新型コロナウイルスのパンデミックに直面する社会全体が意識すべきこととは?
安倍晋三総理大臣は2020年4月7日に緊急事態宣言を発令しました。これにより、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県では、4月8日(水)から5月6日(水)までのおよそ1カ月間にわたって不要不急の外出を控えるよう強く要請されることとなり、休校や大規模施設の使用制限要請なども行われるようになります。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために社会全体が取り組むべき封じ込め対策について、数学者でありながら疫学者でもあるアダム・クチャルスキー氏が解説しています。
How can we control the coronavirus pandemic? | Adam Kucharski - YouTube
◆Q1:感染症の突発的な流行に対する「封じ込め」はどういう意味を持ちますか?
「封じ込めとは、大まかに言うと『感染者と接触者の管理に努めるということ』であり、多くの人には影響がありません。感染者が接触して感染した可能性のある人を調べ、必要があれば隔離し、さらなる感染の拡大を防ぎます。2002年~2003年にかけてSARSが世界的に流行した際には、この方法は非常にうまくいきました。しかし、COVID-19については見落とされたり検知されなかったりしたケースもあり、感染の可能性がある大きな集団を把握しなければならないかもしれません。取りこぼしがあればアウトブレイクにつながる可能性もあります」
◆Q2:封じ込めが十分でなかった場合、次に何が待ち構えていますか?
「その場合は人々の社会的交流を大規模に変えることになります。すべての人々に対して、感染を広める機会になる他人との濃厚接触を減らしてもらい、感染拡大を抑えます。生活スタイルを変えて人混みやレストランに行くのを避けたり、休校という対処を取ったりして、人々の社会的接触を減らそうとすることになります」
◆Q3:みんなが意識しなければならないリスクとは何ですか?
「例えば人と握手をする場合、『自分が誰かと握手する』ことだけではなく、『相手が次に誰と握手するか』という二次的なことにまで気を配る必要があります。たとえ自分は感染するリスクや重症化するリスクが低くても、発症すれば重症化する可能性のある人と間接的に接触する可能性もあります。私たちは社会全体を考慮しなければなりません。自身の行動を劇的に変化させることを考えなければなりませんが、私たちが直面している現実に対応するために必要なことなのです」
◆Q4:他の人とどれくらい距離を取る必要がありますか?
「正確に距離を述べるのは難しいですが、エアロゾルの拡散を考慮してもおよそ2メートル~3メートル離れるのがよいとされています。新型コロナウイルスの感染はほとんどの場合、食事や密集した状況で発生しています。ウイルスが物の表面につき、それが顔や手につくため、人との距離が近い状況についてもっと気にかけるべきです」
◆Q5:各国はどのような保護基準を取るべきでしょうか?
「世界各国はCOVID-19やその感染拡大に何が有効なのか、まず情報を集めている段階だと思います。強い政治的介入によって社会の動きを制御することで感染が抑えられるとわかったのも2020年3月に入ってからのことです。その方法の中には、社会的、経済的、あるいは心理的に大きな負担を強いるものもあります。また、長期間封じ込めを行うことは困難です。人々に負担を強いる一方で、その負担を減らす上で最も有効な策は何か、そのトレードオフを考えることが重要です」
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