大学生の「ほぼ全員」が生成AIを使っているとの調査結果で教育界に激震が走る

イギリスのシンクタンクである高等教育政策研究所(HEPI)が2025年2月26日に、イギリスの学部生の10人中9人以上が何らかの形でAIを使用しており、3分の2だった前回の調査から大幅に増加したとのレポートを発表しました。専門家は、学生の行動様式がこれほど急激な変化を見せたのは前代未聞だとしています。
Student Generative AI Survey 2025 - HEPI
https://www.hepi.ac.uk/2025/02/26/student-generative-ai-survey-2025/
Surge in UK university students using AI to complete work
https://www.ft.com/content/d591fb1a-9f6c-4345-b5fc-781e091ae3f8
HEPIは2025年2月26日に発表した「Student Generative AI Survey 2025」で、2024年2月の前回調査に応じた全日制の学部生1041人を対象に、市場調査コンサルタント会社・Savantaを通じて、生成型AIツールの利用状況を調べました。
その結果、何らかの形でAIを使う学生の割合は2024年の66%からわずか1年で92%に急増したことがわかりました。また、試験や課題、レポートなど成績を評価される際に生成AIを使う学生も前年の53%から88%に増加していました。
生成AIの用途を尋ねる質問に対する回答(下図)は主に概念の説明、論文の要約、研究アイデアの提案など補助的なものでしたが、AIが生成した文章を直接自分の作品に使用すると答えた学生も18%(下図の赤枠の部分)とかなりの割合に上りました。

HEPIの政策マネージャーであるジョシュ・フリーマン氏は、「学生の行動がこれほど急激に変化するのはほとんど聞いたことがありません。これは教育機関にとっての喫緊の教訓です。あらゆる評価方法は、AIで簡単に済ませられるものなのかどうかを再検討されなくてはなりません。そうするためには、生成AIの力と可能性について、教員に大胆な再教育を施す必要があるでしょう」と述べて、大学側は学生を評価する方法を根本的に変えることを迫られるとの見方を示しました。
今回の調査では、生成AIの利用に関する根強い「デジタル格差」も浮き彫りになっており、貧しい家庭の学生よりも富裕層の学生の方が、女子学生よりも男子学生の方が頻繁にAIを使用する傾向が高いことが示されました。
AIが生成したコンテンツによって「自分の科目でいい成績が取れる」と感じたのは人文科学系の学生ではわずか29%でしたが、科学・工学・医学関連の学位取得を目指す学生ではほぼ半数の45%がそう感じていると答えました。
調査に対し、学部生らはAIを勉学に使う最大の理由として「時間の節約(下図の一番上)」を挙げました。また、ほぼ同じ割合の学生が「作品の質の向上(下図の上から2段目)」のためにAIを使っていると答えたほか、「即座にサポートを受けるため(同3段目)」と答えた学生も相当数いました。

大学もAIへの対応を進めており、「職員がAIの利用をサポートするのに十分な準備が整っている」と答えた学生の割合は1年で18%から42%へと倍増しました。その一方で、多くの学生は依然としてAIの使用に関するルールが明確ではないと訴えています。
ある学生は調査に対し、「まだすべてが非常に曖昧で、いつ、どういう理由でAIを使えるのかは不透明です」と話しました。また別の学生は、「大学側はこの問題を回避しています。AIは禁止はされていませんが、推奨もされていません。もし私たちがAIを使えば学術上の不正行為になりますが、講師は自分たちがAIを使用していると私たちに言ってきます。これは非常に矛盾したメッセージです」と話しました。
イギリスでは、ピーター・カイル科学技術大臣が2025年1月のインタビューで、「子どもたちが宿題をするためにChatGPTを使ってもいいのでしょうか?」という質問に「監督者がいれば、イエスです」と答えて物議を醸したばかりなだけに、イギリスの教育界が今回の調査結果から受けるインパクトは大きいと、同国の経済紙・Financial Timesは示唆しています。
“Is it ok for kids to use ChatGPT to do their homework?” asks #BBCLauraK
— BBC Politics (@BBCPolitics) January 12, 2025
“With supervision, then yes… we need to make sure kids are learning how to use this technology” says Science Secretary Peter Kyle
https://t.co/YgnXu7F8RI pic.twitter.com/nFlFjjADlh
高等教育コンサルタント会社・Higher Futuresのディレクターで、レポートの前書きを担当したジャニス・ケイ氏はFinancial Timesに、「AIツールが不正行為やシステム操作に悪用されているという証拠はほとんどありませんが、学習者や教師、教育機関にとって深刻な課題となる兆候は数多くありますので、高等教育はイノベーションを通じてこれらに対処する必要があります」とコメントしました。
・関連記事
学校のカウンセラー不足を解消するために「AIと人間のハイブリッドチャットボット」の導入が進んでいる - GIGAZINE
「生徒手帳で禁止していなくても学校はAIでカンニングした生徒を罰してもよい」と裁判所が判決を下す - GIGAZINE
対話型AIを教育現場のサポート講師として活用する試み - GIGAZINE
Microsoftが6万5000人以上の学生が利用した実績のあるAI家庭教師「Khanmigo for Teachers」をあらゆる教師に無料で提供すると発表 - GIGAZINE
ビル・ゲイツが「18カ月以内にチャットAIが子どもたちに読み書きを教育するようになる」と提唱 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ソフトウェア, Posted by log1l_ks
You can read the machine translated English article Survey finds that 'almost all' college s….