新型コロナウイルス対策として「換気」はどうやって行えばいいのか?
新型コロナウイルス対策として「換気」は重要ですが、「実際に換気をどのように行えばいいのか?」はあまり広く知られていないということで、日本建築学会や空気調和・衛生工学会が見解を示しています。
新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して 緊急会長談話
(PDFファイル)https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2020/200323.pdf
新型コロナウイルス対策として厚生労働省が2020年3月9日に公表した「(PDFファイル)新型コロナウイルス感染症対策の見解」では、日常生活でクラスター(集団)発生のリスクが高い場面の例として、「換気の悪い密閉空間」「多数があつまる密集場所」「間近での会話や発声をする密接場面」が候補にあげられました。
政府は換気の励行について、「窓のある環境では、可能であれば 2方向の窓を同時に開け、換気を励行します。ただ、どの程度の換気が十分であるかの確立したエビデンスはまだ十分にありません」としています。しかし、窓のない環境など、さまざまな状況においての具体的な換気の方法は示されておらず、問合せが寄せられたとのこと。そこで、日本建築学会や空気調和・衛生工学会が「換気はどのように行えばよいか」を以下のように示しています。
1:換気回数
「換気回数2回/時」という言葉は「1時間に2回窓を開けること」と誤解されることが多いそうですが、換気回数は1時間に部屋に入る外気量(立米)を室容積(立米)で割ったものあり、空気の入れ替わりのスピードを表す指標です。換気回数は空気が入れ替わる時の入口や出口の大きさ、部屋自体の大きさによって決まりますが、換気回数が大きいほど汚れた室内の空気を外気で希釈し速く入れ替えることが可能になります。換気回数については今後さらに詳しい解説を情報発信するとのこと。
2:自然換気と機械換気
換気は、大きく分けて窓を開けて行う「自然換気」とファンなどを用いる「機械換気」があります。窓のある建物や乗り物では積極的に窓を開けて外気を取り込むことが有効ですが、自動車などでは「内気循環モード」ではなく外気を取り入れるモードにすることも有効とのこと。このとき吸気口・排気口がふさがれていないか確認することが大切です。
3:窓のない部屋での換気
オフィスビルなどでは、窓のない部屋でも換気が可能な空調設備で室内環境が維持されます。外気を取り入れると冷暖房効率は悪くなりますが、業務に支障がない範囲で、外気取入量を増やすなどの対策を講じることが可能です。
通常の家庭用エアコンやパッケージエアコンは空気を循環させるだけで換気を行っていません。エアコンをオンにしているから大丈夫というわけではなく、エアコンしかない部屋では窓開け換気を行うか、換気システムを運転することが推奨されています。
4:空気清浄機
一般的な空気清浄機については、通過する空気量が換気量に比較して少ないことから、部屋全体に対して新型コロナウイルス対策に十分効果があるかどうかは不明とのこと。空気清浄機にも幅があるため、空気清浄機だけに頼るのではなく、通常の換気を行うことが推奨されています。
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