AMDがRDNA2アーキテクチャGPU搭載のグラボ「Radeon RX 6000」シリーズ3種を正式発表
チップメーカー大手のAMDが2020年10月29日に開催したオンライン発表イベントで、RDNA2 GPUを搭載したグラフィックボード「Radeon RX 6800」「Radeon RX 6800 XT」「Radeon RX 6900 XT」を発表しました。上位モデルのRadeon RX 6800 XTは、ライバル企業であるNVIDIAのRTX 3080とほぼ同等の性能でありながら、値段と消費電力を抑えているとのことです。
AMD Radeon RX 6000シリーズ・グラフィックス・カード | AMD
https://www.amd.com/ja/graphics/amd-radeon-rx-6000-series
AMD Reveals The Radeon RX 6000 Series: RDNA2 Starts At The High-End, Coming November 18th
https://www.anandtech.com/show/16202/amd-reveals-the-radeon-rx-6000-series-rdna2-starts-at-the-highend-coming-november-18th
Radeon RX 6000シリーズ3モデルと前世代のRadeon RX 5700 XTのスペックをまとめたのが以下の表。
アーキテクチャ | GPU | 製造プロセス | トランジスタ数 | ストリームプロセッサ (CU数) | 周波数 | ブースト周波数 | メモリクロック | メモリ帯域幅 | VRAM | Infinity Cache | ROPs | 消費電力 | 発売日 | 発売価格 | |
Radeon RX 6800 | RDNA2 | Navi 21 | TSMC 7nm | 268億 | 3840基 (60基) | 1815 MHz | 2105 MHz | 16 Gbps GDDR6 | 256-bit | 16 GB | 128 MB | 96 | 250 W | 2020年11月18日 | 579ドル (約6万円) |
Radeon RX 6800 XT | RDNA2 | Navi 21 | TSMC 7nm | 268億 | 4608基? (72基) | 2015 MHz | 2250 MHz | 16 Gbps GDDR6 | 256-bit | 16 GB | 128 MB | 128 | 300 W | 2020年11月18日 | 649ドル (約6万8000円) |
Radeon RX 6900 XT | RDNA2 | Navi 21 | TSMC 7nm | 268億 | 5120基? (80基) | 2015 MHz | 2250 MHz | 16 Gbps GDDR6 | 256-bit | 16 GB | 128 MB | 128 | 300 W | 2020年12月8日 | 999ドル (約10万円) |
Radeon RX 5700 XT | RDNA | Navi 10 | TSMC 7nm | 103億 | 2560基 (40基) | 1755 MHz | 1905 MHz | 14 Gbps GDDR6 | 256-bit | 8 GB | なし | 64 | 225 W | 2019年7月7日 | 399ドル (約4万円) |
Radeon RX 6000シリーズに搭載されているのは、RDNA2アーキテクチャを採用したGPU「Navi 21」です。
RDNA2アーキテクチャによって、1ワット当たりのパフォーマンスは前世代のRDNAアーキテクチャよりもおよそ50%向上、Graphics Core Nextと比較すると125%向上とのこと。
プロセスノードはTSMCの7nm。ただし、EUVリソグラフィを応用した「N7+」であるかどうかは不明です。
前世代のRDNAアーキテクチャとは同じ7nmプロセスを採用していますが、設計を最適化することで、動作周波数は30%増加しました。
また、Radeon Softwareには、ワンクリックでオーバークロックを行うことができる「Rage Mode」が搭載されます。
さらに、RDNA2アーキテクチャで初めて搭載された「Infinity Cache」はCPUのZen 3アーキテクチャと同じL3キャッシュメモリ帯域を補う機能で、省電力化に貢献します。
RDNAアーキテクチャを採用したRX 5700 XTで、4K解像度でゲームをプレイしたところ、最大FPSはおよそ2倍に。
なお、次世代のRDNA 3アーキテクチャは記事作成時点では設計中とのことで、2022年に発表予定というロードマップも公開されました。
そして、このRDNA2アーキテクチャで設計されたNavi 21を搭載するグラフィックボードがRadeon RX 6000シリーズです。
最も低価格なモデルであるRadeon RX 6800(赤)とNVIDIAのRTX 2080 Ti(灰)で4Kゲーミングを行った時の最大FPSを比較した結果を、AMDは以下の棒グラフにまとめて公開しました。Radeon Rx 6800は同等あるいは上回る結果を出しています。なお、Radeon RX 6800の結果は、CPUからグラフィックスメモリに直接アクセスできる「Smart Access Memory」という機能を使ったもの。Smart Access MemoryはAMDのCPU「Ryzen 5000」シリーズと組み合わせることで使用可能になります。
さらに、Radeon RX 6800の上位モデルであるRadeon 6800 XT(赤)とNVIDIAのRTX 3080(灰)で、4KゲーミングでのFPSを測定して比較すると、性能はほぼ同等だったとのこと。Radeon RX 6800 XTの方がRTX 3080よりも消費電力が低く価格も安いので、コストパフォーマンスに優れているとAMDはアピールしています。
Radeon RX 6800 XTでSmart Access Memoryを使い、さらにRage Modeでブーストをかけると、RTX 3080を上回る4Kゲーミングパフォーマンスが得られたそうです。
また、「Radeon Boost」をFreeSyncと組み合わせることで遅延を減らせるとのこと。例えば、Epic Gamesの人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」のPC版を4K解像度でプレイした時の遅延を計測した時、FreeSyncにRadeon Anti-Lagを組み合わせると、63ミリ秒の遅延が55ミリ秒に減少したのが、FreeSyncとRadeon Boostを組み合わせると40ミリ秒に減少。なんと37%も遅延を減らすことに成功したとのこと。
Radeon RX 6000シリーズはDirectX 12 Ultimateに準拠。AMD FidelityFXを使うことで、ゲーム表現のディテールやシェーディングが低コストで大きく向上できるとのこと。
Radeon RX 6800は、2020年11月18日(水)発売で、価格は579ドル。
Radeon RX 6800 XTは、2020年11月18日(水)発売で、価格は649ドル。
そして、最上位モデルのRadeon RX 6900 XTは2020年12月8日(火)発売で、価格は999ドル。価格はいずれもアメリカ本国のものであり、日本国内での販売価格は異なる可能性があります。
なお、AMDのオンライン発表イベントは以下から見ることが可能です。
Where Gaming Begins: Ep. 2 | AMD Radeon™ RX 6000 Series Graphics Cards - YouTube
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