イーロン・マスクのSpace X社が輸送ロケット「Falcon Heavy」の映像を公開

アメリカの著名起業家であるイーロン・マスクが共同設立者およびCEOを務める「スペースX」が開発を進める輸送ロケット「Falcon Heavy」のCGムービーが公開され、その非常にユニークな運用方法が紹介されています。
Falcon Heavy | Flight Animation - YouTube

アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターで発射台に収まるFalcon Heavyの姿。画面にはケネディ宇宙センター第39複合発射施設を示す「LC-39A」の文字が表示されています。

打ち上げの瞬間。Falcon Heavyは、Space Xのロケット「ファルコン9」をベースに、左右に補助ロケット(ブースターロケット)を装着する構成となっています。

上昇を続けるFalcon Heavy。ロケット本体の最上部は貨物を搭載する格納エリアとなっており、Falcon Heavyは最大で53トンもの貨物を高度400km程度の地球低軌道に投入できる能力を備えています。

役目を終えた左右のブースターを本体から分離。この後、ブースターは回収されて再利用されるのですが、特徴的なのはその地上への帰還方法。地球の引力に身を任せて自由落下で地上に戻ってくるスペースシャトルのブースターとは異なり、Falcon Heavyのブースターは自ら姿勢を制御して地上を目指すように設計されています。

上昇を続けるロケット本体(点線)とは逆に、これまで飛んできた軌道を戻るように向きを変えたブースター。ここからさらにロケットを噴射して自ら着陸地点を目指します。

再び機体の向きを180度回転させて大気圏に突入するブースター。本体との分離高度は不明ですが、大気圏に再突入するということであれば、従来のスペースシャトルの分離高度である4万5000メートルよりも高いものになりそう。ロケットエンジン部分の保護がどのように行われているのか気になる部分です。

その後、ブースターは発射されたケネディ宇宙センターをめがけて真っ逆さまに落下を続けます。

地表が近づくと、残されていた燃料を噴射してブレーキをかけるブースター。パラシュートなどは用いられていない様子です。

そしてそのまま地表へと接近し、推力を調節しながら軟着陸に成功。機体からは、4本の着陸脚(Landing Leg)が広げられています。

一方の本体ロケットは上昇を続け、目的地点に達したところで貨物を搭載した「第2ステージ」を分離。

そして、ブースターと同じように姿勢を反転させ、一路地表を目指します。

同じように、着陸地点に軟着陸する本体ロケット。Falcon Heavyの3本のロケットは基本的に同じ構造のものが用いられることになっており、全てがこのムービーのように地表へ戻って再利用されることになっています。

そして最後に宇宙軌道へと人工衛星を投入完了。Falcon Heavyは53トンもの貨物を打ち上げることができる機体ですが、これは乗客と貨物、燃料を満載した小型ジェット機(B737型機)をそのまま宇宙へ打ち上げることが可能な能力です。

そのペイロード能力は、スペースシャトルの24トンを2倍以上も上回るというもので、現時点では最大の能力を備えるものとなりそうです。ちなみに、アメリカが開発した過去最大級のロケット「サターンV」のペイロードは102トン、日本が開発したH2Bロケットは19トンとなっています。

Space Xのロケット開発については、2015年1月に実施された実験で地表に帰還するロケットが海上の「はしけ」に衝突した映像が記憶に新しいところ。結果的に失敗と捉えてしまう映像ですが、このような複雑な装置を精密に目的地点まで誘導して着陸寸前にまで至ったということが高く評価されています。
Falcon Heavyの詳細は、以下の公式ウェブサイトでもさらに詳細に確認することが可能。Space Xでは次回のロケット打ち上げ実験を2015年2月中に予定しています。
Falcon Heavy
http://www.spacex.com/falcon-heavy

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