空中で大爆発するSpaceXのFalcon 9ロケット打ち上げ失敗高画質ムービーがYouTubeで公開中
民間企業としてロケット・宇宙船の開発や打ち上げなどを行う「SpaceX(スペースX)」が開発中の再利用可能な打ち上げロケット「Falcon 9」が、補給船を積んで打ち上げられた後、空中で大爆発して塵となって消えてしまいました。
SpaceX Falcon 9 rocket explodes after liftoff - YouTube
これが再利用可能な打ち上げロケット「Falcon 9」
ムービーはFalcon 9のロケットが点火する直前からスタート。
ゆっくりと垂直に空に上がっていくFalcon 9
とりあえず打ち上げ直後は順調そのもの。
どんどん飛んでいき……
雲を突き抜けて大空に舞い上がっていきます。
ロケット下部には「SPACEX」の文字
しばらく飛行した後に、ロケットの先端からガスのようなものが噴射。
そして次第にロケットから噴き出す炎が大きくなり……
大量の煙も噴出。
そしてロケットが爆発します。
最初は大きな煙が「ボフッ」と広がるのですが、その中から爆炎が見え隠れします。
そしてさらに大量の煙を吐き出し、ロケットはまったく見えなくなってしまいました。
そんな煙の中からも、大きく燃えさかる炎が見えます。
次第に煙が小さくなり……
さらに大きな爆発が発生。
煙の中からロケットの破片がボロボロと落ち始め……
煙が晴れるとロケットの姿が跡形もなく消えてなくなってしまいました。
Falcon 9の打ち上げ失敗に際して、スペースXのイーロン・マスクCEOは「上部ユニットの液体酸素タンクに過剰な圧力を検知した」とツイートし、これが現在のところ確信を持って言える情報のすべてであると述べ、原因究明に努めることを約束しています。
There was an overpressure event in the upper stage liquid oxygen tank. Data suggests counterintuitive cause.
— Elon Musk (@elonmusk) 2015, 6月 28
打ち上げ失敗を受けてMicrosoftのサティア・ナデラCEOは「宇宙は難しい…」と率直な感想をこぼしています。
Space is hard... @NASA we're with you and ready to try again!
— Satya Nadella (@satyanadella) 2015, 6月 28
今回の打ち上げは、スペースXがNASAから委託された補給船の打ち上げで、これまで試験を含めて計8回目同じような打ち上げが行われてきました。過去7回の打ち上げはすべて成功してきたわけですが、今回はアメリカ・フロリダ州ケープカナベラル基地から飛び立ったFalcon 9が、打ち上げから約2分ほど経過した後、空中で大爆発してしまいます。
なお今回の打ち上げ時、Falcon 9は千葉工業大学が開発した流星観測カメラシステム「メテオ」を宇宙まで運ぶ予定となっていたのですが、ロケットが爆発したためメテオを積んでいた輸送機の詳細は不明なまま。現地で打ち上げの様子を見守っていた千葉工業大学惑星探査研究センターの上席研究員である荒井朋子さんは、NASA側から「ロケットが軌道からそれて安全のために爆破したため、輸送機自体は無事の可能性もあり、これから洋上で回収する」という説明を受けたそうですが、2014年10月にもメテオを搭載した補給線が打ち上げ直後に爆発してしまっていたため、「信じられない気持ち」と爆発後の率直な感想を述べています。
なお、ジャーナリストのマイルズ・オブライエン氏は「ドラゴン(輸送機)カプセルはFalcon9から放出されたように見えた。そしてドラゴンのパラシュートが展開しなかったという報告は今のところない」とツイートしています。
Looks like #Dragon capsule jettisoned in tact from #Falcon9. No reports it's chute deployed. #SpaceX
— Miles O'Brien (@milesobrien) 2015, 6月 28
・2015/06/30 9:10 追記
千葉工業大学がFalcon9の打ち上げ失敗についてリリースを出し、現在NASAが流星観測カメラシステム「メテオ」を回収できる状態かどうかを調査中、としています。なお、前回のメテオ輸送失敗時と同じように予備機を製作していたそうで、すぐに再打ち上げに挑戦できる模様です。
ISS流星観測カメラ「メテオ」を乗せた米国ロケット打上げ失敗について - 千葉工業大学
現地の説明によると、ファルコンロケットの軌道がずれたため司令破壊したとのことです。しかし補給機「ドラゴン」は大西洋に落ちた可能性もあるため、NASAは回収できるか調査を行うという情報も流れています。
万が一破壊していた場合でも、前回の打ち上げ時と同様、今回も予備機を製作しており、本学としては次の打ち上げが決まれば速やかに再挑戦を目指します。
・追記 2015/07/21 14:20
現地時間の6月28日に起きたFalcon 9ロケットの打ち上げ失敗は、ロケット上部の液体酸素タンクにある支柱の故障が原因と思われることを、スペースXのイーロン・マスクCEOが明らかにしました。故障した支柱は内部タンクを支えるためのもののひとつで、1万ポンド(約4500kg)の圧力に耐えられるように設計されたものですが、事故時は2000ポンド(約900kg)の圧力で破損してしまったことが明らかになっています。また、過去の打ち上げでも支柱に不具合が起きていたそうですが、現在も支柱がなぜ負荷に耐えられなかったのかは不明なままとのことです。
なお、スペースXは調査がまだ初期段階に過ぎないことから、支柱の破損がロケット爆発の原因であると断定することは避け、引き続き調査を行っています。
A failed strut caused the SpaceX rocket explosion | The Verge
http://www.theverge.com/2015/7/20/9004463/space-x-falcon-9-rocket-explosion-cause-explained
SpaceX says faulty strut led to Falcon failure | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2015/07/spacex-says-faulty-strut-led-to-falcon-failure/
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