テスラ・モデル3をバラバラに分解、その結果モデル3の利益率は30%にも達することが判明
テスラが社運をかけて開発したEV「モデル3」は、同社では初となる普及価格帯をターゲットにしたモデルです。3万5000ドル(約390万円)からスタートするモデル3は、価格を抑えて数を売って利益を出すように価格設定されているのかと思いきや、車体をバラバラにして分析した結果からは、モデル3は非常に高い利益率を示しているという見解が示されました。
Munro Teardown Shows Tesla Model 3 Solidly Profitable - YouTube
今回、モデル3を分解して原価コストを割り出したのはミシガン州に拠点を置く「Munro & Associates(以下「Munro」)」です。同社は自動車を分解(ティアダウン)して調査することを専門とする企業で、高い専門性をもとに正確な原価調査などを提供しています。
向かって左、バラバラに分解されたモデル3の傍らに立っているのがMunroのCEOであるサンディ・マンロー氏。レポーターにまず車体の組み立てレベルについて尋ねられたマンロー氏は、「ここ10年で最低レベルにある組み付けだ」と一刀両断しています。
ボディパネルの組み付け、いわゆる「チリ」が左右でズレていたり、製産時の都合に起因するとみられる問題が残されているとのことです。
しかし、実際にドライブしてみると印象は正反対だった模様。乗り心地に重厚感があり、地面に吸い付くように走る様子についてマンロー氏は「オン・ザ・レール」(レールの上を走るように正確に走れる)と述べています。
次に二人は、丸いテーブルに置かれたモデル3の心臓部、電子制御システムの解説へと移ります。
マンロー氏が「この集積レベルは、この世のものとは思えないぐらいだ」と語る心臓部の基盤。
たしかに、無数のチップがビッシリと実装されていることがわかります。
シボレーのEV「Bolt」のティアダウンと分析にも携わったというマンロー氏は、EVを実現する上で重要なのはシステム全体の「インテグレーション(統合化)」であると述べています。それを踏まえると、このテスラ・モデル3のシステムは実に見事にデザインされていると考えており、「エンジニアリングのオーケストラのようだ」と語っています。
モデル3の優れている点はバッテリーにもあるとのこと。テーブルの上に立てられた灰色の板状の物体が、モデル3から取り外されたバッテリーコンポーネントの一部です。1台のモデル3には、このバッテリーコンポーネントが4枚搭載されています。
マンロー氏は、取り外したバッテリーコンポーネントをさらに分解し、内部の構造を詳細に調査。
マンロー氏が持つのが、モデル3を走らせる力の源になっているリチウムイオン電池の最小単位「バッテリーセル」の1つ。「2170」と呼ばれるバッテリーセルは、従来のものと比較して20%大型化され、バッテリー容量は実に50%も増加しているとのこと。
部品レベルにまでモデル3を分解し、詳細に調査した結果について尋ねられたマンロー氏は「モデル3は高い利益率を誇ります。その利益率は30%以上です」と回答。「30%以上!?そんな自動車見たことがない!」と驚くレポーターに対しマンロー氏は「過去にそういうメーカーはありましたが、EVの世界で30%を達成しているのは、唯一テスラだけです」と答えています。
なお、テスラのイーロン・マスクCEOは今後、モデル3の生産が軌道に乗ることでテスラは利益体質になるとインタビューで語っています。テスラはこれまで、初の市販車「ロードスター」とそれに続く「モデルS」の時代に倒産、あるいは会社売却寸前の状況に陥ったことがあります。モデル3の「30%」という高利益率が苦境に陥っているテスラをまたもや救うことになるのか、興味深いところです。
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