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「生徒手帳で禁止していなくても学校はAIでカンニングした生徒を罰してもよい」と裁判所が判決を下す


生成AIの台頭は教育現場に混乱をもたらしており、その範囲はAIを用いたカンニングやAI検出器の誤認によるぬれぎぬといった学業に関するものから、同級生のディープフェイクヌード画像の共有など子どもの安全に直結するものまで広範にわたっています。AIの出力をコピー&ペーストして課題を済ませた生徒への処罰をめぐる訴訟で、裁判所が学校側の対応を支持する判決を下しました。

MEMORANDUM AND ORDER ON PLAINTIFFS’MOTION FOR PRELIMINARY INJUNCTION
(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.mad.275605/gov.uscourts.mad.275605.30.0_3.pdf

School did nothing wrong when it punished student for using AI, court rules - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/11/school-did-nothing-wrong-when-it-punished-student-for-using-ai-court-rules/

今回の訴訟の発端は、裁判文書で「RNH」とイニシャル表記される当時高校生3年生の生徒が、課題にAIを使ったとして補習や全米優等生協会への登録禁止などの処分を受けた2023年12月にさかのぼります。

伝えられるところによると、マサチューセッツ州にあるヒンガム高校に通っていたRNHともう1人の生徒は、「APアメリカ史プロジェクト」に取り組む際、生成AIが出力した結果を自分の作品として提出しようとしたとのこと。なお、APとはアメリカの高校生に大学の初級レベルのカリキュラムと試験を提供する早期履修プログラムであるアドバンスト・プレイスメントのことです。


生徒らには、AIを使用してブレインストーミングをしたりソースを探したりすることまでが許可されていました。しかし、RNHらはAIが出力したテキストを丸ごとコピー&ペーストしており、その中には存在しない書籍の引用文、つまりAIが起こした幻覚(ハルシネーション)も含まれていました。

裁判文書には「証拠は、2人が研究テーマをまとめたり、レビューするソースを特定したりするためだけにAIを使ったわけではないことを示しています。彼らは、公開されているAIツールであるGrammarlyによって生成されたテキストを無差別にコピーして原稿に貼り付けたようで、2人がGrammarlyによって提供されたソースを盗用前に確認することさえしなかったのは明らかです」と書かれています。

こうして作られた原稿が盗用チェックサービス・Turnitin経由で提出されたところ、TurnitinはRNHらの原稿の一部がAI生成によるものだとのフラグを立てました。そして、APアメリカ史の担当教員が調査を行ったところ、原稿の大部分がコピー&ペーストされたものだということが確認されました。


歴史教師のスーザン・ペトリー氏は「修正履歴を見ると、他の生徒が7~9時間を費やしていたのに対し、RNHは約52分しか費やしていなかったことがわかりました」と証言しています。

AIを使ったカンニングが明るみに出た結果、RNHらは複数部で構成されるAPアメリカ史プロジェクトのうち2部で不合格となり、土曜日の居残りも命じられました。ただし、2人が別々に作業し、課題をゼロからやり直して再提出することは許可されていたとのこと。また、RNHは2024年春の全米優等生協会でも選外とされましたが、最終的には入会が認められました。


この措置に対し、RNHの両親であるデール・ハリス氏およびジェニファー・ハリス氏は、「生徒手帳にAIの使用を禁じる規定はない」として、RNHが大学に願書を提出する時までに息子の成績を修正し、懲戒記録を抹消することを求めて学校を訴えました。

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そして、裁判所は2024年11月20日の判決で、「学校関係者は、RNHのAI使用が学校の『学問的誠実性に関する規則』に違反しており、RNHのような立場の生徒であれば誰でもそのように理解していたと合理的に判断することができた」と結論付けて、ハリス夫妻およびRNHの差し止め請求を却下しました。

マサチューセッツ州連邦地方裁判所のポール・レベンソン判事は「事実上、被告たるヒンガム高校の職員がRNHの不正行為を性急に結論づけたことを示唆する予備的事実記録はありません。また、被告らが課した罰則も、このような問題における被告の相当の裁量を超えるような強引なものではありませんでした」と文書に記しています。

ハリス夫妻はまた、学校当局が「脅迫、威嚇、強制、いじめ、嫌がらせ、報復のほのめかしといった常習的な行為」を行っていたとも主張していますが、レベンソン判事は「原告らはこうした点について事実に基づく主張をほとんど示していません」と指摘しました。

訴訟はまだ終わっていませんが、今回の差し止め請求の却下は、裁判所が「この訴訟は高校側に理がある」とみていることを示しています。

レベンソン判事はこの件について、「生成AIの出現は教育者に微妙な問題を突きつけるかもしれませんが、本件は特に微妙なものではありません。なぜなら、GrammarlyのようなAIツールにスクリプトの生成を促し、その出力を引用なしで焼き直して自分の作品だと主張することに、明確な教育的意義はないからです」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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