「新型コロナウイルスは空気中で最大3時間生存、徹底的な手洗いと消毒が重要」と専門家
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病原体である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はエアロゾル伝播および接触伝播によって感染が拡大しているという研究結果が発表されており、クイーンズランド大学のウイルス学者であるキャサリン・アーデン氏とイアン・M・マッカイ氏が対策について解説しています。
We know how long coronavirus survives on surfaces. Here's what it means for handling money, food and more
https://theconversation.com/we-know-how-long-coronavirus-survives-on-surfaces-heres-what-it-means-for-handling-money-food-and-more-134671
アメリカの国立アレルギー感染症研究所の研究チームが発表した研究で、SARS-CoV-2が「エアロゾル」という状態で、少なくとも3時間は感染性を維持することが判明しました。エアロゾルとは気体中に浮遊する微粒子のことであり、SARS-CoV-2を含んだ微粒子を吸入すると感染する可能性があります。つまり、患者が咳をすると、そのままSARS-CoV-2が空中に残存し、他人に感染する可能性があるというわけです。
また、ウイルスは接触によっても広がると考えられており、プラスチックやステンレス、ガラスなどの硬くて滑らかな表面上であれば最長72時間残存するそうですが、時間と共にSARS-CoV-2は劣化し、感染性が低くなるとのこと。厚紙や紙、布地など、水分を吸収する素材の表面ではより早く不活化するものの、ウイルス感染性が最長で24時間維持されると確認されました。さらに、研究チームは、SARS-CoV-2が物体の表面を接触することで、あるいは空中を漂うエアロゾルを通じてCOVID-19に感染する可能性を示唆しています。
アーデン氏らは、手すりやベンチ、ドアのハンドルなど、ありとあらゆるものでウイルスに感染するリスクがあると指摘。公共物を触ったり利用したりした後は徹底的な手洗いをするように訴えています。また、生鮮食品は食べる前にしっかりと洗うこと、食品のテイクアウトにはプラスチック製よりも紙製の容器を使うことで感染リスクを減らせると主張しました。
特に日常的に手で触るスマートフォンや現金は感染経路になりやすい、とアーデン氏らは述べています。スマートフォンについては既に他の専門家からも感染経路として指摘されており、「自分の携帯電話はなるべく他の人に渡さずに自分の手元に持っておくこと」「アルコールを含んだ除菌シートでこまめに消毒すること」が勧められています。
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実際に、Appleは2020年3月にサポートページを更新し、除菌シートを用いてiPhoneを清潔に保つことを推奨しています。
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また、新型コロナウイルス対策で外出禁止令が発令されているイギリスでは、現金による支払いを拒み、非接触型決済を求める小売店も登場していることが報じられています。
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アーデン氏らは「結局、COVID-19感染を回避する最善の方法は原始的な方法です。すなわち、手を消毒して、他人から距離を取ってください。パンデミックの進行を遅らせるために物理的距離を保つことは依然として最も効果的な予防法です」と語りました。
なお、アーデン氏らは「2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こしたSARS-CoVは、摂氏56度を超える温度と紫外線の直射で不活性化する」という研究を紹介していますが、今回のSARS-CoV-2が同条件で不活性化するかどうかは記事作成時点では不明です。
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