羊の群れがまるで流れる水のように動く様子をドローンで撮影した動画が話題に、科学的な意義にも注目

羊飼いは単に羊を放し飼いにするだけではなく、気象や牧草などの条件に応じて、時に1000頭を超える羊の群れを適切な場所へと誘導しています。そんな羊の群れが大移動する様子を空中からドローンで撮影したタイムラプス動画を、ドローンカメラマンのLior Patel氏が公開しています。

Lior Patel - Drone Photography Watch | Facebook
https://www.facebook.com/watch/?v=527905015064144

Watch sheep flow like water in mesmerizing time-lapse drone footage | Live Science
https://www.livescience.com/time-lapse-drone-herding-sheep.html

Patel氏はイスラエルのヨクネアムという町の付近で、羊の群れが冬の囲い地から夏の牧草地へ移動する様子をドローンで撮影するプロジェクトに着手しました。2021年1月に羊飼いの一家と話をつけることに成功し、約7カ月間にわたって1000～1700頭もの羊の群れを追い続けたとのこと。

囲い地の中にいるのは大量の羊。天候が暖かくなると羊を夏用の牧草地に移動させる必要があるため、羊飼いはシェパード犬などを使って羊の群れを誘導します。

大量の羊が囲い地の出口に向かうと、地面に有機的な模様が出現。

羊たちはそれぞれ自由に動いているように見えながらも……

羊飼いの下にしっかりと集まりました。

1000頭を超える羊が一斉に移動する様子は壮観です。

時には群れが崩れそうになりながらも、全体が大きなまとまりとなって一方向に動いていく様を見ていると、群れ全体が大きな生命体であるかのように感じます。

狭い場所を通り抜ける時は、大量の羊がまるで川の流れのように見えます。

群れの動きからはぐれて草を食べ続けていた羊も……

最後には他の羊たちの後を追いました。

羊飼いの後について……

群れが森の中の道を進みます。大量の白い羊が道を通り抜ける光景は、まるで水が流れているようにも見えます。

羊の群れは民家が並ぶような道も通る模様。

道の前方からやってきた車は、群れを避けるために道路脇に停まりました。

道路を横断する羊の群れ。

水飲み場を設置すると、羊たちが一気に集まってきます。

餌が入っているらしい箱に羊の群れが一斉に集まると、地面にきれいな模様が描かれたようになりました。

Patel氏は最初の数回で羊の群れを観察し、「群れがどのように広がって収縮するか」を把握したとのこと。その後、羊飼いの予想などを聞きながらPatel氏はドローンを飛ばし、群れがその下を通過するのをひたすら待ちましたが、羊の群れが通る場所を正確に予測するのは困難だったそうです。Patel氏は科学系メディアのLiveScienceに対し、「最初はとても大変でした。群れが左に行くと思ったら右に行ってしまいました。羊の動きのロジックがわからなかったのです」と語っています。

今回の映像は、あくまで「羊の群れが移動する様子は美しいだろう」という意図で撮影されたものでしたが、動物の群れを撮影した映像は科学的な意義を持つ可能性があります。2018年の研究では、トナカイの社会的相互作用が群れ全体の動きに及ぼす影響を調査するため、空中から撮影したドローン映像を用いました。この論文の共著者であり、記事作成時点ではワシントン大学で助教を務めるAndrew Berdahl氏はLiveScienceに、Patel氏の映像がいつか科学研究に利用される可能性があるとコメント。

「通常の速度で映像を再生すると、群れの中で特定の動きのパターンを見つけることができます」「撮影した時には気付いていませんでしたが、人々が美しいビデオとしてだけでなくデータとして関心を持っている理由が今ではわかります」と、Patel氏は述べました。