新型コロナウイルス対策に有効な「社会的距離をとるための具体的な方法」を専門家がわかりやすく解説するムービー
アメリカやイギリス、そして日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が増え続ける中、「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)」という言葉が注目を集めています。社会的距離を保つ行為としては、人混みを避けたり自宅にとどまったりするという「人との関わりを避ける行為全般」が挙げられますが、「具体的にどうすれば社会的距離を確保できるのか?」という疑問に対して専門家が回答するというムービーがYouTubeで公開されています。
Social distancing during coronavirus, explained by an expert - YouTube
ペンシルバニア大学家庭医学・公衆衛生学科の准教授であり、社会疫学の専門家でもあるキャロライン・カヌーシオ氏は、「今は他人との接触を避けるべきです。今すぐに」「私たちの生活は今、根本的に変わるべきだと思います」と語りました。
カヌーシオ氏は、「社会的距離をとるための具体的方法」として「他人と直接会わないようにする」「可能な限り自宅で働く」「屋外での握手・ハイタッチ・ハグを控える」
「公共の場では他人と180cm以上離れる」「都市から都市への移動は最大限避ける」「集会・映画館・スポーツ観戦などに行かない」といった行為を挙げています。
以上のような社会的距離をとるための方法は、「くしゃみ・せき・唾液による飛沫を避け、飛沫感染を防ぐことを目的としています」とカヌーシオ氏は説明。
「小規模な集まりについてはどうお考えですか?『何人までなら安全だろう』といった目安は存在しますか?」という質問に対して、カヌーシオ氏は「人によって意見が分かれる問題ですが、私は保守的な見方をしています。私の子どもは『ママ、もし外出制限がかかっても、せめてディナーパーティーくらいは大丈夫だよね?』と聞いてきましたが、私は『ダメよ』と言いましたよ」とコメントして、どれだけ小規模な集まりであっても推奨しないと述べました。
「他人との接触を最小限にとどめておく必要があります。それが原則だと思います。必要なこと以外は、制限すべきです」
「人と出会わないような外出はどうでしょうか?」という質問については、「私はかなり早い時間に起きて出かけるか、人とほとんど出くわさないような森で散歩することはあります」と返答。
カヌーシオ氏は、当時の世界人口の4分の1に感染したといわれる「スペインかぜ」では、行軍する軍隊が流行を長続きさせた原因の1つだと説明して、「人の移動が感染を持続させる要因になります」「旅行も行軍と同様に、感染症の流行を持続させます」と述べました。
特に飛行機は密閉された空間で他人との接触が長時間続くため、最悪の状況とのこと。
公共交通機関については、「仕事に向かうため、多くの人にとって公共交通機関は必要です。しかし、感染リスクを抑えるためにできることがあるかもしれません」と述べて、「通勤ラッシュを避ける」「可能ならば徒歩・自転車・車で移動する」ことを挙げました。
また、高齢者などの重病化リスクが高い人々をケアする方法について、カヌーシオ氏は「高齢の家族と同居している場合は、外との接触を徹底的に減らすべき」と助言。
一人で暮らしている高齢者については、カヌーシオ氏は自身の母親を例として挙げて、「私や娘は1日に何度も母に電話したり、Googleハングアウトで一緒にゲームをプレイしたりしています」「お互いに愛を伝え合うための手段を欲しているんです」とコメントして、オンラインで交流することが支えになっているという自身の経験を語りました。
「いつまで他人との接触を避け続けるべきでしょうか」という質問に対して、カヌーシオ氏は「わかりません」と明言。「いつまで続くのかがはっきりと分かって、みんなを安心させられるといいのですが。この状況は永遠には続きませんが、気が詰まるくらい長く続くと考えられます」と回答しました。
他人との接触を避け続けなければならない現況について、カヌーシオ氏は「実際に会わずに、他者と交流する方法が妥協点です」とコメント。「テレビ電話を使う」「イタリアの人々のように窓から友だちと一緒に歌う」「電話を通して愛する人のために音楽を奏でる」「高齢者に孫の声を電話で聞かせてあげる」といったことを通して他人と交流することを推奨。
そして、慈善団体への寄付を行うように勧めた上で、「他人との接触を避けることで、他人の健康に対して可能な限りの貢献をしていると信じましょう」と説きました。
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