Googleの気球ネットプロジェクト「Loon」が飛行開始から約1年経過、近況をブログで報告
Googleファイバーで地上の高速回線を手頃な値段で提供するGoogleは、気球を使ってWi-Fiを供給するプロジェクト「Loon(ルーン)」によって僻地の空から通信回線の提供も行っています。Google+のLoonブログ内では、まもなくプロジェクト開始から1年になるLoonについての近況報告が行われています。
Project Loon - Google+ - One of our balloons has had quite a journey over the past…
https://plus.google.com/+ProjectLoon/posts/bWn1HJmyqLk
Exclusive: Google's Project Loon tests move to LTE band in Nevada | PCWorld
http://www.pcworld.com/article/2145500/exclusive-googles-project-loon-tests-move-to-lte-band-in-nevada.html
数週間ほど前にプロジェクトLoonの1つの気球が22日間かけて地球を1周するとともに、プロジェクトの総飛行距離の記念すべき50万キロメートルを達成したと、Googleはブログで報告しました。気球は、チリからアルゼンチンに向かって吹いている偏西風にうまく乗って「吠える40度」と呼ばれる風の強い海域を通過して飛行距離を稼ぎつつ、省エネ飛行を続け、離陸地点のニュージーランド上空に戻ってきて「2周目」の旅を開始したとのこと。
GoogleのLoonチームは、1年近い実験の結果、気流をうまくつかんで長距離を省エネ飛行する方法を会得しており、現在ではプロジェクト開始時点に比べて風を3倍近く効率的に利用することができるようになっています。成層圏やそれよりも低い高度において気流や風の乱れは非常に複雑で、刻刻と変わる風の状況に対応してLoon気球の向きを変える必要があるところ、これまでに収集した大量のデータを解析し複雑なアルゴリズム構築し駆使することで、Loon気球の飛行ルートを正確に予測出来るようになっているとのことです。
Loon気球はエネルギー源として太陽光を利用しているところ、プロジェクト開始当初は気球のてっぺん付近に太陽光パネルを設置していましたが、極付近では太陽光は側面から照らされるためうまく光を捉えられないことが判明。現在では、2枚の太陽光パネルを側面に傾けて装着しているそうで、これによって太陽光を効率的にキャッチし積載バッテリを減らし省エネ性能に磨きをかけています。
さらに、Loonの飛行テストはGoogleのお膝元のアメリカにもついに進出が決定しました。Googleは2013年9月に連邦通信委員会(FCC)にネバダ州北部の砂漠地域での無線免許を申請、承認の条件とされるAT&T・Verizon・T-Mobileのモバイル通信大手3社が共同利用しているLTE基地局から25マイル(約40キロメートル)以上離れた場所で行うことをクリアし、いよいよ実証試験にこぎ着けたことをPC Worldが報じています。
プロジェクトLoonは、ネットインフラの整わない僻地での回線提供を目的に進められており、提供する回線はそれほど速度重視のものではないとみられていました。しかし、ネバダ州での試験で使った回線について、公開されているバンド(周波数帯域)種別の中にはLTEやWiMAXなどが含まれているため、Loonから高速回線を提供する可能性も示唆されています。
Facebookが高い関心を示していた太陽光ドローンのTitan Aerospaceの買収に成功したGoogleは、Loon気球とドローンをどのように活用して「空」を制覇するつもりなのか、今後も目が離せないことになりそうです。
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