モデル3の製造トラブルにあえぐテスラが過去最悪の四半期決算を発表
3万5000ドル(約400万円)からという普及価格帯EV「Model 3(モデル3)」をリリースしたテスラですが、生産プロセスに大きな問題が発生しており、予約しているほとんどのユーザーに手渡せない状態が続いています。テスラを大きく躍進させるためのキープロダクトであるモデル3の製造問題によって、テスラは創立以来最悪の四半期決算を発表しました。
(PDFファイル)EX-99.1 - TSLA_Update_Letter_2017-3Q.pdf
Tesla gives update on Model 3 production problems, delays ramp up by 3 months | Electrek
https://electrek.co/2017/11/01/tesla-model-3-production-delays/
Tesla misses first major Model 3 goal in worst financial quarter ever - The Verge
https://www.theverge.com/2017/11/1/16593582/tesla-model-3-production-q3-largest-quarterly-loss
テスラは2017年中に週あたり5000台のモデル3を製造するという長期目標を掲げていましたが、現実には製造プロセスに不具合を生じており、2017年第3四半期の生産台数は260台、販売台数は220台にとどまっています。テスラは「ボトルネックとなる問題の解決にめどがついた」と発表しましたが、モデル3の製造計画については「2018年第1四半期後半までに週あたり5000台」と修正しました。これは「約3カ月の遅延」を意味し、多くの予約客を抱えるテスラにとっては大きな機会損失ということになりそうです。
モデル3の製造の様子は以下のムービーで確認できます。
Model 3 General Assembly - Vimeo
このモデル3の製造問題を受けて、テスラの2017年第3四半期(Q3)の決算は、同社始まって以来の6億1900万ドル(約700億円)という巨額の赤字を計上。時間外取引で株価は5%以上下落しています。
テスラは決算書内で、「モデル3のボトルネック解消は毎週のように大きな進展を続けているが、どんな新しい問題がいつ現れるかを正確に予測することは困難」と述べており、モデル3の生産がいつ軌道に乗るかは不透明な状況です。さらに、テスラはモデル3の生産を補強するために、既存モデルのモデルS・モデルXの製造を約10%減らすことを計画しています。また、発表が予定されていたEVセミトラックのスケジュールが延期される可能性も指摘されています。
テスラの従業員の2%にあたる管理職を含む約700人が解雇されたことを受けて、テスラに対して不当解雇を訴えた労働訴訟も提起されており、製造工程のトラブルだけでなく労使トラブルも抱えています。モデル3の製造が滞ることで、ライバルのシボレー・ボルトや日産の新型リーフに販売機会を奪われることは明らかであり、テスラは正念場を迎えていると言えそうです。
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