ボルボが考える「自動運転時代のインテリアデザイン」はこんな感じ
近い将来に普及が始まるとみられるセルフドライビングカー(自律運転車両)では、従来の自動車で進化してきた「シートの在り方」とは異なる考え方を取り入れる必要があるようです。新時代のシートや自動車のインテリアについて研究を進めているボルボが「再発明」したというインテリアのコンセプトモデル「Concept 26」の様子が公開されています。
Hanging out in Volvo’s “Concept 26,” a reinvented seat for a self-driving car | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2015/11/hanging-out-in-volvos-concept-26-a-reinvented-seat-for-a-self-driving-car/
アメリカ・カリフォルニア州にあるボルボの「Motoring & Concept Center」では、ジャーナリストを対象にConcept 26が公開されました。当日は撮影が制限されており、公開が許可されたのはボルボが作成したイメージムービーと、会場でボルボのスタッフが撮影したムービーのみだったとのこと。そんな素材をもとに作成されたのが以下のムービーです。
Volvo's new C26 concept vehicle - YouTube
ドライバーズシートから見た車内の様子はこんな感じ。目の前には円形のハンドルがあるなど、従来の自動車とは大きく異なるものではなさそうですが、助手席との間にタブレットが置かれているのが目に入ります。
若干の近未来感は漂うものの、メーター回りもオーソドックスといえるデザイン。
全体のイメージはこんな感じ。これはドライバーが自分で運転する際のレイアウトとなっており、ごく一般的な4人乗りセダンのインテリアになっているのですが、次の写真では自動運転モード時の様子を見ることができます。
自動運転時には、ドライバーのシートが大きく後退し、シートバックが大きく倒れてシートの下からふくらはぎを支える「オットマン」が出てきました。よく見ればハンドルはややパネル側に引き込まれ、助手席の前には巨大なディスプレイが出現しています。
実際にシートを動かしている様子もムービーに収められています。まずはシート脇にあるタブレットでシートモードを選択すると……
シート全体が「ずいーん」と後方に動いてスペースを広げます。また、この時には足元にオットマンが飛び出して、ふくらはぎをサポート。
反対側から見るとこんな感じ。自宅のソファーや、飛行機のビジネスクラスでくつろいでいるような状態になるようです。
シートをリクライニングさせることも可能。この時、ドライバーはレバーやボタンを操作する必要がなく、体を動かすだけで好みの角度に固定できるようになるのがポイントだとのこと。
自動運転時のシートモードは複数のタイプが用意されているようです。「クリエイトモード」ではシートが後方に下がり、ドア側から小物などを置けるテーブルが出てくる様子。
「リラックスモード」ではシートバックが大きく倒れ、足元にはオットマンが出現。後部座席のことは全く考えられていないようですが、これはコンセプトの段階なのであまり深くは考えないほうがいいのかも。
助手席側の巨大ディスプレイは、ダッシュボード全体がぐるんと回転することで姿を現わしました。このディスプレイでは映画などを楽しめるほか、PCの画面を表示して作業を行うこともできる様子。その理由についてボルボは、「自動運転中でも、ドライバーはノートPCをヒザの上に置くべきではない」という考え方に基づくものであるとしています。「もし事故が起こりエアバッグが膨らんだ時に、乗員とエアバッグの間にノートPCがあると、エアバッグの効果が落ちるだけでなく人体に危険を及ぼす可能性すらある」というのがその基本にある考えです。
車内全体のレイアウトはこんな感じ。4名全員が前方を向くレイアウトとなっており、他社のコンセプトでよく見かける4人が中央を向くレイアウトにはなっていないのですが、その理由は「たとえ自動運転中であっても、乗員は前方を向いた状態で座ることを好む傾向にある」という研究結果によるものだとのこと。従来からの慣れのせいもあるのか、前方を向いていないと車酔いをするケースが多いようです。このレイアウトは東京モーターショー2015の日産ブースで発表されたコンセプトカー「IDSコンセプト」と共通するものが感じられます。
ボルボではこのコンセプトをもとにインテリアデザインの開発を進めているとのことで、近い未来にこの考えを取り入れた市販車が登場する可能性があるとしています。ただし、「それは2016年に発売されるモデルではない」とも語っていたとのことです。
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