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テスラ・モデル3、コンシューマーレポートの「オススメ」評価をもらえず


非営利団体Consumers Unionによって出される製品評価「Consumer Reports(コンシューマー・レポート)」が、テスラの量産EV「モデル3」を評価しました。モデルSでは見事に「史上最高」の評価を得たテスラでしたが、肝いりのモデル3では「オススメ」をもらうことに失敗しています。

Tesla Model 3 Review Falls Short of Consumer Reports Recommendation
https://www.consumerreports.org/hybrids-evs/tesla-model-3-review-falls-short-of-consumer-reports-recommendation/

テスラのモデル3は価格3万5000ドル(約390万円)からという低価格EVで、テスラを自動車メーカーとして飛躍させる使命を持った量産車。生産地獄からなかなか脱することができないモデル3は、テスラの運命を決めると言っても過言ではない重要な製品で、テスラ入魂の期待作といえます。

そんなモデル3について、さまざまな視点からテストを行ったコンシューマー・レポート(CR)では、「『オススメ』するには足りない」という評価が下されました。

まず、EVとして比較的低価格にもかかわらず、0-60mph(0-96km/h)加速で5.3秒とポルシェ・718ボクスターを連想させる加速性能や、高いハンドリング性能、実用的なエネルギー回生モードで310マイル(約500キロメートル)もの航続距離を実現した点など、動力性能では非常に高い評価をモデル3は得ており、想定ライバルにはBMW・3シリーズやアウディ・A4が挙げられるほどです。

しかし、お墨付きを得られなかった最大の欠点は「制動性能」だとCRは述べています。60mph(約96km/h)からのフルブレーキによる制動距離(停止するまでの距離)の計測では、モデル3は152フィート(約46メートル)と現行の市販車の中で最悪で、巨大なピックアップトラックのフォード・F-150にも7フィート(約2メートル)劣るものだったとのこと。


これに対して、テスラの広報は制動距離は平均133フィート(約41メートル)だと述べており、路面、気候、タイヤ温度、ブレーキコンディションなどが結果に影響を与えた可能性があるとCRは指摘しています。ただし、制動性能は安全性を左右する重要な指標であるため、CRはこれまで500台以上の自動車に対して327エーカー(約1.3平方キロメートル)という広大さで路面コンディションが一定に保たれた専用コースを使って、SAEの国際基準に準拠した形で結果に一貫性と再現性を持たせるべく制動テストを行っているそうで、テスト結果には自信を持っているとCRは記しています。

なお、 Car and Driverもモデル3の性能テストの中でブレーキ制動の不備を指摘しており、「これまで11年間のテストの中で、これほどブレーキ性能にばらつきがみられる自動車を見たことがない」とテスト責任者のK.C.コルウェル氏は述べています。

テスラ広報の主張との乖離が見られたため、CRは2台目のモデル3を入手してテストを行いましたが、結果は変わらず。個体差によるものではなくモデル3本来の性能として「制動能力が足りない」という評価を下しています。なお、テスラはOTAによるソフトウェアアップデートによって性能が改善される可能性を指摘しています。

モデル3のスコアを低くした他の要因に「コントロール系統の使いにくさ」が挙げられています。これは、モデル3のダッシュボード中央に備え付けられた巨大なディスプレイが原因だとのこと。モデル3の車内にはボタン類はほとんどなく、あらゆる操作を中央のディスプレイで行います。ミラー、エアコンの調整など、ちょっとした操作もタッチパネルを使う必要があることから、ハンドルを離す機会が増え、注意力が散漫になり、前方不注視による事故を招く危険性があるなどの理由から、ディスプレイを使ったコントロール系統はモデル3の欠点だと指摘しています。


その他にも、「堅い乗り心地」「ホールド性の悪いリアシート」「高速道路での風切り音の大きさ」など、同価格帯の高級コンパクトセダンと比較すると快適性で劣ると評価されています。

以上の理由で、モデル3は「推奨」評価を得るには足りないとのこと。ただし、CRで「平均以下の信頼性」という評価を受けた後、改良を続けた結果、見事に「これまでにない最高の性能」という評価を受けた「モデルS」の例もあることから、今後の改良次第でモデル3が「オススメ」評価をもらえる可能性がないわけではありません。

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