サイエンス

人工的に作られた子宮でウサギを自然妊娠させることに成功


バイオエンジニアリング分野の研究者らが、ウサギから採取した細胞を培養し、実際に自然妊娠可能な人工子宮を作り出すことに成功しました。臨床試験にはまだ至っていませんが、この技術を発展させることで人の不妊治療にも役立つ可能性があります。

A tissue-engineered uterus supports live births in rabbits | Nature Biotechnology
https://www.nature.com/articles/s41587-020-0547-7

A tissue-engineered uterus supports live births in rabbits | Nature Research Bioengineering Community
https://bioengineeringcommunity.nature.com/posts/a-tissue-engineered-uterus-supports-live-births-in-rabbits


Bioengineered uteri support pregnancy -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/06/200629120217.htm

この研究を行ったのは、再生医療分野で最先端の研究を行うアメリカのウェイクフォレスト再生医療研究所(WFIRM)の研究者ら。これまでも、WFIRMの研究チームは人間の患者から採取した細胞を生分解性足場で培養するという前臨床試験や、それを人間の管状臓器・非管状臓器へ適用することにも成功しており、これら技術はドナー不足が叫ばれる医療現場での活用が期待されています。


そして新たに、研究チームはバイオエンジニアリングでウサギの子宮を作り出すことに成功したと発表しました。子宮は受精卵を着床させ胎児を育てるという機能性が高い複雑な器官であるため、設計が非常に難しいとされています。

実験ではウサギを以下の4グループにわけ、それぞれ異なる施術を行っています。

1:子宮摘出されウサギの細胞を培養した足場を移植されたグループ
2:子宮摘出され細胞の培養がなくポリマーのだけの足場を移植されたグループ
3:子宮が摘出されたコントロールグループ
4:偽の開腹手術を受けたグループ

手術を行ってから6カ月後、細胞培養された足場を受け取ったグループのウサギだけが、組織化された管腔上皮、腺上皮、間質、血管付き粘膜、そして2層の子宮筋を含む構造を発達させていたとのこと。このグループのウサギは10匹のうち4匹が再建された子宮を使って自然妊娠しており、研究チームは今回の技術を発展させることで不妊治療に役立てることが可能だとみています。


WFIRMの研究主任研究者およびディレクターであるAnthony Atala氏は「この研究では、人工的に作られた子宮組織が一般的な妊娠をサポートできることを示しています。また、人工子宮で育つ胎児のサイズや重さは自然の子宮で育った胎児と変わらず、胎児の発達も正常であることが示されています」と述べています。

故人あるいは生きている人から子宮を移植する方法は不妊治療として有効ですが、一方で移植施術を行う場合、拒絶反応を抑制する必要があります。2020年6月までに世界中で70件の子宮移植手術が行われていますが、アメリカで移植された子宮によって生まれた子どもは10人未満です。自分の細胞から子宮を人工的に作り出すことが可能となれば、拒絶反応を心配する必要がなくなるため、子宮移植手術および人工子宮を用いた妊娠という不妊治療の形により光が当たる可能性があります。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logq_fa

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