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ボーイングが開発する有人宇宙船の名称が「スターライナー」に決定、2017年の打ち上げを予定


NASAのスペースシャトル後継機の開発を担当してきたボーイングが、開発中の有人宇宙船の名称を「スターライナー」に決定したことを発表しました。これまでは「CST-100」と呼ばれてきたこの宇宙船にはボーイングの製造する航空機「787 ドリームライナー」にも似た名称がつけられることになり、2017年にも実際に乗組員を乗せて打ち上げを実施する予定となっています。

Meet the Starliner! | Commercial Crew Program
https://blogs.nasa.gov/commercialcrew/2015/09/04/meet-the-starliner/

ボーイングが開発を続ける「スターライナー」の外観はこんな感じ。従来のスペースシャトルのように翼を持つ航空機タイプの機体ではなく、円錐型を基本としたカプセル形状が採用されています。機体内部には地球と同じ空気圧に設定された与圧区画と与圧が行われない貨物スペースが備わっており、最大で7名の宇宙飛行士と貨物を地上およそ400km(40万メートル)の軌道を飛行する国際宇宙ステーション(ISS)に輸送するために使われることになっています。


スペースシャトル計画が2011年に終了したアメリカでは、ISSへの人員・物資の輸送をロシアのソユーズ宇宙船に依存している状況が続いています。この状況を打開するためにNASAでは民間企業と共同しての宇宙船開発を進めており、開発に携わるボーイングの「スターライナー」とスペースXの「ドラゴン」の運用開始が期待されています。これら宇宙船は「アメリカ国内から打ち上げられ、(海洋上ではなく)アメリカの国土に帰還する」ことが強調されていることからも、その期待度のほどを感じることができそう。


スターライナーは、自動操縦性能と高信頼性を備え、地上と宇宙空間の間を繰り返し運航できることを狙って開発されている機体。宇宙飛行士や物資を輸送する任務のほかに、有償で宇宙飛行を楽しむ旅行客のためのフライトも想定されているとのこと。ボーイングでは以下のようなイメージムービーを作成して公開しています。

Boeing: Starliner - YouTube


名称の発表に合わせ、ボーイングとNASAはスターライナーの建造や整備に使用する施設についても発表を行っています。ケネディ宇宙センター内にあり、かつてのスペースシャトル計画で使われていたオービタ整備施設(Orbiter Processing Facility:OPF)を改装した「Commercial Crew and Cargo Processing Facility」(商業有人・貨物整備施設:C3PF)と呼ばれることになる施設は2015年12月に完成する予定となっています。


NASAでは現地時間の2015年9月10日にC3PFに関する記者会見をネットで公開する予定。建設中の施設については、以下のムービーでもその様子を確認することが可能です。

Boeing: Bring It Home Again - YouTube


今回の発表に際し、ボーイングのジョン・エルボン副社長は「今から100年前、私たちは商業航空の夜明けを迎えました。そして本日、私たちはNASAの支援のもとで、新たなる商業宇宙時代の夜明けを迎えました」とコメント。また、NASAのチャールズ・ボウルデン長官は「商業有人輸送は、私たちの火星に向けたミッションにとって最も欠かせない分野といえます。世界で最も素晴らしい国が、自分たちの宇宙飛行士を自らの手で宇宙に送り届けるためにアメリカ国内の35の州では、350社のアメリカ企業がこの事業に携わっています」と語っています。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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