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WHOが新型コロナウイルスの「エアロゾル感染」の可能性を示唆、手洗い・うがいに加えて換気を訴え


世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルスに関するこれまでの研究内容をまとめた報告書「Transmission of SARS-CoV-2: implications for infection prevention precautions(SARS-CoV-2の伝染:感染予防策への影響)」を2020年7月9日に発表しました。この報告書の中でWHOは、これまで指摘されていた「エアロゾル感染」の可能性について公式に言及し、手洗い・うがいに加えて換気も徹底するべきと注意を喚起しています。

Transmission of SARS-CoV-2: implications for infection prevention precautions
https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/transmission-of-sars-cov-2-implications-for-infection-prevention-precautions


WHO says airborne Covid-19 transmission 'cannot be ruled out' in outbreaks in some indoor settings - CNN
https://edition.cnn.com/2020/07/09/health/airborne-transmission-coronavirus-who-brief/index.html

新型コロナウイルスの感染経路は、感染者が会話した時、あるいはせきやくしゃみをした時に分泌される5マイクロメートル以上の液滴によって感染が拡大する「飛沫(ひまつ)感染」であることがわかっています。そのため、至近距離で感染者と直接接触している場合、あるいは飛沫によって汚染された物体を介した間接接触すると、口や鼻にウイルスを含む飛沫が到達し、感染を引き起こす可能性が高くなります。

また、新型コロナウイルスの感染経路として、ウイルスを含む5マイクロメートル未満の微小粒子(エアロゾル)が空気中を漂い、これを吸引することで感染してしまう「エアロゾル感染」の可能性もこれまで指摘されていました。エアロゾルは、主に痰(たん)の吸引などの医療措置によって発生しやすいため、特に医療現場で生成されやすいと考えられています。


また、WHOによれば、新型コロナウイルスがエアロゾルを介して感染したという報告のほとんどが医療現場だったものの、中には合唱練習、レストラン、フィットネスクラブなど、「人が密集し、換気が不十分で、長期にわたって感染者がその場所にいる場合」でもエアロゾル感染が発生した可能性がいくつかの論文で示唆されているとのこと。

これまでの研究論文のうち、空気中から新型コロナウイルスのRNAを検出したケースがあったことをWHOは認めています。ただし、「RNAが検出されたこと」がただちに「RNAを含むエアロゾルに感染能力があること」を意味するわけではなく、また同様の調査で検出されたケースはないことにも注意が必要。また、医療従事者が医療用マスクを着用し、接触および飛沫予防策を適切に行っていた場合は、新型コロナウイルスの院内感染が認められなかったとWHOは述べています。

WHOは「エアロゾルが生成されるような医療現場以外の状況で、感染能力のある新型コロナウイルスを含むエアロゾルが空気中から検出されるかどうか」および「エアロゾルが感染経路となり得るかどうか」は記事作成時点では不明であり、今後さらなる調査が必要だと述べています。


WHOは報告書のポイントとして以下の6点を示しています。

・新型コロナウイルスがいつ、どのような状況でどのように広がるかを理解することは、感染の連鎖を断ち切るための公衆衛生および感染防止対策を立てるためには重要。
・現時点でのエビデンスでは、新型コロナウイルスは唾液や呼吸器分泌物などの飛沫を介して、感染者との直接接触あるいは間接接触を通じて感染する。
・エアロゾルが生成される一部の医療環境では、エアロゾルを介した空中感染が発生する可能性がある。また、屋内の混雑した空間では、飛沫感染とエアロゾル感染が組み合わさって感染が拡大する可能性もある。
・感染者の飛沫が付着して汚染された物体に触った手で目や鼻、口に触れることで感染する可能性がある。
・新型コロナウイルスは症状を呈する感染者からだけではなく、無症状の感染者からも感染する可能性がある。ただし、無症状感染者からどれだけ感染が拡大するのかを追跡するのは非常に難しく、さらなる調査が必要。
・エアロゾルが生成されない空間でエアロゾル感染が発生するか、すなわち空中感染を引き起こすためにはどれだけウイルスの量が必要になるのかなどは解明されておらず、質の高い研究が急がれる。


また、感染対策として、WHOは以下を提示しています。

・疑わしいケースを迅速に特定し、適切な施設ですべての感染者を隔離する。
・感染者が密に接触したつながりを特定して、感染あるいは発症した場合に治療できるように隔離する。
・物理的な距離を保つなどの防止策が不可能な公共の場所では、鼻から口をしっかり覆うマスクを着用する。
・新型コロナウイルスの感染者あるいは感染を疑われた患者を収容する医療従事者は接触および飛沫感染予防策、さらにエアロゾルが発生する場合は空中感染予防策を徹底する。
・医療従事者や介護従事者は医療用マスクを日常的に着用する。
・手をよく洗い、他人との距離をしっかりと取る。混雑した場所、密着するような場所、換気の悪い密閉空間には行かない。過密空間では布製のマスクを着用する。また、すべての閉鎖空間では適切な環境と洗浄、消毒を行うべき。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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