民間の有人宇宙船「Crew Dragon」の乗組員カプセル内部が公開、2017年の初飛行へ

By SpaceX Photos

イーロン・マスクCEO率いるSpaceXが開発を進めている有人タイプの宇宙船「Crew Dragon」のカプセル内部の映像と画像が公開されました。従来の宇宙船とはかなり雰囲気の異なる近未来的な内装となっており、2017年に予定されている有人飛行が成功するとSpaceXは民間企業で初めて人類を宇宙空間へ届ける偉業を成し遂げることになります。

Crew Dragon | SpaceX
http://www.spacex.com/crew-dragon

SpaceXでは、地上約400kmの軌道を周回する国際宇宙ステーション(ISS)への物資や人員を輸送するための宇宙輸送船「Dragon(ドラゴン)」を開発しており、2012年には民間企業として初めてISSへの物資輸送を成功させています。「Crew Dragon」はそんなDoragonの有人版として開発が進められている船体です。

そんなCrew Dragonの内部イメージはこんな感じ。5つのシートと2つの補助シートらしきものが備えられており、定員は7名とされています。

By SpaceX Photos

快適なフライトを目指して設計されたというカプセルには4つの窓が設けられており、乗員は地球や月などの様子を観察することができるとのこと。シートは最上級グレードのカーボンファイバー、そして表面素材にはイタリア製のアルカンターラが用いられています。

そんなシートをがっちり支える太いフレーム。打ち上げ時などにかかるGを受け止めることはもちろん、打ち上げ失敗の際の大爆発に巻き込まれないようロケットエンジンを急噴射させて危険離脱する際のショックにも対応できるよう設計されています。それでも、乗員が受けるGは「ディズニーランドの乗り物と同じ程度」とのこと。

クルーの目の前には複数のディスプレイが配置され、宇宙船内外の様子や現在地、システムの状態などをモニタリングできるようになっています。また、Crew Dragonには船内の環境をコントロールするEnvironmental Control and Life Support System (環境制御・生命補助システム：ECLSS)が搭載され、船内の気温はおよそ18度から27度程度に保たれるそうです。

Crew Dragonは基本的にフライトの全工程が自動制御される仕組みになっていますが、クルーはその状況をモニタリングでき、場合によってはコントロールを行うこともできるようになっているとのこと。パネルには「キャビン減圧」や「周回軌道から離脱」などの項目が表示されています。

Crew Dragonの内部イメージは以下のムービーでも確認することができます。

Crew Dragon | Interior - YouTube


Crew Dragonは「アメリカ人の手でアメリカの宇宙飛行士を宇宙へ」のコンセプトを掲げて開発が進められるNASAの宇宙開発の一翼を担う存在で、同じくSpaceXが開発する打ち上げロケットのFalcon 9に載せて宇宙まで打ち上げられることになっています。

Crew Dragonの船首部分には脱出用のロケット噴射装置が取り付けられており、打ち上げが失敗した際に安全な空域まで一気に離脱するシステムを完備。既にこの脱出システムは地上での試験を成功させています。

実験の様子を収めたムービーも公開されており、約6秒のロケット噴射ののち、パラシュートを開いて洋上に着水する様子を見ることができます。

SpaceX Pad Abort Test - YouTube


2015年9月時点での予定では、Crew Dragonに実際に人を載せた状態での初飛行を2017年にも実施することになっています。民間初のISSへの物資輸送を成功させたSpaceXがまたもや金字塔をうち立てることになるのか、注目が集まります。

なお、当初の名称で「Dragon V2」と呼ばれていた頃の内装イメージはこんな感じでした。