乗り物

「プラトゥーン」走行で自動運転トラックによる大量輸送の自動化を目指すテスラの商用EVトラック


大衆向け電気自動車(EV)の「Model 3」のデリバリーが始まり、いよいよEVの普及に向けて加速しつつあるテスラが、EVトラック(電動トレーラー)に「自動運転機能」を搭載する計画であるとReutersが報じています。テスラが計画する自動運転トラックは、編隊を組んで移動する「platoon(プラトゥーン)」走行によって、大量輸送を自動化する狙いです。

Exclusive: Tesla developing self-driving tech for semi-truck, wants to test in Nevada
https://www.reuters.com/article/us-tesla-truck-autonomous-idUSKBN1AP2GD

Tesla developing self-driving tech for semi-truck, wants to test in Nevada - Autoblog
https://www.autoblog.com/2017/08/09/tesla-motors-autonomous-semi-truck-testing/

テスラは商用のEVトラックを開発中であることを2016年に発表済みで、2017年4月にイーロン・マスクCEOがTwitter上で、「2017年9月に次のレベルのEVトラックの実車を披露する計画」を明らかにし、2017年6月に行われた株主総会でも同様の計画について予定通り進んでいると明かされていました。

Tesla Semi truck unveil set for September. Team has done an amazing job. Seriously next level.

— Elon Musk (@elonmusk)


そのEVトラックに関して、Reutersがテスラとアメリカ・ネバダ州の自動車に関する規制当局(DMV)とのメールを入手し、「テスラが開発中のEVトラックに搭載する『自動運転機能』の路上テストについて話し合っている」と報じました。マスクCEOのいう「next level(次のレベル)」とは、輸送用トラックの自動化だったというわけです。


Reutersによるとテスラが開発中のEVトラック用の自動運転技術とは、先導役のトラックの後方を複数台のトラックが追随して走行する「platoon(プラトゥーン)」運航を実現するものだとのこと。プラトゥーン走行によって、後続トラックを無人化することができ、トラックの運転手が休憩を取りやすくしたり、ドライバーの数自体を減らしたりすることが可能になります。なお、トラックを引き連れる先頭のトラック自体も完全に無人化するかどうかは不明です。

物品を輸送する長距離トラックが主に走行するのは交差点や信号機がない高速道路であり、運航スピードが一定なため比較的、自動運転に求められる技術のハードルが低く、実用化が最も容易な自動運転技術だと考えられています。そのため、ダイムラーなどの自動車メーカーだけでなくUberGoogleなどのハイテク企業もこぞって参戦しており、ヨーロッパでは自動運転トラックによる公道走行試験もすでに開始されています。

互いに通信して隊列走行できる自動運転トラックが欧州横断に成功 - GIGAZINE


Reutersによると、規制当局との渉外業務を担当するテスラのナセル・ザマニ氏が2017年4月にネバダ州のDMVにあてて、「我々が同じページにいるのを保証するために、当面の最大の目標は、ネバダ州とカリフォルニア州の州境を連続してプラトゥーン走行や自律モードで走行するテストを実現することです」というメールを送っていたとのこと。なお、公道走行テストの実施日については言及していません。また、2017年6月16日に会議を開催することについてもメールで意見を交換したとReutersは明らかにしています。

ただし、テスラが開発する「EVのトラック」については、バッテリーの制限による航続距離の短さから実用化は困難とする専門家もいます。カーネギーメロン大学のVenkat Viswanathan氏は、ディーゼル燃料を使うトラックと航続距離で勝負しようとすれば、荷台がリチウムバッテリーで埋め尽くされるだろうと述べており、EVトラックの実用化は時期尚早と考えています。

なお、カリフォルニア州のDMVの広報担当者のジェシカ・ゴンザレス氏はReutersに対して、テスラが自律走行できるEVトラックについての取り組みを説明する会議の設定を求めたと明かしていますが、自動走行のレベルについては聞いていないとのこと。また、ネバダ州のDMVは、「これまでのところ、テスラは公道走行試験の許可を受けていない」と明言しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
物流を劇的に変え得る自動運転トラック「Freightliner Inspiration」の試験走行をダイムラーが公開 - GIGAZINE

自動運転トラックの登場はトラック運転手の生活を脅かすのか - GIGAZINE

自動運転トラックの登場で大量のドライバーが失職の危機 - GIGAZINE

Googleが自動運転トラックで配達する新物流システムを計画している可能性 - GIGAZINE

Amazonがトラック業界の構造を一変させる可能性のある新アプリを開発、2017年夏にもリリース予定 - GIGAZINE

Uberが自動運転トラックの「Otto」買収&ボルボと共同で自動運転タクシーを今月中に稼働 - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.