釣りをする豚がいる島「トンガ王国」で王国民の温かさや暮らしぶりを体感してきた【インターリンク ドメイン島巡り 第6回「.to」】
「外国に行きたい!」と思っても、実際に行くとなると現地の治安や食事のことが心配になって、なかなか行動に移せない人もいるはず。インターリンクは島のドメイン約50種類に焦点をあて、時には片道40時間をかけてツバルまでも訪れてしまうというとんでもない企画をしており、毎回、インターネット上にはない現地ならではの情報を集めています。ドメイン島巡り第6回目となる今回は、「.to」のccTLDを割り当てられたトンガ王国へ行ってきました。
ドメイン島巡り – 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。
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◆トンガ王国、どこにある?
トンガ王国(以下、トンガ)は南太平洋に浮かぶ約170の島で構成されている国家で、オセアニアのポリネシア地域に属しています。今回は首都のヌクアロファがあるトンガ最大の島「トンガタプ島」へ行ってきました。
目次
◆自然が作り出した絶景スポット「フファンガルペ」
◆プライベート感満載の穴場ビーチ
◆釣りをする豚を発見
◆トンガのお昼ご飯はこんな感じ
◆現地でのSIM購入方法&速度調査~トンガ編~
◆最後の希望はネットカフェ
◆トンガの市場を散策してみた
◆ワンコの楽園
◆首都「ヌクアロファ」を歩き回ってみた
◆「.to」ドメインがもたらす豊かさ
◆自然が作り出した絶景スポット「フファンガルペ」
日本から約15時間でファアモツ国際空港に到着しました。現地の時刻は19時過ぎ。
飛行機を降り、歩いて入国審査に向かいます。到着ゲートは、ゴルフ場のクラブハウスのような見た目です。
入国手続きを済ませ、タクシーで約40分かけて首都のヌクアロファへ移動。ホテルに到着した頃には、夜も深くなっていたためこのまま就寝しました。
翌日は快晴。さっそく、トンガの絶景ポイントへ向かいます。
ヌクアロファから車で約30分。到着したのは、島の南側にある海岸です。波の音は聞こえますが、一見するとただの草原という感じ。
あぜ道を進んでいくと、目の前に直径数十メートルの「縦穴」が出現しました。
恐る恐る真下をのぞき見るとこんな感じ。かなりの深さがあり、下の方には水が流れています。
ようやく全体が見えました。これが、絶景ポイントの「フファンガルペ」です。岸壁の一部が波によって削られて、橋のような構造をしていることが分かります。ちなみに、この名称を日本語に訳すと(PDFファイル)「鳩の門」 という意味だそう。確かに見方によっては「門」のように見える気もします。
別の場所から見ると、崖下に大きな穴が空いていました。この部分から、門の中へ海水が流れて行くようです。
ドローンを飛ばしてフファンガルペを真上から撮影すると、日本では見ることができないダイナミックな光景を撮影することができました。なお、フファンガルペには柵などが設置されていないので、訪れる際は落ちてしまわないように注意が必要です。
フファンガルペは、すばらしい眺めと、少しスリリングな体験ができるスポットでした。
ドローンで撮影した映像は以下から見ることができます。
フファンガルペの絶景をドローンで撮影 - YouTube
◆プライベート感満載の穴場ビーチ
他のポリネシアの島々と同様に、トンガでもリゾートやマリンスポーツを楽しむことができます。その中でも、「ハアタフ・ビーチ」は海が美しいことでサーファーたちにも人気とのこと。しかし、有名どころを見に行っても面白みがないということで、ハアタフ・ビーチの隣にある「カノクポル・ビーチ」へ。到着するとすぐに、鮮やかなハイビスカスによるお出迎えを受けました。
カノクポルにはヴァカロアビーチリゾートという宿泊施設がありますが、取材時は閑散としていたので、さっそくビーチへ向かいます。
少し雲が多いのが残念ですが、ビーチの砂も白に近く綺麗です。遠くにシュノーケリングをしている人がいましたが、ほとんど無人状態でプライベートビーチと化していました。
ビーチへバカンスに来た犬も発見。
日差しが出たら、木陰で一休み。
海水浴らしいにぎわいは感じられませんでしたが、心身ともにリラックスしてのんびりしたバカンスを過ごすにはピッタリな場所でした。
カノクポル・ビーチをドローンで撮影 - YouTube
カノクポルからほど近い「コロバイ」という地域にはオオコウモリの保護区があります。地図を頼りに着いた空き地で、柵に囲まれた1本の大きな木を発見。
カメラを徐々にズームしていくと……
明らかに木の実ではない物体がいくつか吊り下がっています。これがオオコウモリ。
さらにズームしてみるとこんな感じです。翼を広げると2メートルほどの大きさになりますが、普段はフルーツを食べるということで「フルーツバット」とも呼ばれています。同じオセアニアでも、パラオなどでは食材として扱われていますが、トンガでは神聖な動物とされているため、こういった保護区が設けられています。
◆釣りをする豚を発見
トンガタプ島はそれほど広くありませんが、徒歩での観光は困難です。今回は、タクシー運転手のラタさんの協力を得て、島の様々な場所を取材しました。
島の南海岸にある「ブローホール」では、岩場にある石灰石の通気孔から海水が吹き上げられていく様子が見られます。
吹き上がった水柱は最高20メートルまで達するとのこと。
よく見ると、うっすらと虹が出ていました。
島の東側にあるニウトウアに行くと、1200年頃に建造された「ハアモンガ・ア・マウイ」と呼ばれる古代ポリネシアの遺跡を見ることができます。辺りには柵が設置されて、公園のような作り。
近づいてみるとこんな感じ。
しかし、残念なことに取材が日曜日だったため、古代遺跡もお休みでした。
トンガに暮らす人々の多くはキリスト教を信仰しており、日曜日は「安息日」とされているため、個人商店やレストランなども一部を除いて休業となります。以前、日本の相撲部屋にもトンガ人の力士たちがいましたが、安息日など文化の違いから騒動になったことが思い出されます。
遺跡からほど近い海岸でタクシーが止まりました。ラタさんいわく「フィッシング・ピッグがいるよ」とのこと。一体何のことだかわかりませんでしたが、とりあえず車を降りると、潮溜まりで何かを漁る動物に遭遇。
よく見てみると、真剣に海の中を見つめ、まるで釣りをしているような豚でした。
フィッシングピッグが真剣に海中を見つめて餌を探す様子(トンガ) - YouTube
付近で「フィッシング・ピッグ」の看板を発見。多くの家で豚を飼育しているトンガではよく見られる光景で、豚は貝や海藻などを採って食べているようです。なお、フィッシング・ピッグは陸で育った豚よりも塩気がきいていて味がよいとのこと。
こうして育っていった豚は、安息日に丸焼きとなって振舞われます。
実際に食べた豚は陸の豚だったのか、皮がない部分に味がなく、グニグニとしているのであまりオススメできません。
◆トンガのお昼ご飯はこんな感じ
都心部から離れると、似たような葉を持つ植物をよく見かけます。
これはヤムイモなどのサトイモ科の植物です。トンガでは、こうした芋類が主食にされています。
道中、一軒の家に到着。当初の予定にはない場所のため困惑していると、「我が家だよ!」とラタさん。この辺りの自由さは、外国に行った際によく感じます。タクシーを置いて家に入ってしまいました。
テラスでは、子どもたちが遊んでいました。どうやら、こちらに気づいた様子……
すぐさま車に乗り込んできました。
車内からペットボトルの水を勝手に持っていき、この表情。ラタ家の3兄弟なのか、わんぱくなキッズ集団です。
それとなくナインティナインの岡村隆史さんに似ている気がしたため「岡村くん」と呼んでみると、「オカムラ!オカムラッ!」 と笑い転げる男の子。日本の挨拶として認識されてしまったかもしれません。なお、日本という国は知らないようでした。
普段から子どもたちのやんちゃに付き合わされているのか、飼い犬の顔には疲れが見えます。そうこうしている間にラタさんが戻ってきて、自宅のランチに招いてくれました。
この日のランチは3品。まずは、きゅうりのスライス。味付けはされていませんが、青臭さはあまり感じませんでした。
続いて、塩漬けにした豚肉をヤムイモの葉で包んだ蒸し料理。オセアニア地域では(PDFファイル)「ウム」と呼ばれる伝統的な蒸し料理法があり、このメニューにはそういった起源を感じることができます。シンプルな料理ではありますが、豚肉の旨みや柔らかさを味わえました。
最後は、地元で採れた貝を使ったクリームチャウダー。ココナッツミルクが使われているのが特徴的で、エスニック料理にも通じる味です。付け合わせは蒸したヤムイモで、チャウダーにつけて食べるのがラタ家流とのこと。ヤムイモには、後からほんのり甘みを感じられる素朴さがありました。
追加で出てきたのは、タロイモのマッシュ。白米よりも早くお腹が膨れていくのが分かります。
ラタさんの協力により、島の様々なスポットを巡ることができ、本当の家庭料理を味わえた貴重な体験となりました。
◆現地でのSIM購入方法&速度調査~トンガ編~
海外では旅行者向けのWi-Fi接続サービスが増えてきていますが、場所によってはカバーされていない区域もあり、そういった場合には現地のSIMを購入するという手段があります。トンガでは「Digicel」と「UCall」という通信会社がポピュラーなようで、どちらもファアモツ国際空港で購入できます。今回は、サモアへ訪れた際も調査を行ったDigicelを試してみました。
Digicelは街中に大きな店舗があります。
購入したのは、1週間で500メガバイトが使えるプラン。5トンガドル(約280円)でした。
SIMを取り出してスマートフォンに挿したら、裏面の手順にしたがって設定を行います。
SIM挿入後に「122」番に電話をかけてアクティベーションしないといけないのが少し面倒。
さっそく首都ヌクアロファで使ってみると、かなりのスピード感で、検索などには問題ありません。
実際にインターネット回線の速度テストサイトで計測してみると、6.9Mbpsとまずまずな速度です。
しかし、場所を変えてみると、急激な速度低下が発生して利用できない状態になってしまいました。
その後も同じような状況が続き快適にインターネットを利用することが難しい状態で、結果的にDigicelは場所によっては繋がらなくなってしまうという不安定さがありました。
◆最後の希望はネットカフェ
現地のSIMカードは思うように使えず、Wi-Fi接続サービスがあるホテルに宿泊してもインターネットは使えず、すっかりネット難民となってしまった時、ヌクアロファでインターネットが利用できるカフェを発見。わらにもすがる思いで、早朝から行ってみました。
こちらの「Friends Cafe」で、無料Wi-Fiが利用できるようです。
店内は落ち着きのある色のインテリアで統一されており、どこかヨーロッパに来たかのような雰囲気。お店の奥には、トンガのお土産が並ぶコーナーも設置されていました。
せっかくなので、朝食を頼むことにしました。メニューの上に書かれた「MALO‘E LELEI(マロエレレイ)」とは、トンガ語で「こんにちは」という意味です。
さっそく運ばれてきた「カフェラテ」は、レギュラーサイズで5トンガドル(約280円)。専用マシンによって抽出する香ばしいエスプレッソと、フォームドミルクの相性の良さは万国共通です。
続いては、朝食プレート。目玉焼き2つに、オリーブオイルを塗ったチャバッタのトースト付きで13トンガドル(約730円)でした。チャバッタはイタリア発祥のパンで、メニューへのこだわりも感じられます。
朝食が揃い、いよいよインターネット接続の手続きを進めます。店員さんに「Wi-Fiを使いたいのですが」と聞くと、一枚のレシートをくれました。レシートには、ユーザー名などの接続情報が書かれています。スマートフォンの「設定」から対象のSSIDを選択しパスワードを入力……したのですが、なぜか接続できません。よく見ると、この接続情報は2018年4月11日から61日間有効との記載を発見。すでに有効期限が過ぎていました。
店員さんにその旨を伝えると、期限内のレシートが出てきました。しかし、それでも接続ができず、結局、最後までインターネットは使えない状態のまま……。なお、Friends Cafeは月曜から土曜の朝7時~22時まで営業しています。ネット難民に関わらず、一息つきたいときにはぴったりなお店です。インターネットは使えませんでしたが、早朝から美味しい朝食を取り、穏やかな朝を堪能できました。
◆トンガの市場を散策してみた
タラマフ・マーケット(市場)は、月曜日の朝から始まります。ここは青果を専門に販売しており、地産の野菜などを購入することができます。
主食となる芋類を発見。
細い方は日本の長芋にそっくりです。
色鮮やかな唐辛子
ズッキーニよりも大きなきゅうり
白菜は1つ約170円
立派なキャベツ
見慣れたサイズの野菜も売られていました。ナスは束で約170円。
市場の一角に売られていたカボチャ。トンガではカボチャを食べる習慣がなかったそうですが、気候が栽培に適していると考えた日本企業が種を持ち込んだことがきっかけで広まったそうです。Wikipediaによると「現在はカボチャの輸出がトンガ経済の柱」とのこと。日本のスーパーマーケットでカボチャを見かけた際は、原産地をチェックしてみるとトンガから輸入されたカボチャを発見できるかもしれません。
トンガで栽培されているのかは不明ですが、リンゴやオレンジなどのフルーツも多く売られています。
市場の外には、好きなフルーツをジュースにしてくれるお店もありました。
民芸品コーナーは、お土産を買う場所としても良さそうです。
バレーボールを発見。離島に来て無性にトスを上げたくなっても大丈夫です。
洋服屋を発見。Wikipediaには「トンガの婦人靴の最小サイズは26cm」という記載がありましたが、実際には様々なサイズの靴が売られていました。サンダルの品揃えが良いのは、ポリネシア流かもしれません。
タラマフでは肉や魚は売られていないものの、日用品はだいたい揃ってしまう素敵な市場でした。
◆ワンコの楽園
ペットが逃げてしまったのか、それともフリースタイルな飼育方法なのか、島の至る所で犬を見かけます。その遭遇率は、これまで取材した6島の中でもトップでした。
ビーチに佇むわんこ
道路を横断するわんこ
子わんこ
黄昏わんこ。町中では道路に犬が飛び出してくることがしばしばあります。
◆首都「ヌクアロファ」を歩き回ってみた
天気が良いので、首都のヌクアロファを歩いてみることにしました。サロート通りは住宅が多く、犬の鳴き声は聞こえるものの基本的に閑静でした。
トンガ国立準備銀行に、なぜか日本の国旗を発見。この建物の中に、在トンガ日本国大使館があるようです。しかし、銀行ということもあり警備がかなり厳重で、取材はNGでした。
南国らしくヤシの木が多く見られますが、取材時は肌寒く長袖の上着が手放せませんでした。
「American Wharf」と呼ばれる埠頭(ふとう)には、若いカップルや1人で音楽を聴いている人など様々な人がいました。この辺りに住む人にとっては、憩いのスポットになっているのかもしれません。
海水の透明度が高く、泳いでいる魚を見ることもできました。
続いてタカウノープ通りをうろうろしていると、大きなパラボラアンテナが設置してありました。
パラボラアンテナの近くで「A.Cowley & Sons」というパン屋を発見。看板に「王国のためのパン」と書かれており、かなり気になったので入ってみます。
店内に入ると、真正面に「Baking it Better Since 1893(1893年から、よりおいしくパンを焼いています)」と書かれているのが印象的。
地元の人だけでなく、観光や仕事で来たような外国の人がパンを買いに来ていました。
ウィンドウには、手作りのサンドウィッチやパイが並んでいます。
ドーナツやマフィンなど、スイーツ系も充実。
悩んだ結果、アールグレイのマフィンとベリーのタルトを購入。マフィンはしっとりした生地で重みがあります。タルトは小さいながらもベリーのソースがたくさんつまっており、食べ応えが抜群。どちらもかなり甘いのは、国王のお好みなのかもしれません。2つ合わせて、3.5トンガドル(約200円)でした。
日曜日に営業している数少ないレストランの1つ「Kimiko Chinese Restaurant」は、ヴナ通りにあります。営業時間前に行くと廃墟のような雰囲気が漂っていました。
営業時は、ウィンドウに出ている料理を購入したり、レジ前のメニューから注文することが可能。気になったチャーハンと焼きそば、それから謎の揚げ物を頼んでみます。
チャーハン(約280円)は、ドメイン島巡りの定番メニューと表現しても過言ではありません。
オイスターソースを使っていると思われる焼きそば(約450円)ですが、油分が多く、人によっては苦戦必至。
こちらが謎の揚げ物(1本あたり約60円)。口にしてみると、ソーセージの周りに衣が付けられており、アメリカンドッグ的な食べ物であることが判明しました。店員さんがかけてくれるケチャップの量も絶妙です。
毎日朝9時から21時までの営業ということで、安息日に旅程が重なった場合でも問題ありません。ただ、1回行くとかなり満足できるので、滞在中に再び訪れることはありませんでした。
この他にもドアノブが存在しない車や、営業しているか不明なDVDショップなども発見。日用品が売られているお店がいくつかありますが、品揃えはほとんど同じでした。
たくさんの見所があるトンガですが、首都を歩いてみるだけでも様々な発見や出会いがあったので、目的を設定せずにただただ近場を歩き回ってみるのも良さそうです。
現地取材からの帰り際、せっかくなのでファアモツ国際空港の昼間の様子も撮影してきました。
入口はこんな感じ。
中には軽食が食べられるカフェもありました。
◆「.to」ドメインがもたらす豊かさ
現地を取材してみると、「.to」ドメインはスパや、地域の航空会社など、客をもてなすサービスを提供している企業でよく使われていることがわかりました。
リラクゼーションスパの手書き看板。
「本当のトンガ」と銘打たれた航空会社のドメイン名。
ドメインは旧来の「インターネットにおける住所」という存在から、あるコンテンツやサービスを象徴する「名刺」のような存在へと変革しています。日本では前者の認識が多いかもしれませんが、トンガのように自分たちのサービスや文化について発信するための強い相棒としてドメインがさらに使われていくと良いなと思います。
なお、今回のドメイン島巡りで行った場所は以下のような感じです。
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(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)
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