Uberが自動運転トラックの「Otto」買収＆ボルボと共同で自動運転タクシーを今月中に稼働

オンラインタクシー配車サービスの「Uber」が、自動運転トラックを開発するスタートアップ「Otto」の買収を発表しました。Uberは今後、自動運転トラックで物流の全自動化を進めていくことになります。また、同時にVolvo(ボルボ)とパートナーシップを結んだことも発表され、Volvoの自動車をカスタマイズした自動運転タクシーの営業も2016年8月中にスタートする予定です。

Rethinking transportation
https://newsroom.uber.com/rethinking-transportation/

Our next chapter: Otto joins Uber — Official Otto Blog
https://blog.ot.to/our-next-chapter-otto-joins-uber-307ee347a5bf#.kg3oep6od

OttoはGoogleの元社員が立ち上げた90人規模のスタートアップで、既存のトラックに搭載する自動運転システムを開発しています。Uberも以前から自動運転車を開発しているため、OttoとUberの自動運転技術が組み合わさることになり、Ottoが目指す「物流を改革する」というアイデアが本格的に実現することになります。Ottoの自動運転トラックは公道での走行テストも行われており、以下のムービーから実際に自動運転トラックが走っている様子を見ることができます。

Otto – Self-Driving Trucks - YouTube


同時に、Uberは自動車メーカーのボルボとパートナーシップを結んだことも発表。すでにVolvo XC90をカスタマイズした自動運転タクシーも完成済みで、8月末までにピッツバーグのダウンタウンでの稼働が予定されています。ピッツバーグでUberからタクシーを配車すると通常のタクシーもしくは自動運転車がランダムで配車され、しばらくは自動運転車が配車された乗客の運賃は無料になるそうです。Uberの料金は1マイル(約1.6km)あたり1.05ドル(約105円)ですが、自動運転車の稼働が増加すれば、さらに低価格化すると見られています。

ピッツバーグで稼働するUberの自動運転タクシーは以下のもので、Volvo XC90にライダー・カメラ・レーダー・GPSなどのセンサー類が搭載されています。

Uberとボルボは年内にVolvo XC90をカスタマイズした自動運転タクシー100台の製造を見込んでいます。また、両社は3億ドル(約300億円)の予算をかけてカスタムVolvo XC90とは異なる自動運転車を開発する予定で、2021年までに公道で稼働させるとのこと。これにはOttoのトラックに搭載されているライダーシステムなどの自動運転技術も活用される見込みです。

Uber’s First Self-Driving Fleet Arrives in Pittsburgh This Month - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/features/2016-08-18/uber-s-first-self-driving-fleet-arrives-in-pittsburgh-this-month-is06r7on

なお、Uberが労働基準法に違反しているとして、労働費用の償還を求める訴訟が労働組合との間で続いていたのですが、最終的にUberは8400万ドル(約84億2000万円)の支払いを命じられたことが報じられています。一方で、UberのCEOであるTravis Kalanick氏は「100万人以上の人間のドライバーをロボット(自動運転車)に置き換える」という目標を持っており、そもそもの従業員がいなくなるのかもしれません。Uberは既存のタクシー業界を破壊するとしてタクシー業界から強い反発を受けているため、さらなる反発も予想されます。

Uber’s deal to end driver lawsuit for $84 million falls apart | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/08/judge-throws-out-uber-class-action-deal-to-pay-drivers-84m/