Intel Core i7の2倍以上の性能を持つVega GPU内蔵ノートPC向けCPU「Ryzen Mobile」をAMDがリリース


ZenマイクロアーキテクチャCPUとVegaアーキテクチャGPUを融合させたノートPC向けの新CPU(APU)「Ryzen Mobile」をAMDが発表しました。Intelのモバイル向けCPUを圧倒する性能を持つRyzen Mobileの登場により、薄型ノートPC市場へAMDが大きく切り込むことになりそうです。

AMD Launches Ryzen Mobile Processors
http://www.tomshardware.com/news/amd-apu-ryzen-mobile-vega,35771.html

AMD Mobile Ryzen APUs To Power Acer, HP, Lenovo Ultra-Thin Laptops
http://www.tomshardware.com/news/amd-mobile-ryzen-apu-laptops,35772.html

2017年6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2017での発表通り、年内に登場することになった「Ryzen Mobile」。CPUにZenマイクロアーキテクチャ、GPUにVegaアーキテクチャを採用と、新アーキテクチャを融合させたGPU機能を搭載する新CPU(コードネームRaven Ridge)で、まずは薄型ノートPCなど省電力向けの「Ryzen Mobile」から登場することになりました。


デスクトップ向けRyzen 7やRyzen Threadripperなどと異なり、Ryzen MobileはCPUダイ内にCore Complex(CCX)を1つだけ搭載します。


AMDのリサ・スーCEOいわく、「TDPが15WのRyzen Mobileは、激薄のノートPCに史上最高のパフォーマンスをもたらす」とのこと。Ryzen Mobileのパフォーマンスは以下のムービーで確認できます。

AMD Ryzen™ Processor with Radeon™ Vega Graphics - YouTube


Ryzen Mobileは、上位モデルのRyzen 7 2700Uと中位モデルのRyzen 5 2500Uの2種類から登場します。2700U・2500Uともに4コア/8スレッドのCPUで、GPUのCU(Compute Unit)数が異なります。


ロバート・ハロック氏にデモを見せてもらうスーCEO。


Ryzen Mobile搭載マシンとともに、ライバルIntelの第7世代(Kaby Lake)Core i7搭載のノートPCを使って、性能を比較するとのこと。


3DMarkの結果は、Ryzen 7 2700UはCore i7 7500U比で2.5倍以上のスコア。


Core i5 7200Uに対してRyzen 5 2500Uもダブルスコア状態。


特筆すべきはRyzen MobileのGPU性能。CPUに内蔵されるRyzen MobileのGPUは、3Dゲームをバリバリこなせる性能を持ちます。


Ryzen Mobileの驚異的な性能をアピールするために、AMDはライバルのIntel第8世代Coreプロセッサ(Kaby Lake Refresh)のCore i7-8550Uを相手に、性能比較を行っています。 Tom's Hardwareがまとめたスペックは以下の通り。いずれも4コア/8スレッドでノートPCの性能を従来から一段階引き上げる内容になっています。


シングルスレッドでは同等の性能ですが、マルチスレッドでは第7世代・第8世代のCore i7を約40%引き離す性能をRyzen 7 2700Uはたたき出します。


3DMark TimespyではRyzen 7 2700Uが圧勝。なんと、Core i7-7500U+GeForce 950Mを搭載するゲーミングPCのスペックをも上回るCPU・GPU性能を、激薄ノートPCで実現できる模様。


驚異的なのが、TDPが91Wのデスクトップ向けのCore i5-7600Kをも上回る性能を、Ryzen 7 2700Uは「TDPが15W」(cTDPが12W~25W)という制限内で実現する点。コンシューマー向けデスクトップCPUの主要モデルと同等以上の性能を、激薄ノートPCにもたらし得るというわけです。


デスクトップ向けRyzen 7と同様に、冷却条件に応じて自動でブーストする機能「XFR」を搭載。Ryzen Mobileの採用する「mXFR」では、冷却状態が良好であればOCされたクロック状態を長時間維持できるようチューニングが行われています。


「Precision Boost 2」採用により、ブーストするアクティブコア数は3コア(6スレッド)までにアップしました。


3Dグラフィック・省電力性能・生産性・創作性・I/Oパフォーマンス・データセキュリティを示すレーダーチャートでは、Core i7-8550Uに対するRyzen 7 2700Uの優位性をアピールしています。


Ryzen 7 2700Uの持つGPU性能を見せつけるかのような、主要なゲームのFPSも公開。Ryzen Mobileならば、激薄ノートPCで3Dゲームを楽々動かせます。


高いビデオ性能により、4Kストリーミングムービーの視聴をノートPCで可能にします。


さらにAMDは「世界で唯一のx86・CPUとGPUを提供できる企業」という優位性を生かして、Zenマイクロアーキテクチャ+VegaのRyzenを、ノートPCやオールインワンPCだけでなく、ゲームコンソール、航空機システム、自動運転カーなどへの活用が可能だと公式ムービーでアピールしています。

Introducing AMD Ryzen™ Processor with Radeon™ Vega Graphics: The Ultimate Laptop Processor - YouTube


ムービーでスーCEOが触れていたとおり、Ryzen Mobile搭載の激薄ノートPCは2017年のクリスマス商戦に間に合う時期に市場に投入される予定で、すでに各社からスリムタイプのノートPCの登場が明らかになっています。

Acerの「Swift 3」


Lenovoの「Ideapad 720S」は、Ryzen 7 2700U/Ryzen 5 2500Uのモデルがあり、512GBのNVMe・SSDを搭載可能です。


AMD FX A12-9800Pを採用していたHPの「Envy x360」も、Ryzen Mobileでリニューアルされます。Ryzen 5 2500Uを採用するEnvy x360は、699ドル(約8万円)からとなる予定。


AMDのジョー・マクリ氏によると、当初「CPU性能50%アップ、GPU性能50%アップ、消費電力50%ダウン」という目標を立てて開発が始まったRyzen Mobileは、最終的に「CPU性能200%、GPU性能128%、消費電力58%ダウン」を達成したとのこと。ライバルのIntel製モバイルノート向けCPUを圧倒する性能のRyzen Mobileによって、これまでIntelの独壇場だったモバイルノートPC市場をAMDは切り崩し始めることになりそうです。

2モデルで登場するRyzen Mobileは、2018年第1四半期に下位モデルの「Ryzen Mobile 3」、ビジネス向けの「Ryzen Mobile Pro」が登場する予定。デスクトップ向けのZen+Vega採用APUは2018年以降のリリース予定です。

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