ハードウェア

あらゆる場所にネット環境を提供する気球を飛ばすプロジェクト「Loon」が連続飛行312日で新記録樹立


地球上のあらゆる場所にインターネット環境を提供する「Loon」で用いられる気球が、312日間という連続飛行記録を打ち立てたことが明らかになりました。

312 Days in the Stratosphere. The innovations leading to Loon’s… | by Salvatore Candido | Loon Blog | Oct, 2020 | Medium
https://medium.com/loon-for-all/312-days-in-the-stratosphere-5c50bd233ec5

Alphabet's Loon claims stratospheric flight record of 312 days | VentureBeat
https://venturebeat.com/2020/10/28/alphabets-loon-balloon-business-claims-stratospheric-flight-record-of-312-days/

Loon: 312 Days in the Stratosphere - YouTube


「Loon」は、高度およそ20kmの成層圏にWi-Fiアンテナ装備の気球を飛ばし、通信インフラが整備されていない地域にもインターネット環境を提供するというプロジェクト。Googleの兄弟会社にあたる次世代プロジェクト研究を目的とした会社・Xの1プロジェクト「Project Loon」として2013年にスタートし、2018年に「Loon」の名で独立事業化。2020年7月に、ケニアで商業展開をスタートしました。

成層圏を飛ぶ気球からインターネット環境を提供する「Project Loon」がケニアの山岳地帯で商業展開を開始 - GIGAZINE


通信インフラを提供するプロジェクトであることから、気球は安定して長期間飛行することが求められます。Loonは、1度打ち上げると100日以上飛行できる気球を開発。次第に連続飛行時間を伸ばしてきて、2018年11月18日から2019年7月2日にかけて「P-496」と呼ばれる気球で223日の記録を打ち立てました。

今回記録を更新した「HBAL703」は2019年5月にプエルトリコを離陸。2020年3月に着陸するまで、312日の飛行を行いました。

公式ブログで公開されている飛行ルートはこんな感じ。画像中央、大西洋に浮かぶプエルトリコが離陸地点で、南米大陸上空で長期滞空した後、南大西洋からインド洋、南太平洋へと移動。南米大陸西側で再び長期滞空し、最後はメキシコのバハ・カリフォルニア半島で回収されました。


Loonの気球は、飛行時間が長くなればなるほど、飛行時間あたりのコストが下がっていく構造となり、それだけ「破格のコストで多くの仕事をこなせる」ようになるとのことです。また、飛行時間が長ければ、それだけ到達するのが難しい太平洋のど真ん中などに滞空できる時間も延びることから、Loonの目的である「辺境の地にインフラを提供する」という目的を果たせるようになります。

Loonのサルヴァトーレ・カンディドCEOは記録更新について「飛行時間を伸ばすためのフライトシステムが功を奏しているという目に見える指標であり、とてもエキサイティングです」とブログに記しています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by logc_nt

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