半導体の需要が供給を大きく上回ってファウンドリ市場がさらに成長するとの予想、半導体不足はしばらく続く可能性
市場調査企業のTrendForceが、ファウンドリ市場の2021年第1四半期(1月~3月)における成長の推測を発表しました。Trendforceは、ファウンドリ市場全体の売上が前年同期比で120%を超えると予想し、需要が供給を上回ることで半導体不足がさらに続く可能性を示唆しています。
Press Center | TrendForce - Market research, price trend of DRAM, NAND Flash, LEDs, TFT-LCD and green energy, PV
http://www.trendforce.com/presscenter/news/20210224-10675.html
Report: Semi Demand 30% Above Supply, 20% Year-on-Year Growth
https://www.anandtech.com/show/16511/leading-foundries-enjoy-massive-revenue-growth-as-capacities-get-fully-loaded
TrendForceは、半導体企業上位10社の売上の合計が2259億ドル(約24兆円)になり、前年同期比でおよそ20%増加すると予想しています。
各半導体ファウンドリの生産ラインはほぼ完全稼働している状態で、ハードウェアを注文してから納品されるまでのリードタイムは、記事作成時点で3か月半を超えているという報告もあるとのこと。
半導体の需要が供給量を最大30%上回っているため、ファウンドリや物流がその需要に追いつくには1年以上かかると見ている市場アナリストもおり、半導体不足で混乱が生じるリスクは増しているといえます。
また、2021年第1四半期におけるファウンドリ市場シェア上位3社は依然としてTSMC・Samsung・UMCになるだろうと、TrendForceは予測しました。
TSMCはファウンドリ市場のシェアの半分以上を占める世界最大の半導体ファウンドリです。AppleやQualcomm、NVIDIA、AMDなどの大手チップメーカーと契約し、5nmプロセスあるいは7nmプロセスでチップを製造。米中貿易戦争の影響で、Huaweiという主要な顧客を失いましたが、それでも2021年第1四半期におけるTSMCの収益は前年同期比で25%増加するだろうとみられています。
by Fritzchens Fritz
SamsungはTSMCにやや遅れは取っているものの、5nmプロセス・7nmプロセスでのチップ製造が可能で、少しずつシェアを伸ばしつつあります。TrendForceは、2021年第1四半期における売上は、少なくとも前年同期比で11%増加するとみています。
UMCは台湾の半導体ファウンドリで、自動車用のチップやIoT製品、RFフロントエンドモジュールなどを数多く製造しています。同じ半導体ファウンドリでありながら、製造分野が異なるTSMCやSamsungとは直接競合しておらず、自動運転車や家庭用電化製品の需要が高まると共に、受注量も順調に増加しているとのこと。2021年第1四半期におけるUMCの売上は、前年同期比で14%の増加となるだろうとTrendForceは予想しました。
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