンギン・リー氏がAI企業のCluelyを立ち上げるきっかけとなったのは、IT企業の就職面接のコーディング試験でAIを使ったことが問題になり、大学を退学処分になったことです。とはいえ、リー氏は端からまっとうに就職するつもりはなかったとのこと。

起業を目指しつつ、コンピューターサイエンスを専攻してコロンビア大学に通っていたリー氏は、志を同じくするニール・シャンムガム氏と出会い、在学中にいくつかのアプリを開発したり、AIサービスを作ったりしましたが、思うようにはいきませんでした。


そこで、まず話題作りから始めようと決心したリー氏は、コーディング面接プラットフォーム・LeetCodeでチートをするためのAIツール「Interview Coder」を開発。MetaやTikTok、Amazon、Capital Oneなどの大手IT企業から次々とインターンシップのオファーを取り付けて、それを職歴としてLinkedinで公開しました。もっとも、職歴の証明にはならないのでLinkedinアカウントはバンされたとのこと。


特に、Amazonの試験ではオンラインアセスメントからオファー獲得までの一部始終を全て動画にしてYouTubeにアップロードしたとのこと。この動画でリー氏は一躍有名になりましたが、動画は全てAmazonによって削除されました。


そして、その直後リー氏の元にコロンビア大学から、Interview Coderの使用は学則違反だと警告する通知が届きました。リー氏によると、これはAmazonの幹部がコロンビア大学に「この学生を処分しなければ、今後コロンビア大学の学生は採用しない」と圧力をかけたからだとのこと。

大学の通知もSNSに投稿したリー氏は、今度は「機密文書の配布」を理由に、正式に退学処分を言い渡されました。


しかし、悪名を轟かせて夢を叶えようというリー氏の目論見は見事に成功。Interview Coderをベースに、同じくコロンビア大学を退学になったシャンムガム氏と共同で設立したリー氏のAIスタートアップ「Cluely」がベンチャーキャピタルの目に留まり、Cluelyは合計で530万ドルの資金調達に成功しました。

リー氏は、Cluelyを使ったらどうなるかをイメージする動画を製作しており、これも話題になっています。


もっとも、この動画のようにAIの支援で女性を口説くのはCluelyの本来の用途ではありません。2025年4月にリリースされたCluelyは、OpenAIのAIを搭載したMac用のアプリケーションで、バックグラウンドで動作し、試験の受験者がカンニングのために何かを開くのを防ぐ検出システムを回避できるようになっているとのこと。また、リー氏はWindow版も開発中としています。

こうして旗揚げしたCluelyはマニフェストで、「私たちは全てを『チート』します。世間はそれを不正だとなじるでしょう。電卓も、スペルチェッカーも、Googleもそうでした。テクノロジーが私たちを賢くする度に、世界はパニックに陥り、やがて順応し、突然それが当たり前になったかのように忘れ去ります。ですが、今回は違います。AIは単なるツールではなく、私たちの世界の仕組みを再定義するものです。未来はもう努力に報いません。報われるのは影響力です。だからチートを始めましょう。誰もがチートをすれば、それはチートではなくなります」と宣言しました。


Amazonの面接での不正行為に関する動画を公開した時が最も勇気を必要としたというリー氏は、「YouTubeの再生回数のためだけに、自分のキャリアと学業をすべて台無しにしたと思いました」と振り返りつつ、「自分自身と自分の直感をもっと信頼し、他人の話はあまり信頼しないようにしてください。実際のところ、危険なことは見た目ほど危険ではありません。もっとリスクを取りましょう」と述べました。


なお、AmazonはIT系ニュースサイト・TechCrunchの取材に対し、個別の事例へのコメントを控えた上で、受験者は面接中に不正ツールを使用しないと誓約をしなければならないと述べました。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by log1l_ks

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