ハードウェア

5万円台で8コア・16スレッドのZen 3 CPU「AMD Ryzen 7 5800X」のレビューが公開中


AMDのZen 3アーキテクチャを採用した第4世代Ryzen CPUであるRyzen 9 5950X・Ryzen 9 5900X・Ryzen 7 5800X・Ryzen 5 5600Xが、2020年11月5日に発売されました。そのうち上位モデルであるRyzen 9 5950XとRyzen 9 5900Xは、ライバルのIntel Core i9-10900Kを追い抜く性能を見せていると話題になっています。そんな中、8コア・16スレッド・L3キャッシュ32MBで5万円台のミドルレンジCPUであるRyzen 7 5800Xの性能についてのレビューも公開されています。

Ryzen™ 7 5800X | エリート・ゲーミング・デスクトップ・プロセッサー | AMD
https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-7-5800x

Zen 3アーキテクチャを採用したRyzen 5000シリーズのスペックは以下の通り。熱設計電力はRyzen 9 5950X/5900Xと同じ105Wで、7nmプロセスを採用。8コア・16スレッドでL3キャッシュメモリが32MBで、価格は最上位モデルであるRyzen 9 5950Xのおよそ半額です。

 ソケットCMOSコア/スレッド基本周波数最大ブースト周波数L3合計熱設計電力(TDP)国内価格
Ryzen 9 5950XAM4TSMC 7nm FinFET16/323.4 GHz4.9 GHz64 MB105 W9万6800円
Ryzen 9 5900XAM4TSMC 7nm FinFET12/243.7 GHz4.8 GHz64 MB105 W6万4980円
Ryzen 7 5800XAM4TSMC 7nm FinFET8/163.8 GHz4.7 GHz32 MB105W5万3480円
Ryzen 5 5600XAM4TSMC 7nm FinFET6/123.7 GHz4.6 GHz32 MB65 W3万5800円


多くのメディアがRyzen 9 5950X/5900Xに注目する中、PC関連のニュースを扱っているPC MagがRyzen 7 5800Xに焦点を当てています。なお、PC Magのベンチマークマシン構成はマザーボードがMSI MEG X570 GODLIKE、メモリが16GB DDR4 3000MHzを2枚挿し、GPUはNVIDIA GEFORCE RTX 2080 Ti、CPUの冷却システムは簡易水冷のNZXT KRAKEN Z63とのことです。

AMD Ryzen 7 5800X Review | PCMag
https://www.pcmag.com/reviews/amd-ryzen-7-5800x

以下がベンチマークテストの結果を示した棒グラフ。Cinebench R15と7-Zipによるベンチマークは棒グラフが長い方が良スコア、それ以外は棒グラフが短い方が良スコアです。


そして、ゲーミングテストが以下の表。棒グラフが長いほど良スコアとなります。実売価格6万1000円からのCore i9-10900Kはさすがゲーミング向けハイエンドCPUといわれているだけあり、さまざまなタイトルで優秀なスコアを出していますが、Counter Strike:Glocal OffensiveやRainbow Six: Siege、Bioshock Infinityなど、少し古いタイトルではRyzen 7 5800XのパフォーマンスがCore i9-10900Kを上回ることも。値段を考えると、ゲームによってはRyzen 7 5800XはCore i9-10900Kを超えるコストパフォーマンスを発揮する場合もあるといえます。


そして、PC Magがオーバークロック時の温度を計測した結果、Ryzen 7 5800Xの温度が69度を超えることはなかったそうです。同じ条件でIntel Core i9-10900Kは79度に達していたとのこと。PC Magは「Zen 3で提供されている多くの技術革新が、このチップの105Wの熱設計電力(TDP)に至るまで、5800Xを最も過酷なシナリオでも競争相手よりも涼しく保つのに役立っていることは明らかです」と述べました。


また、ドイツのIT系ニュースサイト・Notebookcheck.comはRyzen 7 5800Xの105WというTDPを大きく超える142Wの電力を消費させるテストを行っています。その結果、ケース温度が61.8度を超えることはなかったとのこと。ただし、Ryzen 7 5800XはストレステストとCinebenchによるベンチマークテストでTDPよりも14%多い電力が必要だったとのこと。

AMD Ryzen 9 5900X und AMD Ryzen 7 5800X im Test: AMD stößt Intel vom Thron der schnellsten Gaming-CPU - Notebookcheck.com Tests
https://www.notebookcheck.com/AMD-Ryzen-9-5900X-und-AMD-Ryzen-7-5800X-im-Test-AMD-stoesst-Intel-vom-Thron-der-schnellsten-Gaming-CPU.500507.0.html

以下は待機時のRyzen 7 5800X+NVIDIA Titan RTXという構成での電力消費の推移を示したグラフ。縦軸が電力(W)で、横軸が時間です。待機時は平均で77.49Wとなっています。なお、同じ構成でCore i9-10900Kだと平均52.3W、Core i7-10700Kは67.7Wでした。


そして、Cinebench Release 15のマルチスレッドベンチマークを行っている時の消費電力の推移が以下。平均は220Wで安定しています。同じ構成でCore i9-10900Kだと平均で268.5W、Core i7-10700Kは平均207.7WW。


ゲーム「ウィッチャー3」を最高画質でプレイした時の消費電力は平均418Wで、最大だと451Wを記録。同一構成でCore i9-10900Kは396.2W、Core i7-10700Kは397.92W。タイトルによりますが、ゲーミングの場合はやはり第10世代Coreプロセッサの方が電力効率がよいこともある模様。


Notebookcheck.comは、「Zen 3世代で導入された技術革新が功を奏していると言えるでしょう。AMDはヒートスプレッダの下にさらに多くのCPUコアを詰め込むのではなく、根本的にCCXの設計を変更してIPCを高めるという方法を採用しています。新しいRyzen 5000シリーズは、多くのCPUベンチマークで旧世代のトップCPUを打ち負かすことができるでしょう」とコメント。また、「ゲーム性を重視しているとはいえ、AMD Ryzen 7 5800Xは、AMD Ryzen 9 5900Xと比較しても同程度のスコアを出しており、同程度の性能といえます」と述べ、クリエイターや配信者などでなく、個人的にゲームを楽しむためならばRyzen 7 5800Xでも十分という考えを示しています。


なお、第3世代AMD Ryzenプロセッサーはソケット規格こそAM4ですが、正式に対応しているマザーボードのチップセットはX570、B550、A520の3種類で、事前にマザーボードのBIOSをAGESA1.1.0.0を含むバージョンに更新する必要があるとのことです。また、X470とB450については特定のベータBIOS更新が2021年1月に行われる予定だそうです。

Prepping Your Motherboard for the AMD Ryzen 500... | Community
https://community.amd.com/community/gaming/blog/2020/11/05/prepping-your-motherboard-for-the-amd-ryzen-5000-series

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk