新型コロナウイルスの感染を家庭内で広げないためにはどうすればいいのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴って、各国は不要不急の外出を控えるように要請したり、都市全体を封鎖したりといった対策を行っています。しかし、同じ家に住む家族との接触を絶つことはできないため、「同居する家族から新型コロナウイルスをうつされたり、自分から家族にウイルスをうつしてしまわないだろうか」と心配な人も多いはず。「家庭内での新型コロナウイルス感染を防ぐ方法」について、ネバダ大学ラスベガス校の専門家たちが解説しています。
How do we protect ourselves at home during coronavirus, and what if someone has been exposed? 4 questions answered
https://theconversation.com/how-do-we-protect-ourselves-at-home-during-coronavirus-and-what-if-someone-has-been-exposed-4-questions-answered-133992
新型コロナウイルス対策として「社会的距離」が盛んに提唱されている背景には、物理的な接触を減らすことで各個人の感染リスクを抑えられるという考えがあります。しかし、外出を控えることで他人との接触を控えることができても、同じ家に住んでいる家族との接触を完全に断つことは困難です。
もし同居する家族に免疫システムに問題を抱えている人がいる場合、他の家族は「自分が新型コロナウイルスを感染させる可能性があると想定して行動する必要がある」と専門家らは主張。対象となる人との直接的な接触は可能な限り避けて、医療従事者と同様に接触の前には手を洗うべきだとのこと。また、他の家族は免疫システムに問題を抱える家族に対して6フィート(約1.8メートル)の距離を保ち、その人が外出せずに済むように食料の購入などの作業を率先して受け持つことも重要となります。
その一方で、感染症が流行するといった不安定でストレスの多い時期においては、他者との感情的な相互作用を維持することも精神を安定させるために必要です。それでも、やり取りはテキストメッセージや通話、ビデオチャットなどに留めておき、親戚あるいは友人の元を訪ねたり、外泊したり、パーティーやデートをしたりするべきではありません。また、COVID-19のリスクが高い両親や祖父母、高齢の友人などとの接触も控えるべきだそうです。
また、世界各国において感染が広がっている現状では、「家族の誰かが新型コロナウイルスに感染してしまった」という事態も十分に考えられます。新型コロナウイルスに感染すると必ず症状が出るわけではありませんが、症状が出ていない段階でも他の人に感染する可能性があると指摘されています。そのため、家族の誰かが新型コロナウイルス陽性だと判明した場合は、たとえ症状が出ていなくても感染に十分注意する必要があるそうです。
検査で新型コロナウイルス陽性であると確認された人は、少なくとも6フィートは他の家族から離れて社会的距離を保ち、可能であれば別の部屋にとどまることが望ましいと専門家らは指摘。また、衛生状態には気をつけてこまめに手を洗うほか、共有の家庭用品や調理器具の使用も控えるべきだとのこと。特に、どうしても手が触れやすいスマートフォンやリモコン、ゲームのコントローラー、照明のスイッチ、蛇口、トイレのレバーなどは定期的に除菌することが推奨されています。
さらに、「家族の誰かが新型コロナウイルスに感染し、COVID-19を発症してしまった」というケースも考えられます。この場合は家族の誰かが患者の世話をする必要があるため、自分の身を守りつつ患者の世話をする方法をとらなくてはなりません。家族の誰かが新型コロナウイルス感染症を発症した場合、可能な限り実行した方がいいと専門家が指摘するのは以下の事項です。
・可能であれば、患者を別室に隔離して他の家族と物理的な距離を保つ。
・患者を世話する家族は1人に限定し、できるだけ家族内で感染が広がるリスクを抑える。
・家族全員がこまめに手洗いをすることに加え、患者の世話をする人は患者と接触するたびに手を洗う。
・患者はせきやくしゃみをする時にティッシュで顔を覆い、ティッシュは毎回捨てる。
・家庭用品や食器を患者と共有しないようにする。
・天気がよければ窓を開けて換気する。
以上の事項を、患者の症状がなくなってから72時間、加えて最初の症状が出てから少なくとも1週間は継続するべきだとのこと。つまり、症状がなくなって3日(72時間)が経過しても、最初の症状が出てからまだ5日目であれば、家庭内での隔離を続けることが推奨されています。
もちろん、家の部屋数などの問題もあり、必ずしも家族を別室に隔離するといった対策が実行できない場合もあります。その場合も、同じ部屋の中で可能な限り距離を保ち、こまめな手洗いや家庭内の除菌を実践し、患者がマスクやバンダナを顔に装着して病気の拡散をできるだけ防ぐことが重要だと専門家らは述べました。
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