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秒速50m超の暴風が吹き荒れるハリケーンを世界で初めて内部から撮影することに成功


洋上ドローンを開発する企業・Saildroneとアメリカ海洋大気庁(NOAA)が、世界で初めて海の上を進むハリケーンを内側から撮影することに成功し、ハリケーン内で吹きすさぶ秒速50mを超える暴風と15mもある高波の映像を公開しています。

A world first: Ocean drone captures video from inside a hurricane | National Oceanic and Atmospheric Administration
https://www.noaa.gov/news-release/world-first-ocean-drone-captures-video-from-inside-hurricane

Saildroneの「Saildrone Explorer SD 1045」は、2021年に発生するハリケーンの内部から気象と海洋のデータを収集するために開発されたヨット型の洋上ドローンで、ソーラーパネルによる電力で大西洋上に発生するハリケーンの気象データ測定やムービーの撮影を行います。


Saildrone Explorer SD 1045が海上に浮かぶ様子を以下のムービーから見ることができます。

Saildrone Hurricane Wing Testing - YouTube


そして、ハリケーン「サム」の内部をSaildrone Explorer SD 1045が捉えた映像が以下のムービー。撮影日の2021年9月30日には、風速は時速120マイル(約193km)を超え、波の高さは50フィート(約15m)を上回っていたとのこと。

SD 1045 Inside Hurricane Sam 1400UTC Sept 30 2021 - YouTube


映像に映るのは、暴風で真横からたたきつける豪雨と巨大な高波。波に浮かぶSaildrone Explorer SD 1045のカメラが左右に大きくぐらぐらと揺れるので、人によっては見ているだけで酔ってしまうかも。


そして、ハリケーンの風速モニターとSaildrone Explorer SD 1045のカメラの映像を並べたものが以下のムービー。ハリケーンの中央部分を覆う白い部分は、風速が50ノット(毎秒約25m)を超えていることを示しています。また、流れる白い線は風の向きとなっています。

SD 1045 Inside Hurricane Sam and the Saildrone Mission Portal - YouTube


NOAAの気象科学者であるグレッグ・フォルツ氏は「ハリケーンの風は数時間で急速に強まり、沿岸地域にとっては深刻な脅威となります。Saildrone Explorer SD 1045が収集したデータを利用すれば、ハリケーンが急速に強くなるのを予測するモデルを改善できると期待できます」と述べています。

Saildroneのリチャード・ジェンキンスCEOは「Saildroneのドローンはこれまでどんな調査船でも航行不可能だったハリケーンの中心を進み、ハリケーンについてのデータを収集します。北極と南極が踏破されて以降、ハリケーンこそ最後のフロンティアでした。地球上で最も過酷な気象条件の中で運用できる機体を設計できたことを誇りに思います」とコメントしました。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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