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南極で1年間にわたる隔離状態を経験した女性が「隔離からの解放後に感じた変化」とは?

by NASA Goddard Space Flight Center

新型コロナウイルスの流行によって世界各地でロックダウンなどの措置が執られており、日本でも不要不急の外出を控える要請が出されたりテレワークが推進されたりしました。流行が落ち着くと共に社会的距離を保つ対策が緩和されていくこととなりますが、「隔離状態からの解放後に経験する変化」について、南極大陸で1年間にわたり遠征隊を率いたレイチェル・ロバートソン氏が語っています。

I Was Isolated for a Year in Antarctica—Here's What Surprised Me Most When I Came Back | Reader's Digest
https://www.rd.com/article/isolated-for-a-year-in-antarctica/


ロバートソン氏は最初から南極大陸に向かう熱意を持っていたわけではなく、大学卒業後は南極遠征と関係のない仕事についていました。ところがある日、「南極遠征隊のリーダーを募集する広告」に書かれていた「回復力・共感力・誠実さを持つ人物を探している」という文言を見て、面接でどのような質問をされるのか気になったロバートソン氏は、募集に応じることにしたそうです。

結果としてロバートソン氏は面接に合格し、オーストラリア南極局が管理するデイヴィス・ステーションという観測基地への遠征隊を率いるリーダーに任命されました。ロバートソン氏は2004年12月に夏季観測隊と共に南極へ向かい、2005年2月に夏季観測隊が帰ってから次の観測隊がやってくる2005年11月までの間、外界と隔絶した南極という環境で17人の越冬隊メンバーを率いたとのこと。

多くの人々が新型コロナウイルスの流行に伴う隔離状況を経験し、政策の緩和によって再びオフィスや街中に戻ることを楽しみにしています。一部の人々は新たな状況を大いに歓迎するかもしれませんが、別の人は緩和によってストレスを感じる可能性もあるとロバートソン氏は指摘。そこで、ロバートソン氏は自身の経験を基に、隔離後の生活で感じた戸惑いについて説明しています。


◆1:日常の騒音がとてもうるさく感じる
南極からオーストラリアに戻ってきたロバートソン氏は、外界の音が異常に大きく聞こえたと述べています。南極遠征と違ってロックダウンでは生活する場所が変わるわけではないものの、ロックダウン中は街中を歩く人や車の交通量も少なくなり、普段よりも騒音が少なくなっています。そのため、ロックダウンが解除されて人々の生活が変化する際、騒音が気になる人もいるだろうとロバートソン氏は指摘。

ロバートソン氏は南極での静かな生活に慣れきっていたため、オーストラリアの都市部で聞こえる絶え間ない騒音は驚異的だったとのこと。騒音に慣れるために外で過ごす時間を制限し、徐々に騒音への耐性を高めていったロバートソン氏ですが、耳が慣れるまでには6カ月ほどかかったそうです。

◆2:生活のスピードが速く感じる
南極で生活している間、ロバートソン氏の生活や移動のペースは非常にゆっくりしたものだったそうで、オーストラリアに戻って車に乗った時はスピードが出ていないのにとても速く感じたとのこと。家で仕事をすることに慣れたロックダウン中の人々も、生活や移動のペースがゆっくりになっている場合が多いため、ロックダウン解除後の慌ただしい日々に戸惑う可能性があります。


◆3:選択肢の多さに圧倒される
南極遠征中のロバートソン氏らにとって、日々の生活における「選択肢」はそれほど豊富ではありませんでした。何を着るか、いつ仕事をするか、何を食べるかといった事柄があらかじめ決められており、せいぜい食事の際に「カレー」と「パスタ」を選ぶ程度だったとロバートソン氏は述べています。そのため、隔離生活が終了した人々は、日常生活における選択肢の多さに驚くかもしれないとのこと。

◆4:スキンシップが苦手になっていた
遠征隊を率いる立場にあったロバートソン氏は、誰かと気軽に握手したりハグしたりすることが立場上できなかったそうで、他者との物理的な接触が極端に少なかったとのこと。元々はハグなどのスキンシップが好きだったロバートソン氏でしたが、1年間の南極遠征によって、スキンシップをしない生活が当たり前のものとなったと述べています。

ロバートソン氏は「南極遠征から戻ったらたくさんハグをしたくなるのだろう」と考えていましたが、実際にオーストラリアに戻ってみると、たとえ家族や古い友人同士でもハグをすることにためらいを感じたそうです。スキンシップなどの社会的な関与に慣れるため、ロバートソン氏はオーストラリアに戻ってから6週間ほどは家族や親しい友人とだけ一緒に過ごしたとのこと。

新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン後の反応は、人それぞれで違ったものになります。ある人は隔離中のさびしさを紛らわすように積極的な関わりを持とうとする一方で、別の人は社会的関与に慣れるために時間を要する場合もあるため、お互いが相手の反応を尊重する必要があるとロバートソン氏はアドバイスしました。


◆5:免疫システムが弱体化していた
南極大陸にはさまざまな病原体が存在しておらず、寒さは厳しかったもののロバートソン氏は健康に過ごしていました。ところが、オーストラリアに戻ってきた途端に「オーストラリアにいる全てのウイルスに感染した」とロバートソン氏は述べています。そのため、隔離から解放された人々も、自分の免疫システムが弱まっている可能性を考慮して慎重に過ごす必要があります。

◆6:隔離状態が終わりに近づくほど辛くなる
ロバートソン氏らにとって最も辛かったのは寒さが厳しい冬の真っただ中ではなく、「そろそろ夏季観測隊がやって来て隔離された状態が終了する」という時期だったそうで、この時期には多くの争いや感情の爆発などのトラブルが発生したとのこと。「終わりが見えているのにまだ隔離を続けなければならない」状況は多くの人にとってストレスであり、新型コロナウイルスの流行を防ぐためのロックダウン終盤に気が緩んでしまうと、再び感染者数が増加してしまう危険性もあるとロバートソン氏は指摘しました。

◆7:隔離状態は自分自身を振り返る機会になる
隔離されている状態は自分自身を見つめ直すきっかけになるそうで、南極遠征中のロバートソン氏はリーダーとしての行動を内省し、毎日の行動が正しかったのかどうか日記に書き記していました。新型コロナウイルスによるロックダウンもこれと同様に、自身の規律を見直すきっかけになるとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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