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さまざまなUSB-Cコネクタをスキャンして違いを検証、Appleの1万円超え純正ケーブルと安価なケーブルではどんな違いがあるのか


「USB-Cケーブル」というカテゴリの中では、AppleのThunderbolt 4(USB-C)Proケーブルのように1万円を超えるような高額商品からたった数百円で購入できる安価なものまでさまざまな商品が存在しています。価格帯によって中身がどのように違うのかについて、産業用CTスキャナーを手がける企業「Lumafield」が分析結果を公表しています。

USB-C head-to-head teardown
https://www.lumafield.com/article/usb-c-cable-charger-head-to-head-comparison-apple-thunderbolt-amazon-basics


◆Apple Thunderbolt 4(USB-C)Pro
AppleのThunderbolt 4(USB-C)ProケーブルはThunderbolt 3・Thunderbolt 4・USB 4のデータ転送をサポートしており、最大で40Gbpsのデータを転送可能なほか、DisplayPortの出力や最大100Wの給電なども可能という高性能なケーブルです。スキャン結果はこんな感じで、Lumafieldのサイトにアクセスすると3Dモデルデータを閲覧することが可能です。


コネクタは硬質プラスチックで覆われており、その下にステンレス製の金属シールドが設置されています。さらに8方向から圧着された一体型のストレインリリーフがコードとコネクタの接続部分を保護しています。


Thunderboltコネクタの24ピンはそれぞれ独立して10層のプリント基板アセンブリ(PCBA)に接続されています。Lumafieldの視覚化ツール「Voyager」を利用してPCB基板を透過すると、内部にブラインドビアと埋込みビアが多数存在しているのが確認できます。


プリント基板をじっくり観察すると、基板上の導電性経路であるトレースの一部が波状になっているのが分かります。超高速データ伝送ではペアのトレース同士で長さを一致させることが重要なため、経路を波打たせることでわざと遠回りしているというわけです。


Thunderboltケーブルには3つの異なるタイプのワイヤーが含まれています。ケーブル内のシールドされた導体は高速データ用のワイヤーで、シールドされていない導体のうち2本が従来のUSB 2.0用のデータワイヤーとなっており、残りのワイヤーは電力伝送用とのこと。


◆Amazonベーシック USB Type Cケーブル
AmazonベーシックのUSB-CケーブルではAppleのケーブルの10分の1以下の価格で最大60Wの充電と最大480Mbpsのデータ転送が可能です。Thunderboltコネクタと同様、プラスチックの箱の中にシールドとして金属板が配置されており、ストレインリリーフと一体化しています。ただし、AmazonベーシックのストレインリリーフはThunderboltコネクタよりもはるかに単純で、2つのアームを圧着することでシールドをケーブルに固定しているとのこと。


コネクタの接続部にはピンが12本しかなく、Thunderboltの半分となっています。また、ピンがペアになっている4カ所ではそれぞれのピンがペアごとにまとめてPCBAに接続されており、充電および低速のデータ転送という基本機能を確保しつつコストダウンを行っている様子がうかがえます。


◆NiceTQ USB-Cケーブル
5.59ドル(約840円)のNiceTQ USB-CケーブルはAmazonベーシックと似たような価格帯にもかかわらず10Gbpsまでのデータ転送をサポートすると宣伝しています。


しかし中身をスキャンしてみると下図の通りで、金属シールドは存在せず、シェルはアースされておらず、ストレインリリーフは単なるゴムで金属での補強が行われていません。コネクタの先端には8個のピンが存在するもののケーブルに接続されているのはそのうち4つのみで、しかもPCBAが存在せずピンとワイヤーが直接接続されています。


ケーブルは4本の直線的なより線導体で構成されており、それぞれの導体は2つの絶縁層に個別に埋め込まれています。ピン・ワイヤともに最大480MbpsのUSB 2.0をサポートする分しか存在しておらず、とても10Gbpsの転送速度を出せそうにはありません。


なお、NiceTQ USB-Cケーブルは29件の1つ星レビューを獲得しており、Lumafieldがこのケーブルを購入した翌日には販売中止になったとのこと。

◆ATYFUER USB-Cケーブル
3.89ドル(約580円)という安さのATYFUER USB-Cケーブルは充電専用として販売されていますが、Lumafieldがスキャンしたところ下図の通りピン・ワイヤともにUSB 2.0データ転送が可能な構成となっていることが判明しました。


先端には24本のピンが存在しており、そのうち12本がケーブルに接続されています。こうした構成にしている理由として、製造工場がThunderboltケーブルと同じで材料費や労力が多少無駄になることを踏まえても1つの設計を維持した方が安価になるのではないかとLumafieldは推測していました。

同じ「USB-Cケーブル」の中でも上記の通りさまざまな違いが存在しているため、データ転送や充電などの用途やケーブルの形状、寿命などを踏まえて自分にあったケーブルを購入するのが良さそうです。

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in ハードウェア, Posted by log1d_ts

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