「世界で最も美しい場所」とコロンブスに言わしめたカリブ海に浮かぶフランス「マルティニーク」に行ってみた【インターリンク ドメイン島巡り 第25回「.mq」】
人食いの村があるとウワサされる国、ニートの居住が違法の町、日本から片道40時間の絶海の孤島など、インターネットに情報があふれる時代でも「実際にどんな場所で、人がどんな生活を送っているのか、よくわからない……」という国や地域は存在します。ネットにない真実を求め、そんな地域を弾丸で巡ってレポートする「ドメイン島巡り」企画、第25回目は大西洋を横断した航海者コロンブスが「世界で最も美しい場所」だと称賛したというマルティニークを訪れました。
ドメイン島巡り - 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。
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※取材は2020年2月上旬に行われました。
◆マルティニークはどこにあるのか?
フランスはヨーロッパ以外にも海外領土「フランス海外県」を有しており、マルティニークはこのフランス海外県の1つです。マルティニークはフランス本土から約6800キロメートル離れたカリブ海に浮かんでおり、面積は1128平方キロメートルと、北海道札幌市と同じくらい。フランス本土からは遠く離れていますが、マルティニークに住む人々はフランス国籍を有しており、母国語はフランス語、通貨はユーロが使用されています。なお、マルティニークという名前は「マディニーナ(花の島)」または「マティニーノ(女の島)」が語源だと言われています。
目次
◆南の海に浮かぶフランス「マルティニーク」に到着
◆4時間の弾丸ツアーでマルティニークの見どころを回ってみた
◆フランス料理をカリブ風にアレンジした「バナナのコース」などマルティニークの食事事情まとめ
◆インターネットは使えるのかネット速度を調査&SIM購入に挑戦
◆「.mq」ドメインは現地でどのように使われているのか?
◆南の海に浮かぶフランス「マルティニーク」に到着
エアアンティルのATR723S217便で別のフランス海外県であるグアドループを経由しマルティニークへ向かいます。
座席指定はなく、飛行機なのにすべて自由席です。
マルティニーク・エメ・セゼール国際空港に到着。マルティークはフランスの海外県のため、EU同様簡単に入国できます。入国書類を書く必要もありませんでした。
空港には、毎年3月上旬頃に開催されるカーニバル用の仮面のオブジェが飾ってありました。
カーニバルがどのようなものなのかは以下のムービーで確認できます。
CARNAVAL DE MARTINIQUE - CARNIVAL IN MARTINIQUE - YouTube
なお、マルティニークへは、パリやカナダのモントリオール、周辺の島からも直行便が出ています。
さっそく空港からホテルへ向かうためタクシーに乗車。英語は通じず、フランス語で会話する必要がありました。空港を出発し巨大なハイウェイを走ります。夕方の通勤ラッシュと重なったせいか、島というよりもアメリカの大都市を走っているような感じ。道路は整備が行き届いていました。
ハイウェイ沿いにあるカリベアヴァルメニエールホテルに到着。これまでのドメイン島巡りでは見ることのなかった、近代的なシティーホテルです。
ホテル内にはパイナップルの壁紙が貼られていました。なお、マルティニークのパイナップル生産量は2018年時点で世界77位と決して高い順位ではありませんが、砂糖、ラム酒、バナナの生産や観光業と共に経済の中心を担っています。
ハイウェイ沿いにはお店が何もなく、夜は真っ暗。少し歩いてみましたが、車がひっきりなしに通り過ぎ、「夜の散歩をするには少し危ないな……」という印象を持ちました。
まだ夜7時ですが、私たち以外に人の気配はなく、ひっそりとしています。
マルティニークではかつて独立運動が起こりましたが、本国フランスの反対にあって独立を果たすことができませんでした。しかし、独立はかないませんでしたが、フランスからの補助を受けているため、カリブ海の他の島よりもインフラが整備されており生活水準が高い印象です。また、マルティニークの人々はフランス国民としての権利も与えられているので、自由にフランス本土へ行き来できます。
その一方で、マルティニークの隣のセントルシアは、1979年2月にイギリスからの独立に成功したものの、決して裕福とは言えない状況です。
◆4時間の弾丸ツアーでマルティニークの見どころを回ってみた
マルティニークは、探検家のクリストファー・コロンブスが1502年6月15日に上陸し、「世界で最も美しい場所」だと称賛したそうです。そんなマルティニークを4時間の弾丸ツアーで回ってみることにしました。
今回はタクシーで移動しますが、マルティニークでの移動はバスでもOK。自動発券機でバスのチケットを購入することができます。クレジットカード支払もOKでした。
まずは島の北側、山がある方へ向かいます。
・天空の城のような「バラタ大聖堂」
マルティニークの県庁所在地であるフォール・ド・フランス中心部から7キロメートルほど離れた山の上に、まるでお城のように教会が建っています。
クラシカルでレトロなかわいらしいカトリック教会です。
この教会には入場料などはなく、無料で入ることができます。教会の中に入ると、より荘厳な雰囲気を感じられました。
・アルマ川
バラタ大聖堂から約12キロメートル先にアルマ川があります。
川のせせらぎを聞きながら、熱帯雨林の森林浴が楽しめます。
・ソルジョンダーム滝
アルマ川から、急な階段を下りて約100メートル先にソルジョンダームという滝があります。
滝の前で写真撮影している人たちを発見。
写真には写っていませんが、泳いでいる人もいました。
なお、ここは毎日雨が降るそうですが、取材時はちょうど降っていませんでした。うっそうと生い茂る熱帯雨林の木々を見ながら、次の目的地へ向かいます。
・デパス蒸留酒製造所
ソルジョンダーム滝から14キロメートルほど北西に行ったところには、サトウキビのジュースを使用してラム酒を作る「デパス蒸留酒製造所」があります。
無料で見学できるそうなので入ってみると、中では製造されているラム酒の展示の他、ラム酒の試飲もできました。
工場近くには、サトウキビ畑が広がっています。
実は、機動戦士ガンダム第12話「ジオンの脅威」にて、シャア・アズナブルが「坊やだからさ」と言いながら「ラ・マニー(La Mauny)」というラム酒を飲むシーンがありますが、この「ラ・マニー」はマルティニーク産のラム酒です。
・サンピエール教会
ここは倒壊したサンピエール教会の砦(église du Fort de Saint-Pierre)です。
1902年5月にマルティニーク島のプレー山が噴火し、この噴火で発生した火砕流によって、当時の県庁所在地だったサンピエールで約3万人が死亡。生き残ったのはたった3人という大災害で、これは20世紀の火山災害中最大であったと言われています。街は壊滅し、島の首府がフォール・ド・フランスに移転したそうです。
近隣の廃墟は駐車場として使われていました。
・豪華客船
MSCクルーズの豪華客船がダウンダウンのクルーズターミナルに停泊していました。マルティニーク・エメ・セゼール国際空港には、MSCクルーズの展示ブースもあります。
・アンスマリゴ展望台(Point de vue de l’Anse Marigot)
展望台からはコロンブスを魅了したマルティニークの海を一望することができます。
「Herve Beuze Patrick Arneton」というトーテムポールが建っていました。
・ダウンタウン
クルーズターミナル近くのエルネスト・デスプロージュ通りを散策。
サバンナ(La Savane)公園でデモが行われていました。タクシーの運転手さんが言うには、「フランス本国では黄色いベストを着てデモをするけど、こっちでは赤色なんだよ」とのこと。
デモには子ども達も参加していました。
マルティニークの国旗は公式にはフランスの三色の国旗ですが、実は青字に白い十字の非公式な象徴旗もあります。
白い蛇はマルティニーク島にしか見られない固有種。残念ながら、この象徴旗を見つけることはできませんでした。もしマルティニークがフランスから独立していたら、これが国旗になっていたのかも。
今回マルティニークを4時間で案内してくれた、ちょい悪ダンディーなタクシードライバーさん。
運転中は、マルティニーク島生まれのリズムの一種であるビギンを取り入れた『ビギン・ザ・ ビギン』を始め、ムーディーなラテンアメリカ音楽を流してくれました。
下記のムービーで『ビギン・ザ・ ビギン』を聞くことができます。
フリオ・イグレシアス Julio Iglesias/ビギン・ザ・ビギン Volver a Empezar (Begin the Beguine) (1981年) - YouTube
◆フランス料理をカリブ風にアレンジした「バナナのコース」などマルティニークの食事事情まとめ
マルティニークの料理は、フランス料理をアレンジしたクレオール料理です。カリベアヴァルメニエールホテルのレストランのメニューは以下のような感じ。フランス料理らしくコースになっています。前菜とメインのセットが29ユーロ(約3596円)。
今回はバナナのコース料理を注文してみました。前菜は「エビフライとグリーンバナナのフムス」。グリーンバナナをマッシュポテトのようにした上にエビフライを載せた料理です。グリーンバナナはタロイモのような味でした。
メインは、「イエローバナナのカレー」。クスクスの上にバナナのカレーが載ったヘルシーな料理です。あまり辛くなく、ココナッツの風味が効いています。食べるとサフランの香りがふわっと鼻にぬける特徴的な味です。
オレンジジュースを頼むと、フランスの国民的炭酸「オランジーナ」がきました。左の濃い色はマンゴージュース(4.5ユーロ/約558円)です。ホテルのレストランというのもあり、少し高い価格設定でした。
ホテルの朝食はこんな感じ。
バナナジャムがたくさん用意されています。
パンに塗って食べてみると、焼きバナナを煮詰めたような味でした。
置いてあったコーヒーメーカーはフランス語仕様。
続いては、空港2階の小さなフードコート。
メニューは6種類。
チキンのプレートは12ユーロ(約1488円)でした。
マルティニークのお土産にはドライバナナがオススメ。空港の売店で取り扱っていたドライバナナは、左が6.9ユーロ(約856円)、右が2ユーロ(約248円)でした。
◆現地でのSIM購入&速度調査
空港で利用できるWi-Fiの通信速度は2.1Mbps。
島内では、世界100カ国以上で使えるモバイルWi-Fiルーター「Glocalme」を使用しましたが、ほぼ同じスピードでストレスなくインターネットができました。
カリブの最大手携帯電話事業者Digicelは、空港内や街にも店舗がありますが、SIMは売っていません。
また、マルティニークにはフランスで一番大きな通信キャリア「Orange」が5店舗あるため、SIMを購入することも可能。マルティニークで買ったSIMはパリでも使うことができます。
◆「.mq」ドメインは現地でどのように使われているのか?
それぞれの国には、「ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)」という、国ごとに割り当てられたドメインが存在します。「ドメイン島巡り」は、そんなccTLDの中でも「島国」に割り当てられている約50種類のドメインに焦点をあて、実際にそのccTLDが割り当てられている島国を訪れて現地の魅力をレポートすると共に、「現地でそのドメインがどのように使われているのか?」を調べるのが目的です。
マルティニークに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.mq」です。実際にどのくらい街中で使われているか探してみます。
よく目にしたのは「.com」
フランスのccTLD「.fr」もよく見かけました。
マルティニーク・エメ・セゼール国際空港のホームページにも、「.fr」が使われています。
Accueil | Aéroport International Martinique Aimé Césaire
ホテルにあった電話帳も「.fr」
道路で見かけたバスはGmailを利用していました。
「.mq」を使っているところを全く見つけられない中、ちょうどツーリストインフォメーションセンターがあったので、「.mq」のことを聞いてみることにします。なお、ここも「.mq」ではなく「.fr」のドメインを使用していました。
若い女性スタッフに「『.mq』ドメインを使っているところを探しているのですが、見たことはありますか?」とと尋ねたところ、「ドメインはみんな『 .fr』を使っているわ」と言われてしまいました。しかし、ここで諦めるわけには……と粘っていると、隣で聞いていた別の女性スタッフが「たしか電力会社が使っていたかしら?」と言いながらパソコンで調べてくれ、「eDFという会社が使っているわよ」と教えてくれました。
電力会社のeDFはツーリストインフォメーションから徒歩5分のところにあるとのことなのでそのまま見に行ってみることに。
中に入ってみるとこんな感じ。
看板に「www.edf.mq」と書かれており、確かに「.mq」ドメインが使われていました。結局、今回の島巡りでは、「.mq」ドメインが使われているのはここだけしか発見できませんでした。
現在、「.mq」を運営しているレジストリはMediaserv社です。しかし、案内されているレジストリのサイト「nic.mq」にアクセスすると、エラーメッセージ「403 Forbidden」が表示され、何も情報が無い状態です。レジストリのサイトが表示されない場合、そのドメインが提供されていないケースもあるのですが、「.mq」は現在取得可能で、運用しているサイトも存在します。
というわけで、今回のドメイン島巡りで訪れた場所は以下のGoogleマップ上でまとめて確認可能です。
また、「マルティニークまで実際どうやって行けばいいの?」というアクセスの詳細はここから確認可能。
ドメイン「.mq」の詳細や申し込みについては、以下のリンクから確認できます。
mqドメイン登録(マルティニーク)| 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)
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