なぜか「うんこ」などの絵文字付きURLが大人気のドメインを持つサモア独立国現地取材まとめ【インターリンク ドメイン島巡り 第5回「.ws」】
インターリンクが「.cc」や「.tv」など島のドメイン約50種類に焦点をあて、時には片道40時間をかけてツバルまでも訪れてしまうドメイン島巡り、第5回目の巡り先はサモアです。「サモア」といっても「サモア独立国」と「アメリカ領サモア」の2つの国が存在し、前者には「.ws」、後者には「.as」というccTLDが割り当てられています。今回は「.ws」が割り当てられているサモア独立国に行ってみました。
ドメイン島巡り – 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。
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◆サモア独立国はどこにあるのか?
1722年にオランダ人探検家に発見されたサモア独立国は、西経171度線を境として西側に位置しており、その東側にアメリカ領サモアがあります。サモア独立国は「西サモア」、アメリカ領サモアは「東サモア」とも呼ばれます。
目次
◆絶景ポイント「トスア・オーシャン・トレンチ」には注意が必要
◆サモアの美しい海を最新の水中ドローンで撮影してみた
◆人気の「Sunrise Restaurant」でランチ
◆サモア唯一の「アレ」
◆現地でのSIM購入方法&速度調査~サモア編~
◆在サモア日本大使館へ行ってみた
◆サモアの噂
◆天気が悪くても楽しいサモア
◆「.ws」ドメインであふれる町
◆「うんこ」以外の絵文字でも使われている「.ws」
◆絶景ポイント「トスア・オーシャン・トレンチ」には注意が必要
サモア独立国(以下、サモア)は、主にサバイイ島と首都アピアがあるウポル島に分かれています。今回はサモア版の「青の洞窟」と呼ばれるトスア・オーシャン・トレンチを見るべく、ウポル島へ上陸しました。
ファレオロ国際空港に到着すると、民族音楽でのお出迎えを受けました。空港職員に聞いてみると「有志の方々が演奏している」とのことで、のどかさが感じられます。
サモア空港、入国歓迎の歌 - YouTube
早速入国審査をすませ、タクシーに乗って青の洞窟へ向かいます。天気は晴れ……
と思いきや、突然のスコールに見舞われ、とても不安な幕開けです。
サモアのスコール(弱め) - YouTube
空港から約90分で、トスア・オーシャン・トレンチがある島の南側に到着。海岸ですが、公園のように整備されています。
入園料は20サモアドル(記事制作時点のレートで約900円)。なお、表記上は「$」となっていますが、これが現地ではサモアドルという意味です。
入園するとすぐに青の洞窟を紹介する看板を発見しました。
しばらく奥へ進んでいくと、ついに見えてきました。
が、思っていた風景と違います。
青の洞窟……。
残念なことに、あいにくの雨で青緑色の沼へと変貌していました。
天気の良い時には以下の画像のようにとてもきれいだそうです。
image by: Shutterstock.com
せっかくここまで来たので、下に降りてみることにします。木製の梯子はかなりの傾斜で、ほぼ真下に降りていく感覚。
恐怖と戦いながら下へ降りると、眼前には神秘的な風景が広がっていました。このトスア・オーシャン・トレンチは岩場に出来た天然プールとなっており、水中で外洋と繋がっているとのこと。水温は天候が悪いこともあり、入るには少し冷たかったです。水面の色は残念ではありましたが、ここでしか感じることのできない美しさを見ることができました。
トスア・オーシャン・トレンチ その1 - Spherical Image - RICOH THETA
なお、トスア・オーシャン・トレンチではドローンの飛行が禁止されているので、注意が必要。
上部から360℃カメラで撮影するとこんな感じ。
トスア・オーシャン・トレンチ その2 - Spherical Image - RICOH THETA
◆サモアの美しい海を最新の水中ドローンで撮影してみた
「サモアの綺麗な海を皆さんに味わってほしい」ということで、今回は最新の「水中ドローン」を導入しました。こちらが最新の水中ドローン「CCROV」。カメラが内蔵された本体にケーブルを繋げて、ラジコンのような送信機で操作します。
この水中ドローンを最大限に生かすため、今回はダイビングショップ「Pure Ocean」の協力を得て、綺麗な珊瑚礁へ向かいます。
岸から5分ほどで、撮影ポイントに到着。あいにくの曇天です。
さっそくドローンを着水して、撮影を開始。
いきなり立派な岩とサンゴがお出迎え。
魚を発見。
カメラに向かって反応してくれる魚たち。
周辺にも、様々な種類の魚が泳いでいます。ドローンの操作にも慣れてきたので、もう少し進むことに。
と、ここでサンゴに突撃してしまいました。
サンゴから、青くて小さい魚たちが出てきました。
人間が潜っていないためか、警戒はしつつもドローンに寄ってきてくれます。
最後は、ポイントを案内してくれたダイバーさんを撮影。お世話になりました。
◆人気の「Sunrise Restaurant」でランチ
これまでのドメイン島巡りで思ったのは、その土地で人気のレストランを探すなら、タクシーの運転手に聞いてみるのが良いということ。今回運転手にオススメされたのは、アピアにある「Sunrise Restaurant」です。
行ってみると、お昼時ということもあって多くの人が買いに来ていました。
どうやら、ウインドウに並んだ料理から好きなものを選んでいくスタイルのようです。
ガーリックトーストや手羽元の煮物など、さまざまな食べ物が並んでいます。地元の人たちが何を買っているかを見て、ほぼ同じものをオーダー。購入したものはお弁当箱や紙皿に詰めてもらえるので、テイクアウトが可能です。今回は、せっかくなので併設されているイートインコーナーを利用してみました。
こちらがイートインコーナー。
スペースも狭いのですが、何よりも気になるのがテーブルに残された食べ残し。ゴミ箱もなく、片付けることができない状態でした。
気を取り直して、購入したものを見てみると、3種類の料理をオーダーしましたが、1枚のプレートにまとめて盛られています。正面に鎮座しているのは、揚げたてジューシーなフライドチキン。鶏肉にスパイスが効いているというわけではないのですが、ちょうど良い塩加減です。ケチャップをつけて食べるとさらにグッド。
続いて、ラム肉と野菜の炒め物。ラム特有の野性的な臭いと味は残っていますが、日本の野菜炒めと近い味わいで食が進みます。
最後は、チャーハン(フライドライス)です。こちらも日本と変わらない味で安心。海外でご飯系の料理を食べるとお米がボソボソしていることがありますが、このお店のチャーハンはふっくらと仕上がっています。このボリューム満点な3品で、17サモアドル(約760円)です。
「何を食べても美味しいのではないか」という期待から、16サモアドル(約720円)の麺料理も頼んでみることにします。こちらは牛肉と野菜が入っており、スープはフォーのように透き通っています。麺は極細ですが、出汁の効いたスープによくマッチしており、満足な仕上がり。
やはりタクシーの運転手に聞いたのが正解だったのか、とても良いランチを食べることができました。また、サモアで取材をしていると、地元の人から「ビールはもう飲んだ?」とよく聞かれました。ドイツが領有していた時代があったためか、サモアでは地ビールが有名とのこと。特におすすめされた銘柄が「Vailima(ヴァイリマ)」。地元のお店では、4サモアドル(約180円)ほどで購入できます。
ラガー特有のほどよい切れ味と苦味を持っており、さっぱりした味わいです。暑い時によく冷やして飲むのが良さそう。ヴァイリマのロゴTシャツなどもお土産に良いかもしれません。
◆サモア唯一の「アレ」
次にやってきたのは「SSAB」というお店。家電から文房具など、食品以外の様々なものを購入できます。
店内に入る前に、気になる看板を発見。持っているカバンを店員さんに預けるようです。
看板に書かれている通り店員さんにカバンを預けると、引き換えに札を渡されました。帰るときは、この札を出してカバンを返してもらうというシステムです。
店内を歩き回ると、2階へ続くエスカレーターを発見。
これが、探し求めていた「サモア唯一のエスカレーター」です。
噂によると、エスカレーターが設置されているお店は、サモアの中でもこのSAABのみだそう。確かに、ホテルもデパートも階段のみで、エスカレーターはありませんでした。
そういえばサモアでラグビーが盛んなのは、普段から階段を使っていることによって地元の人たちも選手たちのように足腰が自然と鍛えられてしまうのが一因かも。
◆現地でのSIM購入方法&速度調査~サモア編~
海外から来る人用のWi-Fi接続サービスが増えてきていますが、場所によってはカバーされていない区域もあり、そういった場合には現地のSIMを購入するという手段があります。サモアでは「bluesky」と「Digicel」という通信会社がポピュラーなようで、ファレオロ国際空港の敷地内でどちらのSIMも購入可能です。
こちらはblueskyの店内。
blueskyの最安値は、24時間利用可能で50MBのプラン。2サモアドル(約90円)で販売しています。
Digicelの最安値は、24時間利用可能で500MBのプラン。こちらは、3サモアドル(約135円)です。
どちらも購入にあたり難しい制約などはなく、簡単な英語のみで購入することができました。
さっそく首都のアピアでDigicelを使ってみるとまずまずのスピード感で、レストランの検索なども行えます。
実際にインターネット回線の速度テストサイトで計測してみると、4.0Mbpsと標準的な速度でした。アプリなどによっては思うように動いてくれないかもしれません。
続いては、bluesky。こちらは7.9Mbpsでした。Digicelと比べるとより快適です。
今回取り上げた2社は、どちらも使っていて大きな問題はありませんでしたが、より快適さを求めるならばblueskyが良いかもしれません。
◆在サモア日本大使館へ行ってみた
海外でパスポートをなくしてしまった場合は、現地または近くの日本大使館へ連絡するべきですが、基本的には行く機会がありません。そこで、サモアにある大使館はどのような場所にあるのか探してみることにしました。外務省のページに記載された住所へ行ってみると、スーパーや飲食店が入っている複合施設に到着。
大使館の入っているビルは3階建てで、1階には飲食店が集まっていて賑やか。階段をのぼって、大使館のある2階へ向かいます。
大使館を発見。海外で「日本」という言葉を見ると少し安心します。
これが正面玄関ですが、「大使館」というイメージとは少し違った印象。
大使館内部は基本的に撮影NGですが、許可を得て撮影させていただいたのが以下の写真。奥には大使館員に対応してもらえる対応窓口があり、隣にはサモアと日本の国旗が飾られています。それほど広くなく、こじんまりとした空間でした。
在サモア大使館は2017年1月1日に新設されたそうで、サモアの人が日本を訪れる際のビザ発給などにも対応しているそうです。
◆サモアの噂
サモアを訪れる前に浮かんでいたいくつかの疑問を、滞在したホテルの従業員やタクシー運転手にぶつけてみました。
・「サモア島の歌」って知ってる?
日本では、人によっては小学生の時に「サモア島の歌」を歌ったことがあり、記憶に残っている人もいるはず。本国ではどの程度の認知があるのかを確認したところ、質問した6人全員が「聴いたことがある」と回答してくれました。しかし、サモアについての歌詞ではなく、曲名も不明とのこと。なかには、教会で歌われている曲だと答えてくれた人もいました。
サモア島の歌 - YouTube
・噛みかけのガムを食事前に顔に貼り付け、食事が済んだら貼ったガムを噛むって本当?
これはサモアのWikipediaに記載されていたもので、「サモアの常識」とされているのだとか。実際に聞いてみると、20代の女性は「そんな話は聞いたことがない」とのことだったのですが、30代の男性に聞いてみると「知っている」という回答が出てきました。しかし、「その文化は今から15年程前にあったもので、現在はやっていないよ」とのこと。以前は確かにあったようです。サモアのどこかにはまだその文化を受け継いでいる人がいるかもしれません。
・サモアの母親は女王蜂のように肥満化して君臨しているのか?
これもまたWikipediaに記載されていたものですが、要約すると「母系社会のため、子どもは独立するまで母親の面倒をみている」ということのようです。かなり辛辣な言葉で記載されているのでこのまま質問するのは失礼だと思い、やんわりとホテルの男性従業員に聞いてみました。すると「確かに母は君臨しているよ」と教えてくれました。また、肥満化ということについては、サモア全体で男女共に問題視されているそうです。町には、国が作成している糖尿病や高血圧への注意喚起の広告が出されています。
一方で、ふくよかな女性の人気が高いなど、肥満の解決は少し難しいのかもしれません。
結果的に、正しいこともありましたが、風化している文化や常識がいくつかあるようでした。
◆天気が悪くても楽しいサモア
「ポリネシアン・ダンス」はサモアを含めたこの地域一帯の伝統です。ダンスショーを毎晩開催しているホテルもあるので、興味がある人はあらかじめチェックしておくのが良さそう。
トスア・オーシャン・トレンチのある海岸。遊歩道があり、晴れていたら絶景ポイントになります。
町で見られる露店
市場では、カラフルな民族衣装が購入できます。
「Vae moa」は日本語で「鶏の足」です。要するに「フライドチキン」のことで、1ピースが日本円で約113円となっており、市場をはじめ、いろいろな場所で売っていました。
特徴的なゴミ捨て場がありました。サモアは野良犬が多く、ゴミを漁ることを避けるために少し高い位置に設置されているのかも。
◆「.ws」ドメインであふれる町
記事冒頭にも記載した通り、サモア独立国は西経171度線を境として西側に位置しているため、英語では「Western Samoa(西サモア)」と表記されています。そのため、ccTLDは「.ws」となっています。日本では見かけることの少ない「.ws」ドメインですが、地元のサモアでは使われているのかを確かめるため、アピアの街中を歩いてみました。歩いていてまず目に止まったのはカラフルなバス。アピアから他の村への交通手段として、地元民に広く使われているようです。
インターネットカフェを発見しましたが、残念ながらお店のメールアドレスに使用していたのは世界中で広く使われている「.net」ドメインでした。
お店は小さいながらも、利用者で満席状態。仕事で利用しているのか、YouTubeなどを鑑賞しに来ているのかが気になるところです。
ついに「.ws」ドメインを発見しました。どうやら地元のプロバイダーのようです。
オフィスのウインドウにもしっかりと記載されていました。
他にも多くの「.ws」ドメインを発見することができました。まずは宝石店。
旅行会社
不動産会社
町で見かけた「.ws」ドメインをみると、様々な業種で使われているようです。なお、「.ws」ドメインは新規取得時に絵文字が使えるという特徴があります。例えば、以下のように。
「💩」が10個まで取得済みとは、なんという人気なのでしょうか。もちろん、この他にも絵文字を使用したドメインが取得可能です。どんな絵文字で登録できるのかは、こちらで検索することができます。
◆「うんこ」以外の絵文字でも使われている「.ws」
絵文字が使えるということで、「💩」ばかりに気を取られてしまいがちですが、「💩」以外の絵文字を使って運用されているホームページも調べてみました。以下にピックアップしたサイトは全てリダイレクト用として、絵文字ドメインを使っています。
You've Got Crabs
http://🦀🕹.ws/
Digitale geletterdheid
http://😛🍪🏀👑🖋🍆🍉📺.🍕💩.ws/
Damian Pokorski Portfolio
http://🖥📱🕹️.ws/
なお、今回のドメイン島巡りで行った場所は以下のような感じです。
サモアまでのアクセスはこちら
.wsドメインの詳細、お申込みはこちらからどうぞ。
(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)
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