Googleの成層圏に飛ばした気球でWi-Fiを提供する「Project Loon」が2019年からついに商業展開を開始
Googleの姉妹会社である「Loon」は、成層圏に気球を打ち上げてインターネット網を広げるという「Project Loon」を2019年からケニアで展開していくと発表しました。この計画は通信事業者との契約によるもので、Project Loonが商業的に展開されるのは今回が初めてとなります。
Alphabet to deploy balloon Internet in Kenya with Telkom in 2019 | Reuters
https://www.reuters.com/article/us-kenya-alphabet/alphabet-to-deploy-balloon-internet-in-kenya-with-telkom-in-2019-idUSKBN1K90SV
Project Loon signs its first deal for Internet-delivering balloons—in Kenya | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2018/07/project-loon-signs-its-first-deal-for-internet-delivering-balloons-in-kenya/
Project Loonは2011年からGoogleの研究ラボ企業であるGoogle Xで進められていたプロジェクトです。ソーラーパネル駆動のWi-Fiアンテナをポリエチレン製の風船に装着し、地上20キロメートル近い成層圏に飛ばすことで、5000平方キロメートル以上の地域にネットワークインフラを確立できます。テニスコートサイズという巨大な風船は100日以上飛び続けられ、独自のアルゴリズムと気流のパターン予測によって管理者は気球の動きを高い精度で制御することができます。
インドネシアなどでテスト運用が行われていて、2017年9月にはハリケーン・マリアの直撃で全土が停電したプエルトリコに緊急通信網を構築するため、Google XがProject Loonの技術を提供して話題となりました。
The #ProjectLoon team at X is exploring if it’s possible to bring emergency connectivity to Puerto Rico. Read more https://t.co/atroBWeTGv
— The Team at X (@Theteamatx) 2017年9月29日
その後、Project Loonは、Googleの親会社であるAlphabetの子会社として独立した「Loon」に引き継がれました。Loonは最初の商業取引として、ケニア第3位の通信事業者であるTelkom Kenyaと提携し、2019年からケニアの農村部や郊外で4G回線を利用できるようにすると発表しました。
LoonのCEOであるアラステア・ウェストガース氏は「Loonの使命は、大胆な技術を生み出して統合することで、世界中の人びとをつなぐことです」とコメントしています。また、Telkom KenyaのCEOであるアルド・マリューズ氏は「Loonと密接に協力していくことで、Project Loonによる最初の商用モバイルサービスをできるだけ早くアフリカで展開したい」と語っています。
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