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エアバスの太陽光で飛行できる無人機「Zephyr」が長時間の連続飛行記録を更新


高度2万メートル前後の高高度域は、旅客機が飛行しない空間として有効活用が期待されており、GoogleやFacebookが競って進出する激戦地帯となりつつあります。その激戦区で旅客機の2大メーカーのひとつエアバスは太陽光で飛行できる無人機「Zephyr(ゼファー)」の開発を着々と進め、GoogleやFacebookなどの大手IT企業を一歩リードしています。

Pseudo-satellites: The west wind blows afresh | The Economist
http://www.economist.com/news/science-and-technology/21614095-cheap-alternative-satellites-starting-take-west-wind-blows

Zephyr Solar UAV Operates 11 Days in Winter Conditions | Defense News | defensenews.com
http://www.defensenews.com/article/20140828/DEFREG01/308280034/Zephyr-Solar-UAV-Operates-11-Days-Winter-Conditions

2014年8月にエアバスは、開発中の太陽光発電で自力飛行できる無人飛行機「Zephyr 7」が11日間、ノンストップでの飛行に成功したことを発表しました。Zephyr 7は両翼23メートルに敷き詰められた太陽光パネルによって発電して駆動力を得る無人機で、上空7万フィート(約21km)を飛行します。極限まで軽量化された機体はなんと50kgと、平均的な成人男性よりも軽い重量で、太陽の出ている日中は時速21kmで飛行でき、日没後も時速15kmで飛行できます。


今回、Zephyr 7は季節が冬の南半球を飛行して長時間のフライトを実現しており、太陽光のエネルギーが小さくかつ日照時間が短いという悪条件でのフライトだったことから、夏の好条件下ではさらに長時間の連続飛行が期待できそうです。

Zephyr 7は通常の飛行機がフライトする上空10kmと周回衛星が周回する上空800kmの中間の空間を飛行するため「High Altitude Pseudo-Satellite(HAPS)」と呼ばれています。HAPSの主な用途は上空からの「観測」と「通信」が挙げられています。

Googleマップなどで使われている衛星写真はその名の通り衛星から撮影したものですが、HAPSであれば衛星よりも約40倍近くから撮影できるためより詳細な地形や建物の撮影が期待できます。また、GoogleFacebookがドローンを使って空中からモバイル通信を可能にしようと競うように開発を進めている通り、HAPSを使えば通信インフラの整わない僻地でモバイル通信が実現できると考えられています。

By Moyan Brenn

エアバスのライバルであるボーイングが開発していた無人機「SolarEagle」は、大口スポンサーであったアメリカ国防省DARPAが2012年に計画の縮小を決めたため、今やHAPSにおけるエアバスのライバルはGoogleやFacebookと言えそうですが、エアバスのHAPSプログラム広報担当のポール・ブルックス氏は、「GoogleやFacebookは競争相手というよりは、共に高高度域での無人機の飛行耐久性を証明し、安全な利用を実現するために必要な新たな飛行規制や運用基準の策定を促進していくための協力者であると考えています」と述べています。


エアバスは、2015年春にもZephyr 7よりわずかに大きな機体でバッテリーなど進化させた新モデル「Zephyr 8」を初飛行させる計画となっています。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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