レビュー

動物と交流し農場や宮殿を建て「河」も活用し街を作り出す「エバーデール 拡張 真珠の入り江 完全日本語版」レビュー


ボードゲーム「エバーデール」は、街の中心に大きな木がそびえたつ「エバーデール谷」で動物たちを労働力としてせっせと資源を集め、大きな街を作り上げるゲームです。そんなエバーデールに、フィールドを彩る背景だった「河」を活用するようになる拡張コンテンツ「エバーデール 拡張 真珠の入り江 完全日本語版」が2020年12月17日に登場しました。フィールドがさらに広がり、新たな資源も登場した拡張版を実際に遊んでみました。

エバーデール 拡張 真珠の入り江 完全日本語版 | ArclightGames Official
https://arclightgames.jp/product/エバーデール拡張真珠の入り江/

「エバーデール 拡張 真珠の入り江 完全日本語版」は拡張版で、遊ぶためには基本セットの「エバーデール」が必要です。「エバーデール」がどんなゲームなのか、基本的なルールがどういうものだったのかは以下の記事を読めばわかります。

木材・樹液・小石・果実を使って自分なりの街を動物と建物で作り出す「エバーデール」レビュー - GIGAZINE


◆開封
パッケージには川の中を泳ぐカエルの姿が描かれています。


プレイ人数は1~4人、対象年齢は14歳以上、プレイ時間は60分~90分の想定となっています。


箱の中は水色のデザインで、透明の仕切りもあり、水面のようにも見えます。


中にはルール説明書、河ボード、上書きカード、カエル大使コマ、労働者コマ、真珠トークン、記念碑タイル、カードが入っていました。


河ボードは半月に近い形をしており、基本セットのゲーム盤と組み合わせて使います。


上書きカードはこんな感じ。これも基本セットのゲーム盤と組み合わせて使います。


追加された6個の労働者コマは黄土色で、カワウソの形をしています。


カエル大使コマは基本セットの労働者コマ4色に今回の拡張の黄土色、さらに黒を加えた全6色。黒の労働者コマがないため出番はありませんが、6人プレイ用の拡張では使うことになりそう。


真珠トークンは25個。軽くて固く、きれいな色をしています。


記念碑トークンはこんな感じ。門や噴水がかたどられています。


カードは大きく4つに分けられ、画像左から「建物カード」「動物カード」「河の取引所カード」「装飾品カード」です。


建物カードと動物カードは裏面が全く同じデザインで、基本セットのカードと混ぜて遊びます。


なお、動物カードのうち「裁判官」と書かれた2枚のカードは基本セットの同名カードと差し替えて使うもので、ルール改訂により効果が一部異なっています。画像左が拡張版のもの、右が基本セットのものです。


河の取引所カードは「住民」と「施設」に分かれますが、裏面は同じデザインです。


装飾品カードは全8枚、これも裏面は共通です。


◆準備
まずは基本セットを組み立てていきます。ゲーム盤を広げて永遠の樹を置き、特殊イベントカードと資材トークン、森カードを並べます。


ゲーム盤の左側に河ボードをピタッとくっつけます。


河の取引所カードの住民カードと施設カードを分けて別々にシャッフルし、それぞれから2枚ずつ裏向きのまま引きます。それらをまとめてシャッフルしたら、裏向きのまま1枚ずつ河ボードに並べます。


真珠トークンを河ボードの上部にまとめて置き、先ほど並べた河の取引所カードの上に1個ずつ真珠トークンを置きます。


上書きカードを永遠の樹の根元付近、すでに描かれた絵と重なるように置きます。これにより、描かれている基本イベントが「上書き」されます。その後、上書きカードの上に記念碑トークンを置きます。


装飾カードをまとめてシャッフルし、各プレイヤーに2枚ずつ配ります。配られた装飾カードは内容を確認し、裏向きのまま手元に置いておきます。


あとは基本セットの通りです。建物カードと動物カードをシャッフルして永遠の樹の下に山として置き、8枚引いて広場に並べます。スタートプレイヤーを決めたら順番に山からカードを引きます。労働者コマを受けとるときは、同じ色のカエル大使コマも1個受け取ります。


15分ほどで準備が完了しました。今回は4人で、プレイヤー1が赤、プレイヤー2が白、プレイヤー3が黄土色、プレイヤー4がこげ茶の労働者コマを使用します。


◆プレイ開始
ゲームの流れは基本セットと同じです。各プレイヤーは労働者コマを「森」や「森の小道」へ配置して資源を集めます。


カードの左に描かれた数字分資源を支払えば、手札または山から、自分の手元にカードを置くことができ、これを「プレイ」と呼びます。例えば画像のカード「伝書バト」なら、紫の「果実トークン」を2個支払うことでプレイできます。プレイの際にはカードに書かれた効果が発動します。


プレイしたカードはどんどん手元に並べていき、カードによって「街」が構成されます。街にカードを配置できるのは15枚と限られており、プレイするカードは慎重に選ぶ必要があります。


労働者コマをすべて置き終わり、やることがなくなったプレイヤーは季節が変わります。配置した労働者コマとカエル大使コマをすべて回収し、永遠の樹に配置した労働者コマから追加のコマを受け取ります。季節が進むにつれて手持ちの労働者コマが増え、自分の手番も増えていきます。冬から始まった季節が春、夏、秋と過ぎていき、全プレイヤーが秋を終えたらゲーム終了です。


拡張版ではアクションとして、労働者コマを配置する代わりに、カエル大使コマをカエルの足跡が描かれた専用のマスに配置することができます。ただし、マスの上に描かれたマークと同じカードを自分の街に2枚以上出している必要があります。


隣に置かれた裏向きの河の取引所カード1枚を表に向け、上にのせられていた真珠トークンを1個獲得します。この時カードに書かれた効果を発動できる場合は任意で発動します。今後カードは表向きのままにされ、マスにカエル大使コマを置いたプレイヤーは河の取引所カードの効果を発動できるようになります。ただ、このマスは1人分のコマしか置けない「占有地」のため、季節の変わり目でカエル大使コマが回収されるまで、他のプレイヤーは同じマスに置くことはできません。


こげ茶のプレイヤーもカエル大使コマを配置して真珠トークンを獲得し、河の取引所カードを裏返しました。河の取引所カード「大広間」は勝利点トークン1個と小石トークン1個を支払い、カード4枚と真珠トークン1個を得るというもの。少ない資源で多くの利益を得ることができます。


拡張版で追加された建物カード「橋」の効果により手札の所持上限が増えるなど、真珠トークンは所持しているだけで恩恵を受けられることがあります。最後の得点計算時、真珠トークン1個につき2点の勝利点も獲得できます。


また、真珠トークン1個を消費して装飾品カードを1枚使用することもできます。装飾品カードには効果が二つ書かれており、上の効果はカードを使用した際に適用されるもの、下の効果はゲーム終了時、得点計算の際に適用されるものです。装飾品カード「仮面」の効果で、自分の手札から勝利点が「2」のカード「渡し舟」をプレイしました。ただし、同じ装飾品カードはゲーム中一度しか使用できません。


「渡し舟」の効果は表向きになっている河の取引所カード1枚の効果をコピーし、代わりのマスとして使えるようになるもの。使いたい河の取引所カードのマスが埋まっていても、このカードが代わりとなります。


どうしても真珠トークンが欲しい場合、「浅瀬」と呼ばれるマスにカエル大使コマ1個を置き、資源トークンを2個支払って、さらに手札からカードを2枚捨て札にすると真珠トークンを1個獲得できます。支払いのコストとしては非常に高く、使いどころが難しい手段です。


拡張版特有のカードとして、他にも「海賊船」などがあります。「海賊船」に労働者コマをのせると他のプレイヤーの街にカードごと移動し、そのまま街の一画を占有し続けるお邪魔カードです。さらに移動先の街を所有するプレイヤーが真珠トークンを持っている場合、その数に応じて資源トークンと勝利点を得るというもの。プレイヤーから資源を奪うわけではないものの、相手の区画に侵入し資源を得るその姿はまさに海賊そのもの。海賊船を除去するには、のせられた労働者コマの回収を待って改めて自分のコマを配置し、別のプレイヤーの街へと移動させる必要があります。


「海賊船」に付随するカード「海賊」も存在します。このカードは手札から4枚を捨てた後山から4枚を引き、引いた4枚の合計勝利点が7点以上なら真珠トークンを1個得られるというギャンブル性の強いカード。使用したプレイヤーは見事条件を達成し、真珠トークンを1個得ていました。


海賊船を送り込んだり、カエル大使で取引したり、エバーデール谷の発展にバリエーションが増えています。


ゲーム終盤、記念碑トークン「流星の炎」により、一気に25点を獲得したプレイヤーがいました。勝利点の高い記念碑トークンを獲得すれば、逆転を狙える可能性も十分にあります。


ゲームが終了しました。流星の炎で大きく点を稼いだプレイヤーは105点で勝利、最下位のプレイヤーは54点でした。記念碑トークンという大きな勝利点や、装飾品カードの「ゲーム終了時に勝利点を得る」といった効果のおかげで、最後まで誰が勝者なのかがわからなく、最後まで全員楽しむことができます。真珠の獲得手段は限られているものの、上手に使えば点数差が埋まるようになっています。基本セットを遊んだことのあるプレイヤーからは「基本セットのバランスを崩さず、できることが増えて小さな不満が解消された」との声もありました。


「エバーデール 拡張 真珠の入り江 完全日本語版」は税抜6800円で販売中です。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1p_kr

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